覆面座談会参加者
現役事務職女子プロフィール
Aさん(26歳・商社)
・勤務歴/4年
・仕事内容/子会社の経理、契約書・社内報告書作成など
・勤務時間/9:15~17:30
・残業/月平均20~30時間
・年収(手取り)/約430万円
・彼/なし
・住まい/実家
事業投資を行う部署で、子会社の管理業務を担当。会計知識や英語を生かした経理業務のほか、総合職の社内業務も一手に引き受ける。60人ほどの部署で、事務職の女性は10人ほど。
Bさん(27歳・海運会社)
・勤務歴/2年
・仕事内容/データチェック、書類管理、電話応対など
・勤務時間/9:00~17:00
・残業/月平均20時間
・年収(手取り)/350万円
・彼/なし
・住まい/ひとり暮らし
新卒で海運系の会社に総合職として就職。薄給&ボーナスなしで生活ができず転職。現在は大手海運会社の事務処理専門の子会社に勤める。社員は全員事務職で、女性が9割を占める。
Cさん(33歳・銀行)
・勤務歴/11年
・仕事内容/営業サポート、電話応対、経費精算、お茶出し、庶務など
・勤務時間/8:40~17:10
・残業/月平均5時間
・年収(手取り)/約400万円
・彼/なし
・住まい/実家
支店での窓口業務を経て、本社の金融商品を扱う部署へ異動。顧客への売り上げ報告が主な仕事。約20人の部内で事務職女性は4人。社歴11年にして、事務職の中ではいちばん若手。
「総合職と同じような仕事をしてるのに、お給料の差は歴然…。腑に落ちません」(Aさん)
Aさん(以下敬称略) 商社に勤めて4年です。表に立ってバリバリ働くよりも、細かい作業や調整役のほうが向いていたのと、いずれは結婚して家庭と仕事を両立したいと思い事務職を選びました。みなさんはなぜ事務職に?
C 私もAさんと同じです! あとは転勤もないし、長く勤められるというのも決め手でしたね。
B 私は、新卒のときは総合職で就職したんです。ただ、仕事がハードなうえに残業代もボーナスも出ないブラック企業だったので1年半で見切りをつけ、同業種の事務職に。残業は少ないしボーナスも出るだけいいのですが、仕事量が前職の数分の一になって、正直暇ですね(苦笑)。
C 暇なのは私も同じ。毎日、正午までに顧客に書類を送らないといけなかったり、集中して業務をこなすのはイヤじゃないけど、そのぶん、午後はやることがないんです。
B 毎日ルーティンワークで昇進もなければ、目に見える達成感もなくて、やりがいも感じられないですよね。
A そうなんです! 私は忙しいと終電帰りが続く時期もあるけれど、やりがいを感じにくいのは一緒かも。最近は総合職が自分の仕事を当然のように押し付けてきて、私たちを自分の手足のように使うのに「ありがとう」のひとことも言われない…。「私はあんたのロボットじゃない!」って手帳に書きなぐったこともあります。なんのために一生懸命働いているんだろうな〜って思ったり…。
C わかるな〜。私が送別会のお店を予約したときに、総合職の後輩が自分の手柄のようにしていたのはモヤモヤしました。あくまでもサポート的な役割を期待されるのが事務職なんだなって痛感しましたね。
A そうそう! 仕事がデキなくてもダメだけど、主張しすぎるとイヤがられる。たとえば総合職のミスを見つけても「ココ違いますよ」とは言えず、「私の理解が足りないかもしれないので、どうしてこうなるのか教えてもらっていいですか?」って様子をうかがいながら指摘したり…。
B 冷静に考えると、そこまで気を使っていれば疲れるのは当然です。
A 入社当初は「職場の潤滑油になりたいです!」って張り切っていたのですが、いつの間にか、総合職が直接お客さんに話せば解決することの橋渡しまでやらされていました。さらに飲み会では、「お酒がなくなったときの注文やお酌などは君たちの仕事だろ」的な視線を男性上司から感じます。総合職の女子もいるのに…。
「単純作業で暇…。成長も感じられないし、転職しようにもツブシがきかない…」(Bさん)
B おふたりはお給料に満足してますか? 私はひとり暮らしなので、結構カツカツで。仕事がラクだから仕方がないとは思う一方、旅行に行くのもお財布を心配しなくちゃいけないのはつらい。それに、同じチームの派遣スタッフに仕事を依頼すると「できません」と断るのに、時給は1600円。計算したら私よりお給料が多いことがわかったんです!
C 私は今まで毎年1回、昇給していたのが、年齢的にそろそろ頭打ちになりそうで毎年4月はヒヤヒヤ。
A なるほど。私は、たぶん一般的な事務職の人よりは十分なお給料をもらえていると思うから文句は言えないと思いつつ…、腑に落ちないのはは総合職とのお給料の差。負けず嫌いだから、与えられた仕事はやるけれど、総合職のムチャ振りのぶんのお給料はもらってないよ、って。かといって転勤の可能性や業績のプレッシャーを考えると、総合職に転換する勇気も出ないんですけどね。
C 私もエリア総合職への転換を上司から打診されてるけど様子見中。
B 私は事務専門の会社なので、総合職になるとしたら転職するしかないんです。だけど、転職市場で闘える自信もなくて…。今の仕事で英語は多少使うけれど、基本的には定型の単純作業だけ。こんなラクなことばかりやっていたらどこにも拾ってもらえないんじゃないかって思います。
「結婚・出産すること前提で選んだ働き方だけど、このままずっと独身だったら…?」(Cさん)
C 同じ部署にアラフィフ事務職の先輩がいるのですが、小言が多くてああはなりたくない。結婚して仕事とプライベートのバランスがとれたら、こんな不安もなくなるのかな?
B でも、現実は彼氏もいないし、結婚できる保証もないですよね。
A 私は今の会社でずっと働き続ける姿はイメージできないけれど、とりあえず、今の仕事に必要な簿記の勉強はしています。最近はプライベートを充実させようと料理教室などの習い事にもいくつか通い始めたのですが、それもなんだか迷走中…。
B 私も今より幅の広い仕事に就きたいと思いながらも、自分が何をしたいのかさえわかってないんです。とりあえずこの数年でめどを立てなきゃかな。
C 10年後、私たちってどうなってるんだろうね。
一同 はぁ…(ため息)。
2018年1月号「事務職女子の天井」より。
本誌掲載時スタッフ:イラスト/中村純司 構成/酒井亜希子・赤木さと子・平澤奈々恵(スタッフ・オン)
再構成:Oggi.jp編集部