お家にいても見られる! 神秘的な空
こんにちは、気象予報士の太田絢子です。せっかくの仕事終わりも週末も、なかなか外に出られず心がモヤッとしますね。外出自粛中でも楽しみが増えたらいいなと思い、今回はお家で見られる神秘的な空を紹介します。皆さんの心が晴れやかになりますように♪
◆日暈(ひがさ、にちうん)
日暈は、太陽の周りをぐるっと囲むようにできる光の環のことで、上空に薄い雲が出ているときに見られます。その薄い雲を作る氷の粒が、太陽の光を屈折させることによってできる現象です。珍しい現象ではありませんので、お散歩や買い物帰りにふと空を見上げると、きれいな現象が見られるかもしれませんよ。
またこの日暈は、天気下り坂のサインとも言われています。日暈がだんだんと見えなくなり雲が厚みを増してくると、雨を降らせる低気圧や前線が近づいているともみてとれるのです。日暈が出たあとは、ぜひその後のお天気も気にしてみてください。
◆天使のはしご
雲の隙間から光が溢れ出している神秘的な光景ですよね。気象用語では「薄明光線」といいます。
おもに太陽が低い位置にある早朝や夕方に見られることが多く、条件が整えば季節を問わず一年中見ることができます。
先ほど紹介した日暈とは違い、雲に厚みのあるときに見られる現象です。光の筋ができるのは、太陽光が厚い雲の切れ間を通過するとき、空気中の水蒸気やチリなどへ乱反射するから。光の通り道が浮かび上がってくるのです。
こちらも珍しい現象ではありませんので、朝や夕方の雲が少し分厚いかも、と思ったらぜひ空を見上げてみてください。
この現象の呼び方は、「天使の階段」、レンブラントが好んで描いたことから「レンブラント光線」とも呼ばれています。ちなみに宮沢賢治は『告別』の中で「光のパイプオルガン」とも表現しています。昔から人々の心を魅了してきた美しい現象なんですね。
◆二重虹(ふたえにじ)
最後は上記の二つよりも少しレアな現象です。
大きな虹の上に、よく見るとうっすらともうひとつ虹があるのが分かりますか? こちらは二重虹という現象で、内側の明るい虹は主虹(しゅにじ・しゅこう)、ぼやけることの多い外側の虹は副虹(ふくにじ・ふくこう)と呼ばれます。
そもそも虹は、空気中の水の粒が太陽の光を屈折・反射することで見られます。副虹は太陽光が雨の水滴の中で2回反射した虹で、主虹よりも色が薄くてはっきりとしません。また主虹と副虹とでは、水滴への光の入射角が異なるので、色の並びが逆になります。
主虹と副虹の間の名称は、これを発見した哲学者の名前から「アレキサンダーの暗帯」、「アレキサンダーズダークバンド」とも呼ばれています。この空間は太陽光の反射がないため周りよりも少し暗いのが特徴です。
虹は太陽と反対向きの方角に見られ、太陽の高度が低い朝や夕方ならさらに遭遇する確率は高くなります。虹が出ていたらその外側にもう一つ薄い虹がないかぜひ探してみてください。
虹を見られたらなんだか良いことがありそう! と思うのに、さらにもうひとつ見られたらラッキーですよね。
不安な日々が続きますが、少しでも空や自然にほっと一息つける時間がありますように!
TOP画像/(c)Shutterstock.com
気象予報士 太田絢子
気象予報士、防災士。中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、犠牲者をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。現在は地元名古屋のCBCテレビ「チャント!」などに出演中。趣味はモーニング巡り、季節の箸置き集め。