「生活習慣」で、認知症の1/3は防げる! 2/3も発症年齢を遅らせることができる!
認知症の予防についてふくろうクリニック等々力 山口潔先生に伺いました。
「認知症の最大の原因は加齢です。しかし食生活など生活習慣を改善することで、発症を少しでも先に遅らせることができます。認知症の遺伝子の研究を行うよりも、生活改善研究のほうが効果があるのではないかと考える研究者もいるほど、活発に研究が行われています。
認知症の原因は65%が加齢や遺伝など変えられないもの、35%が食生活、運動不足、喫煙、抑うつなど改善できるもの。さらに加齢や遺伝が原因でも、生活改善によって、発症年齢を遅らせることができると考えられています。

2017年、英国の医学雑誌で発表された研究によると、高血圧、肥満、難聴、喫煙、抑うつ、運動不足、社会的孤立、糖尿病が認知症のリスクとしてあげられるとしています(※1)。高血圧、肥満、糖尿病は食生活が関係しており(※1)、食生活は重要なファクターです。
さらに寝たきりと認知症の関係は深く、活動量が少なくなると認知症が進行することは明らかです。食事や運動などで骨や筋力を強く保つことも認知症予防における重要な対策です
※1:Lancet認知症予防・介入・ケア委員会 2017年7月19日オンライン版
認知症予防のスタートは30代から
「日常生活に支障がない軽度の認知障害をMCI(軽度認知障害 Mild Cognitive Impairment)といいます。ふくろうクリニック等々力では、認知症の患者を見つけることよりもMCIを見つけて介入することが、認知症患者全体の数を減らせると考え活動しています。MCIの段階で食生活改善や運動療法などを行えば、認知症へ移行する時期を遅らせることが可能になる場合があります。クリニックでは管理栄養士による栄養教室、理学療法士による運動教室など、MCIや認知症患者に向けた勉強会を随時行っています。
認知症の多くはアルツハイマー型認知症で、アミロイドβというたんぱく質が脳に蓄積することで、神経細胞が減り、認知障害を起こす病気です。このアミロイドβは高齢になってからはじめて出現するものではなく、実は30〜40代から脳内に蓄積されていきます。認知症予防は先のことだと考えず、30歳から認知症予防を始めるという意識が大切です。ただ、若くして始めなければ効果がないということではなく、何歳でも重要性に気がついた時が始めどきです」

日本人の食事にはカルシウム強化乳が欠かせない!
日本の認知症研究で知られている「久山町研究」では、1日当たりコップ1杯程度の牛乳(97g〜197g)を飲む人は、あまり飲まない人に比べてアルツハイマー型と血管性を合わせた認知症の発症リスクが3割程度低下したという報告があります(※2)。
牛乳、乳製品中には認知症の発症と関連がある物質や現象を抑えるビタミンB12、ホエイタンパクが含まれるだけでなく、認知症の発症を低下させるミネラル(カルシウム、マグネシウム)が含まれています。

また最近の研究で、軽度認知障害からアルツハイマー型認知症へ移行する要因のひとつとして、血液中のカルシウム濃度の低下が指摘されています(※3)。日本食はもともとカルシウムが少なく、牛乳をとることで必要量に達します。
カルシウム不足は全年齢で見られ、認知症予防が必要な40代以降は、厚生労働省の定める必要量には約100〜150mlのカルシウムが足りず、推奨量には150〜250ml足りません。
牛乳コップ1杯(200ml)には約220mlが含まれているため、1日コップ1杯で必要量をクリアします。食事が不規則だったり、偏食がありカルシウムをほかの食品で摂る機会が少ない人は、カルシウム強化乳を選び、必要量を摂取するといいでしょう。
※2:小原知之他「地域高齢住民における認知症の疫学:久山町研究」
※3:Kenichiro Sato et al:Lower serum calcium as a potentially associated factor for conversion of mild cognitive impairment to early Alzheimerʼs disease in Japanese Alzheimerʼs disease Neuroimaging Initiatives:Journal of Alzheimerʼs Disease(オンライン版)
資料提供/牛乳PR事務局