2003年の連載開始以来多くのファンに愛されてきた人気漫画『銀魂』が、「勇者ヨシヒコ」シリーズを手掛けた福田雄一監督によって実写化されました。
本作は、主人公の坂田銀時に小栗旬さんを迎え、菅田将暉さんや橋本環奈さん、堂本 剛さん、長澤まさみさん、そして福田作品には欠かせないムロツヨシさんや佐藤二朗さんなどが脇を固めた豪華キャストとなっています。中でもキラリと光る存在感を放っているのが特殊警察・真選組で荒くれ隊士たちをまとめるクールな土方十四郎を演じた柳楽優弥さんと、一見ナイーブな美少年に見えるけど実は真選組の中で戦闘力と剣術がピカイチの沖田総悟を演じた吉沢亮さん。お二人に今作の撮影の様子や自身が演じた役柄についてなどをうかがいます。
物語の舞台となっているのは幕末の江戸。黒船じゃなく宇宙船とエイリアンがやってきた世界で暮らしながら、なんでも屋「万事屋(よろずや)銀ちゃん」を営む坂田銀時(小栗)のなんてことない日常から始まります。(実はその前にちょっとしたエピソードがありますが、それは見てのお楽しみ)。銀時と従業員の新八(菅田)、居候の怪力少女・神楽(橋本)がいつものように暇を持て余していると銀時のかつての盟友で現在は、江戸で暗躍する攘夷志士の桂小太郎(岡田将生)が謎の辻斬りの凶刃に倒れ行方不明になったとの知らせが…。。果たして辻斬りの正体は一体誰なのか? そしてその影でうごめく人物の目的とは…?
柳楽「吉沢くんは見た目も含めて完全に沖田だなと思った」
ーーお二人は中村勘九郎さん演じる近藤勲局長率いる真選組の副長・土方と隊長・沖田を演じてらっしゃいますが、共演してみていかがでしたか?
吉沢:「登場人物全てのキャラが濃いので、僕もあえてキャラが立つようなお芝居を意識していたんです。でも、柳楽さんはナチュラルに演じながらも土方に見えるお芝居をされていたので凄いなと思いました。台詞ひとつとっても間の取り方でより一層面白くしてしまう柳楽さんのテクニックはとても勉強になりました!」
柳楽:「ありがとう(笑)。吉沢くんは見た目も含めて完全に沖田だなと思ったよ」
吉沢:「逆に柳楽さんの方が完全に土方でしたよ」
柳楽:「いやいやいや、思ってねえべ(笑)」
吉沢:「思ってます!(笑)」
柳楽:「自分で言うのもなんですけど、真選組の近藤、土方、沖田の三人は原作に割と近いんじゃないかなと思います。ただ、役の性格的なことで言うと、土方は口数の少ないクールなキャラクターだから、そこはあまり似てないかもしれません。僕は話していて楽しいほうが好きなので土方のように常にクールではいられないんですよ。自分とは違うキャラクターだからこそ、土方の一本筋が通ったような台詞を発するのは演じていて気持ち良かったですし違和感は全く感じなかったです。楽しく演じさせて頂きました」
吉沢「福田監督は、ずっと笑ってるんです」
ーー柳楽さんは福田さんが手掛けたドラマ『アオイホノオ』や映画『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』に出演されていましたし、吉沢さんは今作が福田組初参加ですが今年公開の映画『斉木楠雄のΨ難』でもご一緒されていますよね。福田監督の現場はどんな感じなのでしょうか?
吉沢:「監督は現場でいつも賑やかでした。役者達との距離感も近い方ですし、カメラが回ってなくてもずっとゲラゲラ笑ってらっしゃって(笑)」
柳楽:「ほんとずっと笑ってたよね(笑)」
吉沢:「ただ、監督が笑ってないときはちょっと怖いんです。いつも楽しそうにされてるからこそ、たまに笑っていない時があると“今のお芝居ダメだったのかな”と不安になるというか。あと真顔で“はいオッケー”とおっしゃった時もかなりドキドキします(笑)」
柳楽:「確かにあれ怖いよね(笑)。でも基本的には本番中でも監督の“あっはっは!”って笑い声が聞こえることが多かった気がする。笑ってない時は役者の芝居に見入っちゃってるか気に入ってないかのどっちかだよね。そのボーダーラインを常に超えてくるムロツヨシさん、安田顕さん、佐藤二朗さんはさすがだなと思いました(笑)。銀魂の世界観を福田ワールドに取り込んじゃってるのも凄いよね」
吉沢:「安定の福田ワールドで、見ていて安心感がありました(笑)」
柳楽:「あと、福田監督の作品は毎回最新の機材を取り入れて撮影している印象があったんですけど、今回も日本に数台しかないカメラを使っていました。セットでの撮影ではグリーンバックの背景で撮っていたんですけど、その最新のカメラで撮るとモニターにはCGで作った背景がちゃんと合成されて映るんです。そのおかげで完成がイメージしやすいのでやりやすかったです」
柳楽「プレッシャーや怖さが原動力になった」
ーー福田監督からはお二人に役作りについてのリクエストは何かありましたか?
吉沢:「クランクイン初日に“吉沢くんが淡々と台詞を話す感じが沖田っぽいね”と監督がおっしゃって、それ以降は特に何かリクエストされるということはなかったです」
柳楽:「“土方はマヨネーズが好きで常にタバコを咥えてるっていうキャラクターだよ。後は任した!”と監督がおっしゃって(笑)。福田監督とご一緒するのは今作で4回目だったので、それでキャラクター作りに関しては任せてくださったのかもしれません。あとは、“原作に忠実すぎるよりは、柳楽くんがイメージした土方でいいと思う。原作にあまりとらわれすぎない方がいいんじゃないかな”とおっしゃったのでその言葉で気が楽になりました。もちろん原作ファンの方にも楽しんで頂けるように大事な部分は意識しながら演じていました」
吉沢:「僕は原作をかなり意識して演じていました。やはり人気の作品なので、台本を読んだ後にアニメ版を見たり原作を読んで研究したり。今まで原作のある作品の実写を演じさせて頂く時はあえて原作を読まなかったり原作を読んでも自分の解釈で演じてきましたが、今作に関しては原作の沖田のイメージから離れすぎてしまうと原作ファンをガッカリさせてしまうんじゃないかなと思ったので」
柳楽:「叩かれたら嫌だしね(笑)。でも逆に僕はそういったプレッシャーや怖さみたいなものが原動力になっていました」
吉沢「福田ワールド全開な二郎さんが最高なんです」
ーー福田作品と言えばコミカルなシーンが多いのもひとつの魅力ですが、お二人の役は今作の中でも真面目というかクールというか…コミカルな要素は少なかったですよね。
吉沢:「そうなんです。今作の沖田はツッコミでもボケでもなく、無口だけど毒舌なキャラだったのでコミカルなお芝居での遊びができなかったのが少し心残りで…(笑)」
柳楽:「そうだよね。土方もどちらかというとクールなキャラだったからなぁ…。福田さんとご一緒するまでコメディ作品には挑戦したことがなかったんですけど、何故か僕のWikipediaを見て福田さんがコイツはいけると思ったらしく声をかけてくださったんです(笑)。それで『アオイホノオ』に出演させて頂いたんですけど凄く嬉しかったです。これからもWikipediaを充実させていこうかな(笑)」
吉沢:「(笑)。笑いという点で言うと、今回は二朗さんが個人的に圧倒的に面白くてツボにハマりました。役者陣それぞれがキャラを全うして演じている中で、福田ワールド全開な二郎さんが最高なんです!」
柳楽:「二郎さんって笑いの偏差値が一切下がらないのが凄いよね(笑)。笑いに厳しい福田さんの期待にしっかりと応えられるなんてなかなかできないですから。僕も笑いのセンスをレベルアップさせてまた福田組に参加したいです」
吉沢:「僕も次回はコミカルなお芝居に挑戦したいです!」
文/奥村百恵
映画「銀魂」公開中
脚本/監督:福田雄一
出演:小栗旬 菅田将暉 橋本環奈 ほか
原作:「銀魂」空知英秋(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
製作:映画「銀魂」製作委員会
制作プロダクション:プラスディー
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:gintama-film.com
公式Twitter: @gintama_film
©空知英秋/集英社 ©2017 映画「銀魂」製作委員会
初出:しごとなでしこ