深夜3時まで、正座させられて説教されるセレブ妻
先月、筆者は子どもの運動会で、PTA役員として開業医の妻の専業主婦と一緒に数時間、裏門の入場管理を担当しました。小枝のように細く、体重も30キロ台だと言い、顔色は青くフラフラしています。
「パパに怒られたのよ。昨日もパパ用のカレーを作っていなかったと、深夜3時まで正座させられてお説教されたの。だから毎日寝不足で、ご飯もおいしくなくて」と語っていました。この“深夜説教”は、エリート夫の妻虐待の定番行為で、取材でもよく聞く話です。
それにつけてもなぜ、自分の夫にバカ扱いされるのか? そこで、彼女を数時間観察して出た結論は、“自分で行動を決めない”という特徴。例えばトイレに行くときに「トイレ行ってきますね」ではなく、「ごめんなさい、お手洗いに行って来ていいかしら、5分くらいで戻れると思うけれど。行って来てもいいかしら、ごめんなさい」というように、“相手の許可をとる”というスタンスで会話をすすめる。これは不幸な結婚生活を送っている人によく見られる特徴です。
やたらと謝る女性は、相手の嗜虐心をあおるのではないか…
今まで取材してきた不幸体質女というのは、やたらと人に謝る。自分が悪くなくても、「ごめんなさい」「申し訳ございません」など、クセのように言っています。運動会当日は、校舎周辺駐輪がNGでした。「向うの駐輪場に停めてください」ではなく「ごめんなさい、規則で周辺駐輪がだめなんです。申し訳ないのですが、あちらの駐輪場にお願いします、ごめんなさい」など繰り返し軽いトラブルに発展していました。
人間は、意味もなく謝罪されるとイラッとくる生き物なのかもしれません。
相手によって態度を激変する、これも不幸体質女の共通点
彼女を観察していて驚いたのは、相手が男性や役職者だと態度を変えること。といっても、声が高くなり、ボディタッチをする程度。おそらく20代のとき万人ウケしていたテクニックを“自分を庇護してくれる可能性がある人”に使ってしまうのでしょう。これは、相手を損得勘定で判断すると、実のある人間関係を築きにくいことにつながります。
最後に彼女から「私、頑張っているのに全然うまくいかないんですよ。最近では息子も私のことをバカにするようになって。中学受験、パパと同じ学校に入れなかったら私がバカだからって言われるような気がします。私はいったいどうすればいいと思います?」と質問されましたが、何も答えられませんでした。
初出:しごとなでしこ
沢木 文 Writer&Editor
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』『不倫女子のリアル』(小学館新書)がある。