【目次】
・「ミニマル」の意味とは?
・間違えがち! ミニマルとミニマムの違いは
・最近話題の「ミニマリスト」について
・最後に
「ミニマル」の意味とは?
「ミニマル」という言葉を聞いたことはありますか? もしかしたら、「ミニマリスト」という言葉の方が聞き覚えがあるかもしれませんね。今回は知っているようで、なかなか正確に把握している人の少ない、「ミニマル」という言葉について解説していきましょう。
意味の解説
「ミニマル」とは、「最小限であるさま」のこと。特に美術や音楽などの芸術の分野では、装飾を一切つけないさまを指します。造形芸術分野における最小限を目指す手法をミニマリズム、美術の分野でシンプルな色と形で表現する手法をミニマル・アートと言います。
ファッションにおいても「ミニマル」という言葉は使われますね。無駄が削ぎ落とされ、洗練されたスタイルを「ミニマルルック」と呼びますよ。
間違えがち! ミニマルとミニマムの違いは
ところで、「ミニマル」と「ミニマム」の違いはご存知ですか? ここ日本ではほとんど同じ感覚で使われていますが、英語の「ミニマル(minimal)」と「ミニマム(minimum)」は明確に区別がされています。
「ミニマル」とは単純に「最小限であるさま」を表しますが「ミニマム」は、法律など決められた範囲において、最小、最小限、最低限度のことを表します。
ボクシングの最軽量階級である「ミニマム級」や海外へ行くと目にする「minimum speed」(法律で定められた最低速度)といった具体的な言葉を例に考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
それぞれ決められた範囲の中で“最小”を表しているので、「ミニマム」が使われています。上記に挙げた例の場合、「ミニマル」は使えないので覚えておきましょう。
最近話題の「ミニマリスト」について
続いて、「ミニマル」から派生した言葉だと言われている、「ミニマリスト」についてご説明していきましょう。
ミニマリストとは
「ミニマリスト」(minimalist)とは、minimal(最小の)と-ist(主義者)が語源の言葉です。不要な持ち物を積極的に減らして、本当に自分が必要とする最低限のものだけで暮らす人のことを指します。
持ち物を少なくすることで、かえって豊かに生きられるという考え方に基づきますよ。大量生産・大量消費の社会において、新しく生まれたライフスタイルです。
「ミニマリスト」の考え方は、2010年頃、「大量生産・大量消費に違和感を感じた富裕層」から生まれました。欲しいものならいつでも手に入る富裕層が、洗練された質の良いものだけを厳選して生活したいと考えるようになり、その考え方が発信されたのです。
その後、日本でも「ミニマリスト」という言葉が使われるようになりました。
ミニマリストの美意識・世界観について
「ミニマリスト」は単に持ち物をなくすことを目的としているのではありません。先述しましたが、自分にとって本当に大事な物を見極めて、生活に取り込んでいます。つまり、少ないけれど厳選した物で豊かに暮らす美意識が根底にあるのです。
また、「ミニマリスト」と一口に言っても、当然皆が同じわけではなく幅があります。しかし、共通する世界観は、「物に束縛される生活から脱却し、常に“自分”が主軸となっている」ところ。
その結果、多くのミニマリストは、余計な物やことに時間やエネルギーを使うことなく、自分のやりたいことに集中し、豊かな時間を過ごすことができているのです。
有名なミニマリストの例をご紹介
有名人にも「ミニマリスト」は多数います。その中から代表的な3人をご紹介しましょう。
1:スティーブ・ジョブズ
アップル共同設立者のスティーブ・ジョブズは、ミニマリストとして知られています。有名なプレゼン・スピーチの様子を振り返ってみても、いつも彼のファッションは同じ、黒のタートルネック、ジーンズ、グレーのスニーカー。このスタイルを10年以上も続けていたそうです。
同じファッションをしていた理由は、3つ。「毎朝どの服を着ようか悩んだり考えたりする時間がもったいない」、「服選びのような小さな決断でも、脳の負担になって判断力が落ちる」、「脳の負荷を軽減したい」、これらの理由から毎日のコーディネートをミニマルに削ぎ落としていたそうです。
ジョブズが作り出した、iPhoneやMacを見ても、無駄が削ぎ落とされた製品ばかりですよね。また、有名なプレゼン・スピーチも本質を短く、具体的に伝える構成にしていました。こうしたところにもミニマリストの考え方が息づいています。
2:マーク・ザッカーバーグ
次にあげるミニマリストは、Facebookの共同創業者兼会長兼CEOである、マーク・ザッカーバーグ。彼はグレーのTシャツだけを約20枚も持っているそうで、それを着回しています。
そうしている理由は、「できるだけ決断の数を少なくするため」だそうです。余計なことにエネルギーを使わずに、持っているエネルギーを素晴らしいサービスや商品に費やしたいとの思いから、ミニマリストを選択しています。
「他に決断することが多いので、無駄なことにエネルギーを使いたくない」という思いは、スティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグに共通していますね。
3:北川景子
女優として活躍する北川景子さんもミニマリストです。バラエティ番組に出た際に、無駄な洋服が増えないようにするために、洋服は10着ぐらいしか持たないというこだわりを披露しました。「1着買いたかったら、1着処分できる洋服があるのかを考えてから買う」そうなので、衝動買いをしてしまう心配はどう考えてもなさそう。
その他にも、掃除の邪魔になるから床に物は置かない、食器は毎日使う最低限の数しか持たないなどと決めているようです。多忙な北川さんは、無駄を省くことが日常生活における最優先事項。ですから、写真やドラマ、映画の台本も躊躇なく処分しているそうです。その潔さは参考になりますね。
最後に
ここまで「ミニマル」、そして「ミニマリスト」について解説してきましたが、いかがでしたか? 大量生産・大量消費の社会から、持たない暮らしへと人々の価値観は時代とともに変化をしてきました。
物があふれている現代だからこそ、「ミニマリスト」というスタイルは生まれ、注目されるのでしょうね。「ミニマリスト」ではない方も、参考になるところは生活の中に取り入れてみてください。
TOP画像/(c)Shutterstock.com