ふと湧いてくる「読書欲」を満たすシーン別選書5
シーン別選書をしてくれたのは… 三省堂書店有楽町店・山口奈美子さん

文庫・文芸担当。ファンタジーやミステリーなどエンタメ系の小説が好き。休日を丸々、読書に費やすことも。
【テーマ1】週末、腰を据えて読みたい本
読み応えのある小説や話題のシリーズ本など、どっぷりと読書に没入してリフレッシュしたい!

『月の影 影の海(上)十二国記』著/小野不由美 新潮文庫 ¥693
単なる冒険譚ではない深い人間ドラマに没入。平凡な女子高生・中嶋陽子が異世界で苦難の旅に巻き込まれるファンタジー小説。「政治からサバイバルまで〝生きる〟ことについてのすべてが学べるシリーズもの。ファンタジーですが、伝説の勇者も魔法使いも登場しません。泥臭く生き抜く登場人物の生き様は全人類に読んでほしい」
【テーマ2】隙間時間でサクッと読める本
通勤時間や休憩時間はもちろん、シートマスク中にも!? 気負わず読みたいときに。

『できるポケット 時短の王道ショートカットキー全事典 改訂4版』著/間久保恭子&できるシリーズ編集部 インプレス ¥1,200
隙間時間に読めば速攻、実践したくなる。仕事や日常で使うOSやアプリのショートカットキーを多数収録した解説書。「仕事で必須のパソコン。エクセルやワードを中心に作業をするとき、チョチョッとショートカットキーを使えたらかっこよくないですか? なんだか仕事ができる人になった気がしてくるかも」
【テーマ3】夜、眠りに就く前に読みたい本
ほっと、ひと息つける就寝前には、心地よい睡眠へと誘ってくれるエッセイや小説を。

『皇后の碧みどり』著/阿部智里 新潮社 ¥1,980
魅惑のファンタジーで夢見心地の就寝タイム。少女ナオミが皇帝に後宮へ誘われ、緑の宝石〝皇后の碧〟を巡る秘密や陰謀に巻き込まれていくファンタジー小説。「初めてファンタジーに触れたときの衝撃を思い出させてくれる一冊。寝る前に読めば、圧倒的に美しい精霊たちが住む世界と、そこに生きる者たちの元へと誘ってくれるはず」
【テーマ4】この夏、旅気分を味わうことができる本
日々の疲れを癒す旅先で、あるいは非日常を感じながら楽しむ読書体験は特別なもの!

『かわいい見聞録』著/益田ミリ 集英社文庫 ¥660
旅先で〝かわいい〟を見つけるヒントに♪ 日常に埋もれがちな「かわいい」を著者が独自の視点で掘り起こしたコミック&エッセイ。「ソフトクリーム、毛玉、シャーペンの芯など30個のかわいいものたちは、どこか懐かしくて、ハッとする発見もあります。ちびちび読むも、サクッと読むもよし。旅先でかわいいを探すのもまた一興」
【テーマ5】空腹時注意! 食欲を刺激する本
まるで美味しそうな匂いが漂ってくるよう。読むだけで思わずおなかが空く本たち。

『ごはんが楽しみ』著/井田千秋 文藝春秋 ¥1,760
反則級に美味しそうなイラストも眼福♡ 『家が好きな人』の著者が、自分らしい暮らしと食の喜びをていねいにつづったコミックエッセイ。「とにかく美味しそうなイラストが満載! ちょっとでもページを開いたら、今すぐ読んだものが食べたくなるので要注意。自分でつくるか、食べに行くか…そんなことを悩むのも幸せな時間です」
2025年Oggi8月号「今、なんだか本が読みたくて…」より
構成/宮田典子
再構成/Oggi.jp編集部