1月7日は「七草粥」を食べる習慣がありますね。でもこれ、なぜこのタイミングに、なぜ七草なのでしょうか?
七草粥の由来
七草粥のもとは、古来中国の習慣。中国で1月7日は「人日の節句」にあたり、この日に吸い物に7種類の草を入れたものを食べ、邪気を払って無病息災を願う「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」という風習があったそうです。
一方日本には、年の初めに芽吹いた若菜を摘んで食べると邪気払いになるという「若菜摘み」という風習があり、これが中国から伝わった「七種菜羹」の風習と重なり、1月7日に七草粥を食べる習慣が広まりました。
七種類全部言えますか?
全部さらっと言えたらなかなかスマートですが、馴染みのないものもありますね。
・芹(せり)
・薺(なずな)
・御形(ごぎょう)※母子草(ははこぐさ)ともいう
・繁縷(はこべ・はこべら)
・仏の座(ほとけのざ)※田平子(たびらこ)ともいう
・菘(すずな)
・清白(すずしろ)
七草粥は年末年始で疲れた胃腸に効く?! それぞれの効能とは
邪気払いと無病息災のために始まった七草粥の風習ですが、縁起の良い語呂合わせになっています。実は薬膳的効能を見ると、お正月明けの胃腸にとても良いんです。それぞれの薬膳的効能を見ていきましょう。
芹(せり)
香りが良く、鍋物などで比較的馴染みのある食材では? 芹は「競り勝つ」にかけたもの。体の余計な熱を冷まし、体を落ち着かせてくれます。お酒を飲んだ後にもオススメの食材。
薺(なずな)
通称、ペンペン草。撫でて汚れをはらう、という意味が込められています。こちらも余分な水を排出して体のほてりを冷まし、疲れ目にも良いとされます。
御形(ごぎょう)※母子草(ははこぐさ)
「仏様の体」を意味しています。呼吸器系の不調、咳や痰などに効くとされています。
繁縷(はこべ・はこべら)
繁栄が広がる、という意味を込めています。血の巡りを良くし、血の滞りを改善する効能があります。
仏の座(ほとけのざ)※田平子(たびらこ)
読んで字のごとく、花の形が仏様が座禅を組んでいるように見えることから来ています。胃腸を養い、高血圧にも良いと言われています。
菘(すずな)
これは皆さんお馴染みの蕪(かぶ)のことです。神様を呼ぶ鈴、として縁起物とされてきました。消化不良やお腹の冷えによる痛み、のぼせ、口の渇きなどの改善に役立ちます。
清白(すずしろ)
こちらもお馴染み、大根のことです。汚れのない清白を表しています。すずなと同様に消化を助け、喉の不調や吐き気などにも効きます。
七草は年明けの不調改善に役立つ
さらに、お粥の「白米」には、お腹の調子を整える作用があります。こうして見てみると、七草粥は年末年始の暴飲暴食で疲れた体をいたわってくれる食材ばかり。飲み過ぎて熱を持った体の余分な熱を冷まし、食べ過ぎの消化不良を改善し、体の巡りを良くしてくれる…。お正月明けに食すには、節句や縁起かつぎ以上に意味があるんですね。
いずれにしても、豪華な食事が続いたお正月明けは、消化の良い食事をすることが大切。七草粥は新年の体のリセットにうってつけの食事かもしれません!
大木さと子
国際中医薬膳師・漢方アドバイザー。日本中医学院(旧・国立北京中医薬学大学日本校)卒。よく食べよく飲むOL。ふだんメシをアップするinstagramにて、薬膳の情報も発信中。