松屋のカレー、本当に凄いんです!
今まで様々なカレー専門店や、専門店ではないのに専門店に負けないカレーを出すお店をご紹介してきましたが、わざわざ遠くまで食べに行くタイプではない方や、地方在住の方に聞かれることが多いのが、「チェーン店のカレーだとどこがおすすめですか?」という質問です。
そんな時、僕はいつもこう答えます。「松屋です!」と。
すると皆さん「え? 松屋って、あの、牛丼の松屋ですか?」と混乱したようなお顔をされます。一般的には牛丼の松屋であるかもしれませんが、僕にとってはそうじゃないんです。そして前々からこう言っています。「松屋はカレー屋」だと!
松屋のカレー、凄いんです。
普通チェーン店となると万人受けする味を作るように心がけるので、尖ったメニューはなかなか出さないものなんです。美味しさにも色々とありますが、クセのある美味しさというのはマニアには好かれても一般層には好かれないというか、家族連れで行くようなお店だと、お父さんは好きでも子供には好きじゃなければ行かなくなってしまいます。間を取るとどうしてもクセのない、普通に美味しいものになってしまいがち。
それが松屋は違うんですよ。
クセ、あります。尖りまくってます。
まず辛い。カレーマニアからしたらそれほど辛いと感じる辛さではありませんが、一般的には辛口だと思われます。甘口なんて甘っちょろいメニューは出さない所がカッコイイ!
そして辛いだけではなく、バランスの良い辛さであり、玉ねぎの旨味をしっかりと感じる手の込んだカレーであり、結果個性ある美味しさで、他のカレーチェーンと比べても負けないどころか価格を考えれば独り勝ちしているようなクオリティなんです。
そんなわけで今回は松屋のカレーを色々とご紹介。
まずは定番のカレギュウ。そしてハンバーグカレー。
▲カレギュウ、生野菜
▲ハンバーグカレー、生野菜
これがどちらも非常に美味しいんです。牛丼のアタマやハンバーグがつかないカレーライスもありますが、せっかくですからここはどちらかつけましょう。これがつくことによって美味しさが増しますから。
味噌汁もついてくるのですが、カレーに味噌汁という組み合わせは違和感覚える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、こう考えれば良いんです。「味噌汁ではなく、ダルスープだ!」と。
ネパール料理の定番メニューであるダルバートは、ダル(豆のスープ)とカレー味のおかずとご飯という組み合わせの定食。つまりそういうことです。松屋のカレーにはジャパニーズダルスープがつくんです!
ただ、ネパールの場合は混ぜて食べますが、松屋では混ぜない方が良いでしょう。カレーを食べ、味噌汁を飲んでまたカレーに戻ると不思議とスパイス感が増すんです。そのように使うのがおすすめ。
それでもスパイス感が足りない方は、卓上にあるジャパニーズガラムマサラ(七味唐辛子)やジャパニーズレッドジンジャーアチャール(紅生姜)を加えれば良いでしょう。自分好みのスタイルに変えることができるのも松屋の楽しさです。
そして松屋、レギュラーのカレー以外にもめちゃめちゃ攻めたカレーを期間限定で出しているんです。過去に出していた限定カレーの一部をご紹介しましょう。
▲ごろごろ煮込みチキンカレー、生野菜
これは松屋のカレーファンに大人気だったメニュー。名前のとおりゴロゴロっと沢山入った存在感のあるチキンが具になったカレーです。カレー食べた! 肉食べた! という満足度が廉価で得られるのですから最高です。
▲粗挽き肉と茄子の麻婆カレー定食
これも最近の限定メニューですが、麻婆茄子のカレー味の定食というスタイルでした。これがまた美味しかった! 街の中華屋にこれがあったら人気看板メニューになりますよ。
▲ビーフカレー、生野菜
肉を豪華にしたビーフカレーも一時期出ていました。欧風カレーに少し近くなるのですが、根本は松屋のカレーです。松屋のカレーは何にでも合うんですね。
▲チキンと茄子のグリーンカレー
そしてここ数年で特に凄かったのがこちら。グリーンカレーです。しかもそんじょそこらのタイ料理店のグリーンカレーより美味しいと思えるクオリティのものが安かったんですから。材料から仕込みから全然違うものをこうやって攻めてくるあたり、松屋のカレーに対する本気度がうかがえます。
▲マーボーカレー
▲麻婆カレー
今年注目の中華系カレーも松屋はかなり昔から出していました。このセンスと先見の明、素晴らしいです。しかも松屋は一般的な麻婆豆腐のマーボーカレーだけではなく、ありそうでなかなか無いタイプの麻婆茄子の麻婆カレーも出していたんです。
▲スパイシーポークカレー
松屋は定期的にカレーソースを改良しているんだそうです。その中で試験的に出ていた新しいカレーソースを使ったものがこちら。これも悪くなかったんですが、やっぱりレギュラーのカレーが強いというか、完成度高いんですよね。
▲野菜たっぷりカレー+ハンバーグ
チェーン店となると野菜不足になりがちなのも松屋は考えてくれています。生野菜セットという手もありますが、生野菜が苦手な方のために、野菜たっぷりカレーというメニューが出ていたことも。一日分の野菜の半量が取れるというのが売りでした。写真のハンバーグは個人的にトッピングしたものです。
▲フレッシュトマトカレー野菜セット
僕が「松屋はカレー屋」だと言い始めたのはこのトマトカレーが出たころ。トマトがメインでニンニクがきいていて突出した個性。カレーマニアの間でも「はたしてこれはカレーなのか!?」と議論になったくらい。個人的にはこういうカレーがあっても良いじゃないかと思っていましたし、また、こういうカレーを作ってくれてありがとう! と感謝したんです。しかもとんでもなく安かった。2010年の時点で、単品290円でしたから。
▲ごろごろチキンのトマトカレー野菜セット
最後にご紹介するのがこちら。2018年7月現在、店舗限定、期間限定で試験的に提供されているメニューです。
僕が松屋はカレー屋だと思うきっかけとなったトマトカレーと、マニア人気の高かったごろごろチキンが合わさった足し算の美学\(^o^)/。現在は試験的に提供していて、なくなり次第終了。好評であれば全国展開していこうと考えているそうです。これは是非全国のカレーファンに食べてもらいたい逸品です。カレーの奥深さ、そして松屋の凄まじさを体感できる尖りまくったメニューですよ!(追記:好評につき8/7から全店販売決定とのこと!)
松屋のカレーが何故ここまで攻めているのかというと、会長がカレー好きなんだそうです。新メニュー試食会の時に、作っている段階から会長が「もっとこのスパイス入れよう」と、攻めたカレーにしてしまうんだとか。なんと素晴らしい会長でしょうか! チェーン店だからといって一般受けを狙う所ばかりではつまらないです。松屋のように、一般受けを狙わない攻めたメニューを出すチェーンがあるのは非常に嬉しいこと。カレー以外のメニューも実は攻めまくったメニューですからね。
そんなわけで僕は松屋のカレーが大好きです。個性的で、美味しくて、安くて、24時間営業なのでいつでも食べられる安心感があって。行こうと思っていたカレー屋が臨時休業だったり早じまいだったりでカレー難民になった時、最後の砦として松屋が存在してくれています。
これからも攻めたカレーを作り続けて欲しいと思います。ちなみに松屋を運営する松屋フーズでは、「マイカリー食堂」というカレーの専門店も展開中。こちらも美味しいのですが、個人的には松屋のカレーの方が好きなんです。カレー屋以上にカレー屋。最後にもう一度言いましょう。
「松屋はカレー屋」です\(^o^)/
初出:しごとなでしこ
AKINO LEE カレーおじさん\(^o^)/
ヴォーカリスト、パフォーマーとして自身の活動の他、様々なアイドルの作詞作曲振付プロデュースを担当。ヴォイストレーナーとして後進の育成にも力を注いでいる。音楽ライターとしても各種雑誌、ムック本などで執筆を担当。また、カレーおじさん\(^o^)/としても知られ、年間平均900食以上のカレーを食べてきた経験と知識を活かしてTVや雑誌など各種メディアにおいてカレーについて語っている。
http://www.akinolee.tokyo/