【目次】
・「恐悦至極」の意味とは?
・恐悦至極の使い方は? ビジネスでの例文をご紹介
・恐悦至極の類義語はどのようなものがある?
・恐悦至極の対義語はどのようなものがある?
・最後に
「恐悦至極」の意味とは?
「このたびは、〇〇を賜りまして、恐悦至極に存じます」とイベントやパーティーのスピーチで耳にしたことがありませんか。ビジネスの手紙やメールなどでも改まった内容ではよく使われますね。
「恐悦」は、相手の好意や取り計らいに対し謹んで喜ぶという意味で、感謝の気持ちや祝意を述べる挨拶として「恐悦に存じます」といったように単独でも使われます。「至極」は、「この上なく」「きわめて」の改まった言い方で、「至極快適です」「至極もっとも」など副詞的に用いられることが多い言葉です。
つまり「恐悦至極」とは、相手に敬意を払い、謹んで喜ぶことで、他の人に喜びを述べる時に使う敬語です。また自分の喜びを表すときの謙譲語としても使われます。手紙やメールでも相手の好意に謝意を述べるとき、また目上の人の慶事に喜びを述べるときに用います。
「恐悦至極に存じます」という表現は、「(そのようなお計らいをいただき)大変畏れ多いことでございます」という謙譲の気持ちを表わしています。目上の人に対して謝意を伝える言葉ですから「存じます」「ございます」などの敬語と一緒に使われます。
恐悦至極の使い方は? ビジネスでの例文をご紹介
1:「格別なるご厚情を賜り、誠に恐悦至極に存じます」
「恐悦至極」はかしこまった言葉ですから、日常会話の中ではあまり使いませんね。自分より目上の相手に対し、悦びの感情を敬語として表現する時に使用するのが一般的なので、「ありがとう」や「感謝しています」といった丁寧語では失礼に当たる相手に使います。ビジネスシーンでは、改まった言葉遣いをしなくてはいけないような目上の人に対して発言する時に使われることがほとんどです。
ただし、「存じます」は文末でよく使いますが、文の途中で「〜と存じますので、~でございます」のような使い方をすると、冗漫な感じになりますので重ねての表現は避けた方がいいでしょう。
2:「このたびは、このような場やお褒めの言葉に与り、恐悦至極でございます」
目上の人から祝意や称賛の言葉をいただいたお礼としては、「お褒めに預かり恐悦至極でございます」「身に余るお言葉を賜り恐悦至極に存じます」などと表現します。
ただし「恐悦至極の極みです」のように、「恐悦至極」のあとに「の極みです」と続けるのは「頭痛が痛い」のような重複した表現になりますので気をつけましょう。
3:「私のようなものにまで心配りをして下さるなんて、本当に身に余る光栄でございます。恐悦至極の思いです」
この場合は「お気遣いをいただき、大変恐縮しております。これほどうれしいことございません」といったニュアンスを伝えています。
「恐悦至極」は軽い会話の中でではなく、改まった席での会話や手紙などで使われる表現ですから、「社長に褒められて恐悦至極の気持ちになった」というような使い方はしません。
恐悦至極の類義語はどのようなものがある?
1:「望外の喜び」「無上の喜び」「有難き幸せ」
「恐悦至極」をやわらかく言うと、このような表現になります。「ご臨席賜りましたことは、望外の喜びに存じます」「お褒めの言葉をいただき、無上の喜びをかみしめております」「ご丁寧なご祝辞をいただき有難き幸せに存じます」などと用います。
2:「恐惶謹言」(きょうこうきんげん)
恐惶謹言は、「恐れ謹んで申し上げます」と言う意味です。恐惶とは、恐れること、恐れかしこまることを表し、謹言は「謹んで申し上げます」と言う意味です。目上の人に対する手紙などの末尾に書き、最大の敬意を表します。また自分よりもはるかに目上の人や地位が高い人などに、直言する時にも用いることができます。
3:「恐縮至極」
「恐悦至極」は目上の人などに「恐れ多くも大変に有り難く存じます」といった感謝を表す言葉ですが、「恐縮至極」は、感謝の意のほかに謝罪の気持ちや依頼するときなどにも使います。
「ご迷惑をおかけしまして恐縮至極にございます」「恐縮至極でございますが、何卒よろしくお願いいたします」などと用います。
恐悦至極の対義語はどのようなものがある?
1:「悲哀」「悲喜」
「恐悦至極」の対義語は特にありませんが、「恐悦」の意味の対義語となるのは、しみじみと感じる悲しさや哀れさを表す「悲哀」「悲喜」などでしょう。
2:「悲嘆に暮れる」
ショックを感じる出来事にあって、身に降りかかった不幸を悲しむことですが、まさにこれ以上ないうれしさとは対極の状態です。
3:「残念至極」
反対の意味とはいえませんが、同じく「至極」を使った表現で極めて残念、悔しいという気持ちを強調する言葉です。
最後に
「恐悦至極」は、ビジネスにおける改まった席や、目上の人への手紙などに用いることが多く、日常会話ではあまり使う機会はないかもしれませんが、いざという時のために知っておきたい言葉です。
いきなり四字熟語として使うのが堅苦しいと感じる場合は「恐悦に存じます」や、「至極当然だと思います」などといった二字熟語を使う表現から取り入れてみるとよいかもしれません。
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