山本美緒さんってどんな人?
今回ご紹介するのは、既製のデニム商品を購入者の希望に沿って刺繍やダメージ加工でカスタマイズするマスターテーラー・山本美緒さん。
110ヵ国以上で約50,000店舗を展開する、世界でもっとも売れているジーンズブランド【リーバイ・ストラウス(通称、リーバイス)】。
山本さんは、5年前、世界で5店舗目のリーバイスのテーラーショップが東京にオープンした際、マスターテーラーとして抜擢されました。
そして、そのカスタマイズ技術が瞬く間に人気を集め、現在では、渡辺直美さんや太田莉菜さん、シシド・カフカさんなど数多くの著名人からの依頼も殺到。
順風満帆のように思える山本さんですが、実は、専門学校時代はクラスでも落ちこぼれだったのだとか。
卒業後も縫製の仕事を希望するも就職活動に失敗。縫製以外の仕事を転々としていたけれど、どの職業もあまりうまくいかなかったのだそう。
それでも縫製の仕事を諦めきれず、26歳でフリーターになり、古着リメイクのアルバイトをしながら切磋琢磨。
そんな山本さんの縫製技術がリーバイス社の知人の目に留まり、見事試験に合格しました。そして現在では、日本初のマスターテーラーとして活躍中。
「挫折があったことが生きている。挫折しまくってよかったと思える」という言葉が印象的です!
山本美緒さんの「7つのルール」
さて、そんな山本さんが「いつもしている7つのこと」=「セブンルール」とは…
1.根掘り葉掘り聞かない
デニム商品をカスタマイズする際、お客さんの人柄や職業を参考にすることも。しかし、お客さんの中にはあまり自分のことを知られたくない人もいるので、プライベートなことは聞かないように徹底。「パンツの折り返しの裾に髪の毛が入っていたら、美容師さんかなと予測して動きやすい服にする」というように、些細な情報からお客さんの実情を掴み、それぞれにあったカスタマイズを提案するのだとか。細かな気配りに脱帽です…!
2.ミシンをリスペクトする
山本さんの工房には、服に合わせて最適な加工ができるよう、機能の異なるミシンを5台完備。山本さんいわく、ミシンは“尊敬する職場の先輩”なのだとか。作業中、ミシンの動作不良があると、「お願いします!」と話しかける姿は微笑ましいですね♪
3. 2つのことは同時にしない
職業柄、器用なイメージがありますが、山本さんは意外に不器用なことに悩んでいるのだとか。同時作業をすると片方に偏ってしまうので、自分の中で最高の状態にもっていくためには、1つずつやらないといけないという。そんなところもまた魅力的!
4.どんなに遅くても夫婦揃って夕飯を食べる
山本さんの旦那さんは、自営業で青果店を経営。夜ごはんは、基本的に山本さんがメインを作り、旦那さんが野菜料理を担当。お互い仕事が忙しいので、夜ご飯を食べながら話すのが日課なのだとか。
5.休日はデニムを着ない
普段、デニムを履く機会が多いので、休日はデニムを履かないようにしているそう。お客さんの中にはデニムを履かない人もいるから、その感覚を思い出すことを大切にしているという。
6.納得いく糸でしか縫わない
デニムには色落ちするものなどさまざまな種類があるため、そのデニムに合った糸をみつけるのが難しいのだそう。そのため、工房にはなんと300種類以上もの糸を常備。山本さんは、裾上げに使う糸にさえもこだわりが。納得しない糸ではないと縫わないという信念の持ち主。
7. 針と糸と棺桶に
山本さんの原動力は、ただただ、縫うことが好きということ。誰にも止められなかったら、永遠と縫っていられるほど好きなのだそう。「針と糸は死ぬ寸前まで持っていたい」という言葉が言えるほど好きなものに出合えたのは、羨ましいですね!
縫製へのこだわりと信念をもって日本初のマスターテーラーとして活躍しながらも、挫折を味わい、どことなく人間的な魅力も兼ね備えた山本さん。今後も応援しています♡
文/かわはらりな
次回の「7ルール」の放送は、4月3日(火)よる11時~11時30分です(3/27はOA休止です)。主人公は、バブリーダンスの生みの親で、大阪府立登美丘高校ダンス部のコーチ・akaneさん。
しごとなでしこでは、様々な分野で輝いている女性たちに密着! 番組を振り返り、仕事をする女性たちへのヒントを見つけていきます! ぜひチェックしてみてくださいね♡
初出:しごとなでしこ
マスターテーラー 山本美緒
1984年生まれ 石川県出身 33歳。リーバイス®ストア新宿のテーラーショップでマスターテーラーとして活躍。ステッチ、刺繍、シルエットのリメイクを施してカスタムデニムを製作する技術で、モデルや業界人のファンが多い。 服飾の専門学校を卒業後、就職活動に失敗し様々な職を転々とするが、25歳で古着をリメイクするアルバイトを始め腕を磨く。 28歳でリーバイスに縫製技術を認められ、アジアで女性初となる現職に就く。