【33歳の妊活日記】by OLライターHana
バリバリと仕事をしてきた20代、30歳を越えこのまま独身バリキャリを貫くのかと思ってた矢先に社内の先輩男性と縁あって32歳で結婚。
さぁ次は妊娠と考えた2016年5月から、2018年の今、未だ妊娠に至らず…自分の努力だけでも越えられない壁があることに気がつき、同時に同じ悩みを抱える30代女性の多さを知る。
自分は妊娠できるのか、その答えはまだ見つかっていないけれど、同士のような女性たちへのエールもこめ、またこれから先、妊娠に悩む女性たちに少しでも役立てばと、実録で33歳兼業主婦ライターが妊活をリポートします。
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#33 ずっと排卵に苦戦中。まだ妊活のスタート地点にも立ててないの?
Hmg注射を連日行ったけれど、卵胞は育たなかった。にも関わらず、クリニックからはその日にステップアップ、つまり人工授精の提案はなく、このままHmg注射を継続することになりました。
不思議なことに、その日は今後の注射頻度の提案もなく、これから私はどうするのだろうと考えながら翌日もまた注射へ向かったのです。
いつもの処置室に入ると比較的頻度高めに当たるかわいい看護師さんがいました。このクリニックでは注射をするのは毎回看護師さんなのですが、これまで忙しそうに事務的に注射だけを行ってくれる看護師さんからこの日初めて声をかけられたのでした。
看護師さん「Hanaさん、今日も注射ですね・・・なかなか排卵に至っていらっしゃらないみたいですが、大丈夫ですか?? おつらくないですか??」
Hana「( ゚д゚)ハッ! つ、つらいです。私、通院してから一度も排卵できていないんです。」(突然なに!? 私があまりに排卵しないからかしら??)
看護師さん「そうですよね。排卵しづらい方はたくさんいらっしゃいますけど、ここまで不妊治療日程だけが長くなってしまうとつらいですよね」
そう。不妊治療を始めたときに渡されていた不妊治療日程表。1枚で17日分の治療の記録ができることになっているのですが、私の場合、自己注射を開始した9月から約2か月。一度も排卵に至らないもんで、日程表の枚数だけが増え、ついに3枚目に突入していたのでした。
よく妊活している人のブログや妊娠についてのインタビュー記事などで「今月も生理がきてしまってトイレで泣いた」とか「基礎体温が下がってがっかり」なんていう文章を目にしますけど、私の場合は、たまごが育たず排卵しないので、生理が来てがっかりすることさえ未経験でした。
それこそドラマや漫画でよく見る妊活って、パートナーと排卵日にタイミングをとっても生理が来てしまってがっかりみたいなシーンを描かれていることが多いと思いますが、タイミングを取るというスタートラインにも立てない不妊ケースもあるわけです。
そうすると生理がしっかりと来ていて妊娠できない人とは全くちがう悩みで「今月も生理が来て、がっかりした」その状況に小さな憧れすらも抱いている自分もいました。
排卵自体に苦戦する人、排卵するけれども妊娠に至らない人、妊娠はするけれども継続が難しいひと。
ひとくくりに不妊といっても色々なケースがあるんですよね。
通院して初めて、自分の聞きたい事、話したい事を話せそうと思った私は、堰を切ったように看護師さんに話し始めました(今までも本当はこうやって、先生に話せば良かったんでしょうね)。
看護師さんの口から出た“ドリリング”手術という言葉
Hana「こんなに排卵しない人なんているんでしょうか?」
看護師さん「そうですねえ。いるには、いますよ。先月いらしていた方も似たような状況でかなり長期間注射をしても、卵が育たなくて苦労されていましたね。注射ばかりして、結果が出ないと気持ち的にしんどいですよね。今、お気持ち的には大丈夫ですか?」
Hana「はい。私としてはもちろんたまごが育たないのも困っているんですけど、初潮からかなりの生理不順なのでそこはある程度覚悟をしていたというか・・・それほど追い詰められているわけではないんです。
ただ、毎日注射に通わないといけないプレッシャーっていうのかな? 仕事との両立面で正直つらいなあと思う時があります。
ちなみに私の場合ですが、これで排卵しなかったら人工授精ですか? 先生からは少し前に人工授精の話が出たんです」
看護師さん「そうですよね。この状況でお仕事をしながら通うのはかなりしんどいですよね。それに排卵してくれない限り、Hanaさん自身もがんばりようがないですもんね。
えーっと治療方針については基本的に先生が決めるんですが、先ほど話した患者さんの場合は“ドリリング”という手術をされていましたよ。
“ドリリング”っていうのは卵巣にレーザーでいくつか穴を開ける外科手術で、これをすると多嚢胞の人も排卵しやすくなるんです。
その方もその手術をされた後はしっかり排卵されていました。ただこのクリニックは手術はできないので、もし手術をすることになるとしたら、紹介した病院で受けてきていただいて戻ってきていただくことになるんですが…」
Hana「そうなんですね! そんな方法もあるんですか。正直なところ、私としては今すぐに“人工授精”にステップアップというのは少し抵抗はあります。できれば自然妊娠で授かりたいという気持ちもあるし。
とはいっても仕事もしているし、年齢的にも時間的にも余裕がないことは理解しているつもりです。もし先生からみてもっと効率的に妊娠できる方法があるのであれば、それは提案頂けたらちゃんと検討したいです」
ここまで自分の気持ちをしっかりと伝えられた自分ブラボー!
普段日記や友人にただグチグチ、つらつらと妊活のつらさを語っていただけの私だったので、こんなにも率直に妊活に対しての気持ちを伝えることができ「私はそんなこと思っていたのか!」と自分で自分に驚いてしまいました。
すると看護師さんから
「そうですか! そうしたら、よかったらその話をドクターとしてみませんか? ドクターも本当は提案したほうがいいと思っていても、外科的治療な嫌がる患者さんが多いので積極的に提案しないケースが多いんですよ」
と言われ、なんと翌々日の診察でドクターとお話することになりました。初めて自分の気持ちをクリニックの方にぶつけることができて、とてもすっきりしました。
しかしクリニックの帰り道、ふとこんな考えが頭をよぎる・・・
もしや、排卵の見込みがなさそうな私に、“ドリリング”や“人工授精”のステップアップを勧めたいけれど、私に抵抗感があるかもしれないから、敢えて看護師さんにヒアリングをするように仕向けたのだろうか・・・
看護師さんと話したときは、別の方法やほかの患者さんの状況も聞いて晴れやかな気持ちになっていたにもかかわらず、私は先生からもみても排卵しない患者と思われているのかもしれないと急激に不安になり始めました。
そしてその日の夜、そんな不安を払拭してくれるかもしれないという淡い期待を抱きつつ、今日看護師さんから勧められた“ドリリング”についての話を旦那さんにしてみました。
その反応、いかに・・・
“ドリリング”手術に絶対反対と言い張る旦那
夫「えー手術? いや、それは反対。絶対反対。話は聞いていいと思うけど、今俺たちが選択するものじゃないと思う。」
Hana「でも、“人工授精”も反対で、“ドリリング”も反対だったらどうしようもないじゃない。“ドリリング”は私が手術さえしたら、“人工授精”じゃなくて自然妊娠で進められる可能性が高いんだよ。」
夫「体を傷つけてまで妊娠したい気持ちが正直わからないよ。別に最悪の最悪、こどもができない人生だっていいじゃない。今だって楽しくやれてるじゃん。」
ここらですぐに私が不機嫌になってしまい、その後のやりとりの記憶がありません。
この日の旦那は私の不安を払拭するどころか「ドリリング反対」「手術反対」の一点張りで何も話になりませんでした。
それでも私も不妊治療をやめるわけにはいかないので、まずは説明を聞きに行って旦那を説得することにしました。
世の中に出回っている妊娠報告、出産報告ってすごく淡泊、簡潔に書かれていますよね。
「ご報告。現在、妊娠〇か月です。」
「ご報告。本日〇時〇分に****グラムの男児を出産しました」
とか。けれど、その報告に至るまでには当事者さえも気づいていない、ものすごい数のステップがあるんですよね。
私もいまだに妊娠に至るステップは全部で何工程あるのかなんてわからないけれど、少なくとも自分がファーストステップで躓いていることはわかっていました。
妊活において、どこのステップで躓いている人が一番つらいんだろうか? 最初のステップで躓いている私は、生理が来た時の毎月のがっかりはないけれど、スタートラインにすら立てていないという焦り、次のステップでも躓くのかもという不安がある。
きっと最後の最後のステップで躓いているひとはあともう少しなのになんでという悩みがある。
どの状況の人がいちばんつらいんだろう。
私はまだまだ序の口なのかしら。いや、そもそも私なんてつらいとか言っていいレベルではないのかな。
そんなことを毎朝通勤電車の中で考え続けているのでした。
つづく
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※この連載は個人の体験です。治療や薬の処方などに関しては必ず医師に相談してください。
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初出:しごとなでしこ
Hana 33歳兼業主婦ライター
広告代理店で働くアラサー主婦OL。結婚2年目。主婦業、仕事に追われながらも、ただいま子作り奮闘中。夢は、家族でハワイ移住。