前情報なし… 上映開始直後、誰もが半地下生活に引き込まれる
映画「パラサイト 半地下の家族」は、2019年のカンヌ映画祭でパルム・ドール受賞したホン・ジュノ監督による韓国映画。
日本では明日2020年1月10日から全国一斉ロードショー。その「パラサイト 半地下の家族」が日比谷TOHOシネマズで特別先行公開していると聞き、行ってみた。きっかけは編集部で隣席に座る編集Yの強い推しがあったから。
「年末年始にN.Y.に行ってたんですけど… 帰国便の機内で観た映画が衝撃的過ぎて… 絶対観てほしいんです! ロマンチックとか痛快アクションとかじゃないし… ちょっとドヨーンとしちゃうんですが、最後には希望がある、いやないかな… んーとにかくうまく言えないんですけどすごいんです!」
と年始の挨拶もそこそこに熱く語り出した編集Y。その興奮ぶりがいつもの冷静沈着な彼女とちょっと違う感じがして妙な違和感を感じたのだ。普段クールな彼女をここまで興奮させた映画とは… 気になりネットで検索。先行上映していることを知り、映画好きな男友達を誘ってさっそくその日のうちに行ってみた。
前情報は公式サイトをちらっとのぞいただけ。
予告動画は観た。
ネタバレは厳禁とはいうけれど… それが難しいのは?
上映前に監督や主要キャストからのメッセージムービーが流れた。そこで監督は「ネタバレは厳禁ですよ」と語っていたが、正直この映画、観ないことにはなにひとつ語れないし、ネタバレするのが難しい。理由は息をつく間もない展開がゆえに鑑賞した者同士でしか語り合えないことが多すぎるから。
住む環境が異なる人たちの複雑に絡み合う人間模様、その心の有り様、そして想像を超えた展開… 1分ごと、いや1秒ごとに起こるあれこれに「何か意味があるのか…」とついつい疑心暗鬼になり、スクリーンから目が離せない。
無駄のない展開の中で、ときおりヒッと息を飲み、そしてフゥーッとため息をつく… ストーリーが進むにつれ心の底にオリのように何かが蓄積されていく。安堵できる瞬間などほぼない。
半地下に住む家族それぞれの演技も見応え十分。父親役はソン・ガンホ氏。彼の心の揺れ動く様は観る者の胸を苦しくさせる。彼をとりまく抜け目なくずる賢く、それでいてどこか間が抜けたところがある一家。その貧乏一家がひょんなことから上流階級のファミリーに食い込んでいくストーリー。
観る者は貧乏な一家、裕福な一家のどちらのどの役に自分を投影するだろうか。
この映画、ひとりで観ないことをおすすめしたい。なぜなら、観終わった途端に隣にいる誰かに何かを言いたくなるから!
上映中も私は男友達と「え、あの人は!?」とか「今はやばい」「なんでそれ!」といちいち確認をしながら観ていた。それくらい細部に巧妙に散りばめられた小さな欠片がのちに大きく重たい問題を起こすとが予感できたから。
嗚呼、いくら文字をつくしてもきっとこの感想を読んだ人にうまく伝わる自信がない。だから映画館に足を運んでみてほしい。鑑賞後きっと誰かに「観たほうがいいよ! すごいよ! ちょっと疲れるけど、でもすごい」と言いたくなるはず!
こんな気持ちに自分がなるのがこれまたちょっと不思議… この映画、観る人の心の破壊力が半端ない。
既に韓国で1000万人、フランスで160万人の動員を突破。アメリカでは2019年度の外国語映画興行収入第1位になるなど、現在世界中で爆発的ヒットを記録し続けている作品。観ないと話題に乗り遅れること間違いなし。
さらに詳しい情報は「パラサイト 半地下の家族」公式サイトをチェックして!