安心してください、しっかりクズ紳士真やらせていただいております。
みなさん、こんにちは。「クズ紳士」こと相席スタートの山添寛(やまぞえ・かん)です。
<What’s about「クズ紳士」?→レディーファーストでスマートな立ち振る舞いをする一方、酒・女・ギャンブルにも精通するクズと紳士のハーフ。これぞ山添 寛最大のオリジナリティ!? クズと紳士の両面に精通するために、あらゆる男心を分析できるという特殊能力も完備している。>
クズ紳士ファンのみなさまを僕は守ります!
本題に入る前に、日頃は温厚なこの僕ですが、思わず憤ってしまった出来事があったのでご報告させてください。
SNS全盛の今、ご多分にもれず僕自身もツイッターやら何やらさせていただいています。そしてテレビ番組に出演した際などには、恐れ多くも「エゴサーチ」なるものをさせていただくことも。
ありがたいお褒めの意見をちょうだいすることも多く、またその反対に手厳しい意見も…。
しかしまぁ、僕のことはどう言われてもいいんです。こんな僕なのですから、そりゃもういろいろ言いたくなるのもわかりますから。
しかしですよ! こんなツイートを見つけてしまったのです。
「山添のファンって志(こころざし)低すぎるだろ」と。
「誰のファンになっても自由なこの世の中、嵐のファンになったり吉沢亮のファンになったりもできるのに、何を好き好んでわざわざ山添のファンになってるんだよ」と。
僕のことならいいんです。こんな男なんですから。
しかし、しかしですよ! 僕の希少なファンのことを悪く言うのは絶対にダメです!
しかもですよ、こんな芯を突きすぎるお言葉で…。
ほんと、その通り過ぎて思わずうなってしまいましたから。
この読者の中にひそかにいらっしゃるかもしれない希少な山添ファンのみなさま、どうか世間の目に負けないでください。お互い手と手を取り合い、頑張っていきましょう。
クズ紳士としてしっかり借金させていただいております
さて、枕が長くなってしまいました。
本題はこちら、「山添の最近の借金事情は?」です。
ここ最近、借金のご報告を怠ってしまい申し訳ございません。
はい、もちろん順調に相方・ケイさんに借金を続けさせていただいております。絆はしっかりございますのでご安心ください。もちろん月々のご挨拶(返済)も欠かしておりませんよ。
しかしながらもうすぐ新しい年を迎えるにあたり、早く完済しないといけないと思ったわけです。そこで一人、返済計画を立てるためにひとり考え事がしたく、とあるバーに入りました。
かなり洒落た外観で、お店の名前はなく、扉の右下に小さく「Bar」という看板があるだけ。緊張しますよね、それだけで。大人の洗練された雰囲気が外からもビシビシ伝わってきました。
思い切ってドアを開けると、それがなんとも分厚く重厚感のあるドアで…。そして中に入ると、お店の中も外と同じ暗闇が広がっていました。
◆大人のバーで山添が頼んだカクテルとはいったい?
そして薄明かりの中、カウンターにはこれまた洒落たマスターが「いらっしゃいませ」と絶妙なタイミングで声をかけてくるんです。
店内を見渡すと、客は僕1人。まるでドラマの世界に迷い込んだかのように、カウンター席に誘われました。
そしてマスターからこんなことを言われました。
「お酒はいろいろ取り揃えていますので、お客様のお好きなものをお作りしますよ」と。
僕、ちょっと憧れがあったんですよね。シェイカー振ってもらって、あなたのイメージでお作りしますっていうやつに。
そこでさっそく、マスターにオリジナルカクテルを作ってもらうことになったんです。
マスターはこう僕に尋ねました。
「イメージはどうしましょう?」と。
そのときに真っ先に頭をよぎったのはケイさんのこと。
僕は、ケイさんに借金をしているにも関わらず、今オシャレなバーに入っている。そこでいくらかもわからないオリジナルカクテルを作ってもらおうとしている。何をやっているんだと。自分の愚かさにため息をつきました。
そこで僕はこう思ったのです。
「1杯目はケイさんへの『謝罪』、そして2杯目は、ケイさんへ日頃の『感謝』をイメージしたカクテルを作ってもらおう」
と。
◆「謝罪」のカクテル、その味に隠された秘密とは?
そこでマスターにまずはこう伝えました。
「マスター、『謝罪』をイメージして作ってもらえないでしょうか」と。
マスターは一言「わかりました」、とだけ呟き、それ以上何も聞かずにシェイカーを振り始めたんです。
… 目の前にスーッと差し出された美しい色のカクテル。
普段、あまりカクテルを飲まない僕ですが、その美しい色の飲み物に心奪われました。
そして一口。
飲んだらあまりのおいしさに、ケイさんへの謝罪と感謝の気持ちがさらに増幅したのです。
そんな僕を優しく見守るマスター。僕はマスターに「どんなお酒で作ったのですか?」と尋ねました。
すると「フランスの修道院で作ったお酒で作りました」とマスター。センス炸裂しとるやないですか、と。紛れもなく謝罪のカクテルやないですか、と唸りました。
中にチェリーが沈んでたんでマスターに「これは食べていいのでしょうか?」と我ながらダサい質問をすると、マスターは「大丈夫ですよ。背徳感をプラスしておきましたので」と。なんておしゃれなんやと、こんな大人のやりとりに酔いしれたのでした。
そして酔いしれたのは気分だけではありませんでした。その修道院で作ったお酒はかなりアルコール度数が高くて、1杯でベロベロになったしまったんです。
そうして僕は、2杯目を頼まず、そう、「ケイさんへの“感謝”」を飲まずして帰路についたのでした。
謝罪こそできても、感謝までは行き着かなかった僕は、やはりクズ紳士だったのかもしれません。
いつかは謝罪だけでなく感謝の気持ちも届きますように…。今回は、そんな僕のつぶやきをお送りさせていただきました。
それでは次回お会いする日まで。エゴサーチもたびたびしておりますので、愛のメッセージもお待ちしております。
撮影:菊竹規 構成:吉田奈美
山添 寛(相席スタート)
お笑いコンビ・相席スタートのツッコミ(ネタによってはボケも)、ネタ作り担当。男女の微妙な関係性やすれ違いを描くコント・漫才に定評あり。2016年M-1グランプリでは決勝進出も。令和に時代が代わったことをきっかけに「クズ紳士」な自分と向き合うように。