本のプロが極上の読書時間を提案! ふと湧いてくる「読書欲」を満たすシーン別選書
シーン別選書をしてくれたのは… 丸善丸の内本店・高頭佐和子さん

文芸書担当。本屋大賞実行委員。バッグの中に常に複数冊の本が入っていないと不安になる読書依存症。
【テーマ1】週末、腰を据えて読みたい本
読み応えのある小説や話題のシリーズ本など、どっぷりと読書に没入してリフレッシュしたい!

『世界99』(上・下巻)著/村田沙耶香 集英社 各¥2,420
衝撃のラストまで上下巻、一気読み必至。性格をもたず、周囲に合わせて人格を自在に変えて生きる空子。人間の〝雑務〟を肩代わりする存在「ピョコルン」が普及した社会で、空子は複数の〝世界〟を使い分けて適応していく。「読みながら現実社会で起きている問題をすごく意識させられます。後半は突き抜けた面白さがある小説です」
【テーマ2】隙間時間でサクッと読める本
通勤時間や休憩時間はもちろん、シートマスク中にも!? 気負わず読みたいときに。

『言葉にならない気持ち日記』著/梅田悟司 サンクチュアリ出版 ¥1,650
目次を読むだけでもあるあると共感の嵐! 日常で生まれるモヤモヤとした曖昧な感情、言葉にしづらい気持ちを、118のエピソードを通して徹底的に言語化。「会社に行くのヤだな…、今日も疲れたな…、と何も考えたくないときに読むと、日々蓄積されたモヤモヤが解消されて、ストレスが吹き飛びます。気分転換にぴったり!」
【テーマ3】夜、眠りに就く前に読みたい本
ほっと、ひと息つける就寝前には、心地よい睡眠へと誘ってくれるエッセイや小説を。

『幸せについて』著/谷川俊太郎 ナナロク社 ¥1,100
幸せを思いながら穏やかな眠りを誘う。詩人・谷川俊太郎が87歳で初めて「幸せ」をテーマに全編書き下ろしたエッセイ。「幸福と言うと自分からは遠いもののような気がするときがあります。うまくいかなかったり、人をうらやんだり。そんな沈んだ気持ちを少し動かしたいときに最適な一冊。身近にある素敵なものに気づかされます」
【テーマ4】この夏、旅気分を味わうことができる本
日々の疲れを癒す旅先で、あるいは非日常を感じながら楽しむ読書体験は特別なもの!

『破夏』著/新庄 耕 小学館文庫 ¥781
リゾートを舞台にしたサスペンス・スリラー。いじめで不登校になった少年が沖縄の離島で過酷な試練に直面し、狂気に巻き込まれていく…。後味の悪さにひかれる〝イヤミス〟の傑作。「Netflixで映像化された『地面師たち』の原作者の小説です。読み進めるうちに不穏な空気が漂ってきて、『早く逃げて!』とページをめくる手が止まらなくなる一冊」
【テーマ5】空腹時注意! 食欲を刺激する本
まるで美味しそうな匂いが漂ってくるよう。読むだけで思わずおなかが空く本たち。

『47都道府県日本の地元食大全』著/菅原佳己 平凡社 ¥2,090
食の興味を刺激するご当地グルメが満載。スーパーマーケット研究家の著者が日本全国を巡り、各地のスーパーや市場で見つけた〝地元食〟を紹介。「旅行に行くと、その土地のスーパーに必ず行くのですが、そこでしか買えない食べ物ってお土産にもいいですよね。旅したときに食べたいものや、お土産候補リストをつくるのも楽しい!」
2025年Oggi8月号「今、なんだか本が読みたくて…」より
構成/宮田典子
再構成/Oggi.jp編集部