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LIFESTYLE

2018.11.22

人生大迷走中のアラサーが絵本『くまのプーさん またあの森で会おう』を読んで、本当に大切なものに気が付くことができた

いいことも、わるいことも、全部ひっくるめて人生。夜が長くなる冬におすすめしたい、絵本『くまのプーさん またあの森で会おう』(小学館刊)をご紹介します。プーさんの何気ない一言は、大人になったクリストファー・ロビンだけでなく、忙しすぎる女性たちの心にも刺さります。

大人の心を動かす、絵本『くまのプーさん またあの森で会おう』

■:私たちの子供時代と悠々自適なプーさんの暮らし

大好物のハチミツにまみれているプーさんは、子供のころの憧れでした。気の合う仲間たちに囲まれて、大きな木の根っこ部分をうまく利用して作られた素敵なおうちで自由気ままなひとり暮らし。ピンチのときはクリストファー・ロビンという人間の男の子がいつも助けてくれるんです。

クリストファー・ロビンは本当にいいヤツ。親友にするならクリストファー・ロビンみたいな人がいいと思っていたけれど、筆者の現実は、ティガーみたいなお調子者キャラがあふれていました。

学校と自宅を毎日往復し、好きでもなければ興味もない分野であったとしても、宿題を出されたら自分の時間をつぶしてでもこなさねばならないし、「それが子供の仕事なんです」と言われればそれまでなのですが、「子供なりに毎日忙しい日々を過ごしていた」という人は多いかと思います。

筆者はてっきりクリストファー・ロビンも、プーさんと同じように悠々自適な生活を送っている男の子な印象を持っていたのですが、どうやら彼も忙しい子供のひとりだったみたい。この絵本の冒頭は、プーさんがひとり。赤い風船を持って佇んでいる、ちょっと寂し気なイラストからはじまります。

■:年齢を重ねて感じる「増える責任」と「減ってゆく心のゆとり」

あのクリストファー・ロビンが何年もプーさんや仲間たちと過ごした100エーカーの森をお留守にしていたというのも驚きだったのですが、その間、どんな人生を過ごしていたのか気になる人はぜひ映画をご覧くださいね。大人になってあの森へとカムバックしたクリストファー・ロビンの様子はけっこう衝撃的でした。

プーさんは、懐かしい友達に会えて大よろこび。

ところが、大人になったクリストファー・ロビンは昔とくらべるとなんだか不機嫌そうで、聞いたこともない言葉をつぶやいています。

引用:『くまのプーさん またあの森で会おう』より

スーツ姿で立派なビジネスマンに成長したクリストファー・ロビンのイラストに、ほっこり遠い親戚のおばちゃんみたいなまなざしを向けながら絵本を読み進めていたのですが、クリストファー・ロビンの社会人生活は、夢と希望にあふれたファンタジーの世界からは遠く離れてしまったみたい。

あんなにやさしくっていい子だったクリストファー・ロビンが大きな声をだして怒っていたり、プーさんのマイペースな行動にイラついてきたり…。もう「どうしちゃったんだ」と驚く半面、自分も同じ状況ならそういう風に思うかもと共感してしまうところも多く、心のキャパシティが年を重ねながら狭まっていたことに気づかされました。

「人生には、風船とハチミツよりも大切なことがあるんだよ!」と、大声で言いました。

「ぼくはもう子どもじゃない。大人なんだ。」

「だけど、きみはクリストファー・ロビンでしょ。」と、プーさん。

引用:『くまのプーさん またあの森で会おう』より

ふと、思いました。子供時代の自分が、大人になった今の自分をみたら、どんな風におもうのかな?って。

プーさんの物語に夢中だったころの子供時代の私たちが思っていた20代、30代の人って、立派な大人でしたが、この年齢になってみて思う自分自身の中身って、実態はあまり変わっていなかったりしませんか? 筆者の場合、子供のころ好きだったぬいぐるみは今もずっと好きだし、暗い場所は今でも苦手だし、小さなことですぐに落ち込むし、頭もそんなによくないので、思っていることをうまく言えなくて悔しい思いをしたりします。

大人になったからって本質的なところは変わらないんだなとは思いつつ、やりたいこと・やらなくてはならないこと・やりたくないこと・やらなくていいことのバランスがうまく調整できないと、自分を見失いそうになることがあります。一番大事な自分の本音がどこかに置き去りになっているような状態で暮らしていくのは、あまり幸せではありませんよね。目の前のことだけにとらわれすぎて視野が狭くなってしまうと、人としての魅力も薄れます。

■:今、手にしているものが宝物かもしれない

プーさんのシンプルな価値観を向けられてだんだんと本当の自分を取り戻していくクリストファー・ロビンが「長いあいだずっと、迷子になったような気持ちだった」と語るラストシーンがじーんときます。

「でも、ぼくがきみを見つけた。そうでしょ?」

と、プーさんが言いました。

引用:『くまのプーさん またあの森で会おう』より

思えば、筆者もずっと迷子です。誰か見つけて。ここにいるよ。読み終わってから、クリストファー・ロビンにこんなに共感するとは思いませんでした。どっちかというと、子供の時はプーさんが何かやらかすたびに、いつもフォローしているやさしすぎる人というイメージが強すぎて、「手のかかるぬいぐるみをお持ちで大変ですね」くらい距離を置いた印象しか持っていなかったのですが、いっきにクリストファー・ロビンに親近感がわいてきました。

クリストファー・ロビンと飲みに行きたくなりましたもの。映画ではクリストファー・ロビン役をユアン・マクレガー氏が演じているんですか。そうですか。そうですね。当たり前ですが…飲みに行くのはゼッタイ無理ですね(笑)。

でも自分の隣にクリストファー・ロビンとユアン・マクレガーがいなくても、半径5mくらいの範囲には友達や恋人、家族や同僚など、かけがえのない仲間がいます。新しい出会いを探すよりも、身近にいる人たちとのご縁をよく見つめることはすごく大事です。困ったときに力になってくれる人は、意外と近くにいるものですから。

もし近くにいるのが、気が弱いピグレットやお人よしなイーヨーみたいな人だったら、自分が助けてあげる側になることが多いかもしれないけれど、「人間関係って得てしてそんなものだよな」とも思ったりするわけです。

■:どこかのお城の王子さまより気の合う仲間と過ごすいつもの時間を大切に

絵本に込められたメッセージの読み取り方や感じ方は、きっと読み手側の歩んできた人生によって大きく異なる部分があるとは思いますが、まっさらな気持ちで読む子供たちはどんなふうに受け止めるのか、すごく興味深いポイント。

自発的に考える力を育てる知育教育に注目が集まる昨今、カッコイイだけではなくなったクリストファー・ロビンのような大人は、イマドキな子供たちにどう映るのでしょうか。そこから、どんな未来を描くのでしょうか。この絵本は、すべての漢字にふりがながふってあるので、チビッコへのクリスマスのプレゼントとしても学年を問わずに楽しんでもらえると思います。

いつやってくるかわからない王子様を待つことよりも、いま隣にいる気の合う仲間たちと過ごす時間を大切に思えること、日常の何気ない一瞬を大切に思えること、ごめんねと言えることや許してあげられること、そんな幸せの在り方を、大人にも子供にも指示してくれているような一冊です。

絵本というと子供向けに書かれているイメージがありますが、ぜひ一度、大人も手に取ってみてください。この本に出てくるイラストのプーさんがまためちゃくちゃ可愛らしいのです。おおらかなプーさんのまなざしが、あなたにとっての居心地のいい場所を思い出せるきっかけになるかもしれませんよ。

『くまのプーさん またあの森で会おう』(小学館刊)
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初出:しごとなでしこ

朝岡真梨

50か国・200都市を超える海外旅行経験をもとに観光スポットやグルメなどの紹介をしている。料理が得意で独自のレシピも執筆中。夫婦で温泉ソムリエの資格を取得し、国内のみならず世界中の温泉旅行を楽しんでいる。


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