『王様のブランチ』に抜擢! …でも、苦しかった30代
歌手になりたいと思って、生まれ育ったスウェーデンから日本に来たのが10代。20代ではなかなか芽が出ませんでしたが、30歳で『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するようになりました。
とはいえ、夢だった歌手として成功したわけではないし、ヘンな人にたくさん会ってイヤな思いもたくさんしたし(苦笑)、結婚生活もうまくいかなかったし、犠牲にしたものはいっぱいあります。それに当時は、自分がテレビで上手に立ち振る舞えていないとわかっていたから、周囲の人にどう思われているかが気になって、道を歩くのも怖いくらいでした。
でも、がむしゃらに働いて笑顔で乗り切った30代があるから、今がある。40歳になったときは、本当に好きな人に囲まれて、好きな家に住んで、好きなお酒が飲めて、好きな仕事ができて、最高の誕生日でした。今は仕事でも、「これが私!」という自信がもてるようにもなりました。努力もせずに「なんとかなる」と言う人は大嫌い。子供っぽいかもしれないけれど、私は「頑張ればいいことがある」って信じています。
30代は「種まき」の時期
30代のうちは、ちょっとイヤな上司にもこちらから懐に飛び込んでみたり、周囲の人と信頼関係を築くことが大切なんじゃないでしょうか。私は会社員ではないけれど、共通の話題もない仕事相手のおじさんが一生懸命会話の糸口を探して発したひとことが「今日はきれいだね、デートなの?」だったら、「セクハラ!」と非難するんじゃなくて、笑顔でかわすくらいの広い心はもってもいいんじゃない?
若いスタッフがミスをしたら、きちんと指摘して教えてあげる「嫌われる勇気」をもつのも先輩の役目。それらはすべて、40代で自分が輝くための「種まき」だと思うから。
一方で、30代後半で、友達と「無理して」つきあうのをやめたのもよかったと思います。仕事でめんどうくさい人間関係もあるのに(笑)、プライベートでまでめんどうな人に気を使いたくない、本当に好きな友達だけいればいいじゃないって。それに、昔は男の人とつきあうのも「仲よしグループの友達に気に入られる人じゃないと」なんて思ったりしましたが、よく考えたら彼氏を友達に紹介しないといけないわけでもないんですよね。いろいろラクになりました。
30代は苦しかったけれど、頑張って乗り越えてきた経験は人生の宝物です。当時の自分に「そのままでいいよ!」と声をかけたいですね。
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Profile
スウェーデン生まれ。スウェーデン人の父と日本人の母をもつ。『王様のブランチ』(TBS)、『ノンストップ!』(CX)などに出演。J-WAVEナビゲーターも務めるほか、プロレスラーとしても活躍。
取材・文/酒井亜希子(スタッフ・オン)