不妊の原因、もしかしたら子宮奇形かも…
不妊の原因として一般的に、卵巣や卵管の異常や子宮内膜症などの婦人病があげられますが、まれに子宮の「かたち」や「大きさ」が原因となることもあります。
今回は、意外と知られていない子宮の「かたち」「大きさ」が妊娠に及ぼす影響についてみていきましょう。
◆子宮のかたちはひとりひとり違うもの
はじめに、子宮のかたちには個人差があります。その中でも、子宮が生まれつき変わった形をしている場合を子宮奇形と呼びます。子宮奇形を有している女性は約5%、不妊女性の中では約3%であるとされています。
程度が軽いものは経過観察となり、自然妊娠も可能ですが、奇形の種類や期間によっては受精卵が着床しにくい、流産・早産を引き起こしやすいなどのリスクもあります。不妊期間なども考慮したうえで手術を行う場合もあります。
子宮奇形の種類としては以下のようなものがあります。
重複子宮… 独立した子宮・膣が2つ存在する。
双角子宮… 子宮は1つだが、内腔がくびれていたり、内腔・子宮口が2つ存在したりする。
中隔子宮… 内腔に壁が存在している。
弓状子宮… 子宮の底部にくぼみがある。
単角子宮… 子宮を形成する過程で、女性器を作る元となるミュラー管が欠損した状態。場合によっては子宮が半分の大きさしかないケースもある。
◆子宮奇形を見つけるには?
子宮奇形を有している方の症状としては、経血量が非常に少ない過少月経や生理不順、強い生理痛、などがあげられます。しかし、多くの方は自覚症状がなく、ほとんどが不妊症や不育症のため産婦人科を受診し、それらの検査の中で判明します。子宮奇形が疑われる場合は、子宮の外観を調べる検査(超音波検査・MRI検査)や、内部を調べる検査(子宮鏡検査・子宮卵管造影法)があります。
◆子宮奇形の治療法って?
先ほど紹介したように、子宮奇形を有している一部の方は手術を選択されています。実際、子宮奇形の治療は手術しかありません。しかし、子宮奇形であっても自然妊娠することも多いため、すぐに手術を選択せず妊娠を管理することもあります。
治療に際してはかかりつけの医師やパートナーと方針を十分に話し合った上で決めていくことをおすすめします。
◆「子宮が小さい」と診断されたら?
ここまでは子宮の「かたち」についてみていきましたが、子宮の「大きさ」についても、少しみていきましょう。
経常的な発育の問題で子宮が小さくなっている場合、機能もその分未熟になってしまい、妊娠しづらい状態となってしまうことがあります。子宮の成長には卵巣からつくられる女性ホルモンが大きく影響しますが、卵巣の機能が欠如した場合、女性ホルモンのバランスが乱れ、子宮が小さくなる場合があるのです。
子宮が小さい場合の症状としては月経異常などがあげられますが、子宮奇形と同様に自覚症状はあまりない場合が多いです。女性ホルモンの不足が原因で子宮が小さくなっていた場合、女性ホルモンを補う薬物を服薬し、治療していきます。
自覚症状のない子宮の異常については、いざ診察結果を言われると「どうしていいかわからない」「妊娠できるの?」と不安になってしまいがちです。現在妊活中の方で子宮に異常が見つかった場合には、今後の妊活プランのためにも、かかりつけの医師としっかりと相談されることをおすすめします。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。