今こそ、インテリアのセンスを磨きたい
いつもせわしなく働く私たちを癒やしてくれるのは、「心が落ち着く」「好き! が詰まった」「テンションが上がる」帰りたくなるおうち。生活様式の変化とともに、より大切なものになった、おうち時間。部屋ひとつだけでも、いや、ひとつの部屋の片隅だけでも、いやいや、その片隅にあるテーブルの上だけでもいい。
ふとした瞬間に気分が上がる、自分にとって心地よい空間がひとつあるだけで、私たちの毎日はもっともっと楽しくなるはず! 自分らしさと好きなもの=パワーの源がすべて詰まっている自分のスペース。「まるっと同じ」はできなくても、センスの取り入れ方は真似できる!
おしゃれな人たちのインテリアのアイディアから情報のリソースまで、すべて網羅してお届けします。今回は、インテリア事情を徹底リサーチしたOggi編集部スタッフ&オッジェンヌの4人がとことん語ります!
トークしたのは…
Oggi副編集長・渡辺裕一
エディター・須藤由美
エディター・旧井菜月
Oggi8期生・水上友里さん
【よもやまTALK】「インテリア=パワーの源」のセンスと、その磨き方
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渡辺:今回は4人のご自宅の取材と、スタッフやオッジェンヌの皆さんのおうちの自撮り&アンケートをもとにした「インテリアのセンスを磨きたい!」という大特集なのですが…。そもそも、「インテリアのセンス」ってなんでしょう?
旧井:それ、すっごく思いました! 皆さんのおうちを見れば見るほど、お話を伺えば伺うほど、今、これが正解!は実はないのかもと思うように。そもそも部屋自体から家族構成、ライフスタイル、居住エリア、好みまで、すべて千差万別、人それぞれなんですよね。
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須藤:うん、インテリアは特にそういう個々の前提条件の影響が大きいから、ルールやセオリーの外に「センス」があるのでは、と思いました。いわゆる「名品」に頼れば即センスアップ、というのはもう違うかも? というのが正直な実感。どんな名品やプロのおすすめアイテムも、実際に自分たちやその部屋にはどこかしっくりこなかったり、迷うことも多くて。
旧井:「モノのその先」に、今磨きたいインテリアのセンスのヒントがあるかもしれませんね。水上さんのお宅でお話を伺ったのも、そう考えるようになった決め手のひとつ。水上さんはご自宅のインテリアをどうやって決めていったのですか?
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SNSを通して「私はどう選ぶか」の感覚にセンスが問われる時代
水上:はい、私たちは自宅の新築を機にインテリアをそろえたのですが、とにかくネットやSNSで調べて検討し、これと思ったブランドを実際に見に行って決めました。セミオーダーのダイニングテーブルとチェアは、床の木材やタイル、壁などのスワッチ(素材見本)を全部持っていき、全体が調和するよう選びました。
渡辺:ご自身のおうちに合うものを妥協なく探して選んだからこそ、細部まで調和していて素敵なんですね! そうか、「何を」だけじゃなくて「何を、どう選ぶか」に焦点を当てるのが、「インテリアのセンス」の磨き方につながるのかも。
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須藤:確かに! 今回取材したり写真を提供してくださったりしたどなたのおうちも「好きなものを選ぶ」という揺るぎないその人らしさの軸が通っていました。それにしても今、インテリア情報はネットやSNSで自力で探して選ぶという人が本当に多い! 魚地さん(カメラマン魚地武大さん)もめちゃくちゃ詳しくて、あんなに忙しいのにどうやって探しているか聞いたら「全部SNSで情報収集する」って。
旧井:サミーさん(カメラマン渡辺修身さん)も、実店舗を持たないヴィンテージ家具のバイヤーさんのインスタを見て、DMで連絡を取り、倉庫に行って購入したそう。
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須藤:みっひーさん(エディター三尋木奈保さん)にも、42ページに載せきれないほど、参考にしている個人やお店のアカウントを国内外問わずたくさん教えてもらいました。
渡辺:うわー、そんな皆さんがチェックしている、インテリア関連のSNSやアカウント、ショップはぜひ知りたい!
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旧井:はい、この後皆さんのお気に入りのショップやアカウント、自慢のアイテムをたっぷり紹介します!
渡辺:今回は「インテリアのセンスを磨く」ための手がかりとして、「まずは半径2メートル内を素敵に!」というテーマを掲げたわけだけど…。
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好き♡ が詰まった自分らしいおうちこそ、パワーの源!
須藤:そうだ、渡辺さん、昨年のインテリア特集をきっかけに好きなチェアを購入したら、お部屋の雰囲気が一気によくなったって言ってたよね。あの話、好き! まさに半径2メートル内。
旧井:半径2メートル内なら、大物家具を替えなくても気軽にできますよね。それで言うと皆さんがアートやオブジェ、お花を積極的に飾っていたのが印象的でした。でもアートを飾るって難しくないですか? どう選んだらいいのかもわからないし…。でも、あると断然雰囲気が出るのも事実。ぜひ取り入れたい!
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水上:あまり難しく考えなくても大丈夫じゃないでしょうか? 私たちは新婚旅行先のバルセロナで、事前に調べた好きなアーティストの作品と、たまたま出合った作品を買いました。そんな偶然も思い出になるし、自分たちらしい空間をつくってくれるかも、と思うんです。
渡辺:三尋木さん宅もモランディの静物画や平澤まりこさんの版画、北欧のオブジェなど幅広いアイテムがナチュラルに混在して、独特のいい空気感をつくってますよね。
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須藤:皆さんの器や花器もそう。山賀さんのモダンな花器や染付の器、みっひーさんの繊細なガラスや沖縄の民芸。水上さんは作家さんは違うのに不思議とテイストが一貫していて、須藤宅は和洋の骨董と現代作家のミックス。画一的なかっこよさにとらわれない、個性や好みを存分に反映した選択に「半径2メートル内」の素敵さとセンスを感じました。
水上:おうちやインテリアに関する情報や知識は、常にアップデートしていきたいです。だけど、インテリアって最もパーソナルでプライべートな部分。世間一般の基準よりも大事にしたいのは、どうしたら自分や家族が最高に心地よく、エネルギーをチャージできる基地にできるかを、自分で選んでつくれるようになることかな、と。
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旧井:実際、その人らしさが表れているインテリアほど素敵だな、と、皆さんからいただいたお写真を見て、改めて思いました。シンプルですっきりしていればおしゃれ、ってことでは決してなさそう。
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須藤:わかる! セオリーどおりが正解じゃないから面白いよね。みっひーさん宅で、リビングとダイニングのテーブルが両方円形で、ご本人は「インテリアのプロならどちらかは角形を選ぶと思う」と言っていたけど、あのおうちはあのままこそが絶対かっこいい!
渡辺:僕もそう思いました!
2025年Oggi3月号「今こそ、インテリアのセンスを磨きたい」より
撮影/渡辺修身 構成/旧井菜月、須藤由美
再構成/Oggi.jp編集部