バーゲンで30%オフの商品を見てもいくらお得なのかわからない、割り勘するときにいくらかパッと計算できない、なんてことありませんか?
何となく、数字に苦手意識を抱く女性は多いもの。でも、ビジネスで数字は切っても切れない関係。いつまでも「わかんない」「苦手」なんて言っていられません。そんなあなたに朗報! あなたのアタマが数字と仲良くなるウマい方法があります。
ビジネス数学を専門とする深沢真太郎が企業研修やセミナーの場でも使っているトレーニング手法を、頑張るオトナ女子のために特別にご紹介します!
テーマは「数字を読む」。実はこのテーマ、とても大事なんです。なぜなら、私たちビジネスパーソンは計算している時間よりも数字を読んでいる時間のほうが圧倒的に多いからです。
たとえばあなたも会議資料に書かれているデータを使い、アタマの中で計算することがあるかもしれません。でもそれは時間にしてほんの数秒のはず。数分もかかるような計算なんてそもそもしないでしょう。
一方、その会議資料に書かれているデータを眺め、そこから何が言えるのかを考える行為はほんの数秒というわけにはいかないはずです。やはり「数字を読む」という行為は仕事をするうえで避けては通れず、しかもある程度の時間をかけなければならないものなのです。
世の中のランキングを使い遊び感覚で「数字を読む」トレーニングをする
そこで今回の本題。そういうあなたにぜひオススメしたい「数字を読む」トレーニング法があります。それは、世の中のランキングを使って遊ぶことです。私も頻繁にやっている、数字を使った遊びです。
まずは何でもいいので想像するお題を決めてください。あなたが楽しめる(あるいは気になる)テーマを選ぶことがポイントです。たとえばこうしましょう。
「もしも私がビジネス街で女性をターゲットにランチを主力とする飲食店を出すなら?」
さて、あなたならどんなお店を出しますか? 実はこのようなお題で想像していくと、どこかで「こういうデータが欲しいなぁ」と感じる瞬間があるはずです。そのときは迷わずインターネットなどでそれに関連するランキングを調べてみるのです。できれば調べる前にその順位と具体的な数値がどれくらいか想像してから、答え合わせをするかのようにランキングを調べてみるのが理想的です。クイズ感覚でやったほうが、楽しいですから。
ビジネスウーマンが好きなランチメニューというランキングを使ったトレーニングなら?
たとえばビジネスウーマンが好きなランチメニューというランキングがあったとします。
(あくまで仮の調査結果とします)
【TOP3】
第1位 パスタ 65%
第2位 カレーライス 12%
第3位 魚メインの定食 10%
※30〜40代ビジネスパーソン(女性)500名の調査
このデータをふまえ、私なら「カフェを出店する」という結論を出します。なぜなら、カフェにしておけばランチタイムにパスタを中心とする女性を意識したメニューで勝負できます。しかもオフィス街なので打ち合わせや時間つぶしのニーズもあります。これが「定食屋」では後者のニーズに対応できません。
そういえばビジネス街や駅の中にあるカフェでランチにパスタを出すお店は多いように感じます。十分ビジネスになるのではないでしょうか。
もちろんあなたはあなたなりの結論でよいのです。正解がないこともこの遊びを楽しむポイントです。
ちなみにせっかくランキングを調べることで数字を手に入れたのですから、余裕のある方は少しだけ計算をしてみることもオススメします。たとえば先ほどのデータで、パスタと答えた人は具体的に何人でしょうか。
500(名)×0.65=5×65=325
325名ということになります。「%」の計算は小数点も登場するので煩わしさを感じるかもしれませんが、そこはグッと堪えてアタマの中で計算してみてください。学校のテストではありませんから、ピッタリ正解を出さないといけないものではありません。ざっくりでもいいので計算してみることが重要です。
たとえば65%をざっくり70%としてしまって、350名としてもいいでしょう。
500(名)×0.7=5×70=350
ということはこのオフィス街にいるビジネスターゲットが1,000名であれば700名、1,500名であれば1,050名が利用してくれる可能性の高い人の数であると考えられます。そのうち何%が実際に利用してくれると仮定し、1週間のうち何日くらい利用してくれるかを想像し……なんて想像を続けていくと、このカフェの売上規模がどのくらいかもざっくり掴めるかもしれません。数字を使うセンスも磨かれます。
遊び感覚で、数字を使った3段階のトレーニングにチャレンジ!
ではそろそろ結論に。自分が想像して楽しいテーマを設定し、関連するランキングを調べ、少しだけ数字で遊ぶ。ぜひスキマ時間にやってみてください。また、具体的にはこのようなイメージでこの遊びを続けていくと理想的です。
<第1段階> とにかく自分が知りたいランキング、気になるランキングを調べる
↓
<第2段階> 自分の仕事に少し関係あるテーマでランキングを調べる
↓
<第3段階> 自分の仕事にかなり関係あるテーマでランキングを調べる
数字アタマになるためには、その練習のための素材(=数字)がどうしても必要です。でも、いきなり会社の決算資料に書かれている数字や日経新聞の中にある数字の羅列を読めと言われても、おそらく楽しくありませんよね。(もちろん楽しいという方は大いに結構なことです)
ならば、できるだけ楽しみながら数字を読む練習ができる手法を選んだほうがいい。そのための素材を用意するもっともラクな方法が、「あなたが気になるランキング」や「あなたが好きなことに関するランキング」を調べることなのです。
結局、人間は感情の生き物です。気になる。興味がある。好き。楽しい。まずはそういった感情に正直に、数字と上手に戯れてみてください。そして第3段階までくれば、必然的に自分の仕事にかかわる数字を読むことになるので、仕事にも好影響があるはずです。たとえば先ほどのランチに関するデータは、飲食店をしている方にとってはいいトレーニングになるはずです。
このように、あなたが「数字アタマ」に変身するためのコツはほんのちょっとした考え方だけ。この連載はもちろんですが、最新刊『数字アタマのつくりかた』(三笠書房)もぜひチェックしてみてください。あなたの「苦手意識」がきっと消え去ると思いますよ。
初出:しごとなでしこ
深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/教育コンサルタント
BMコンサルティング株式会社・代表取締役/教育コンサルタント/多摩大学非常勤 講師/理学修士(数学)
ビジネスパーソンの思考力や数字力を鍛える「ビジネス数学」を提唱し人財育成に従事。著作多数。
最新刊『数字アタマのつくりかた』(三笠書房)が好評発売中。