「ごちそうさま」はなぜ走る?
1日3回、毎日口にする「ごちそうさま」。今回は、「いただきます」の由来に続き、「ごちそうさま」の由来に迫ります!
◆「ごちそうさま」を漢字で書くと
「ごちそうさま」を漢字で書くと「御馳走様」ですね。
食事の終わりに使う挨拶なのに、なぜ馬を走らせることを意味する馳や走が使われているのでしょうか。
◆昔はおもてなしのために走り回って食材をゲットしていた!
飽食の時代と言われる現代からは想像ができないかもしれませんが、スーパーやコンビニもなく冷蔵庫もなかった時代は、食材を準備することはとても大変なことでした。字の如く、馳走[走り回ること。奔走。(デジタル大辞泉より)]して、食材を集め、食事の準備をし、お客さまをもてなしました。
そういったおもてなしに対する感謝の気持ちから、丁寧な意味をもつ接頭語「御」と、食事を準備してくださった方々への敬意を込めた「様」がつき、「御馳走様」となり、食事を頂いたあとの挨拶の言葉となりました。そして、走り回って準備されたおもてなしの料理を「御馳走」と言うようになったのです。
◆「ごちそうさま」も感謝の言葉
以上のように、「ごちそうさま」は食事を準備してくださった方々への感謝の言葉として使われているんですね。
そのほか、例えばお土産などで食べ物を頂いた際など、まだ食べていなくても「ごちそうさまです!」と、感謝の気持ちを伝える表現として使われます。「ごちそうさま」のおもてなしへの感謝の気持ちを応用した使い方ですね!
◆惚気話(のろけばなし)への「ごちそうさま」は?
食事にまつわる場面以外にも、「ごちそうさま!」が使われるシーン、思い浮かびませんか?
そう。ラブラブな惚気話を聞いた時ですね。なぜ、「ごちそうさま!」が使われるようになったかというと、惚気話=幸せな話→幸せ=満腹ということからなんだそう。連想ゲームみたいですよね。
しかし、惚気話をしていた相手によっては、「満腹=お腹いっぱい→もう食べられない=話は終わり」と連想が続いてしまい、この惚気話はもうおしまい! というニュアンスで受け止められてしまうこともあります。食事が終わった時に使う挨拶ということもあり、締めくくり感が出てしまうところはあるかもしれません。
惚気話をしてくれる間柄ということを鑑みれば、話を終わらせるつもりで使ったと誤解されるようなことは少ないかと思いますが、話の腰を折ることがないよう、タイミングを選び、茶目っ気たっぷりに使うのがいいですね。
いかがでしたか? 今は走り回って食材を集めるところから、なんてことはありませんが、お料理をするということはとても大変なこと。栄養バランスも彩りも考えて毎日三食作ってくれていた母には頭が上がりません。感謝の気持ちを込めて、残さず食べて、「ごちそうさま」と言いたいですね。
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鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!