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LIFESTYLE

2024.11.19

小泉今日子「それぞれの得意分野や苦手な部分を理解すること。それが良いチームづくりの基本になる」【インタビュー 後編】

俳優、アーティスト、文筆家、プロデューサーとして多彩な顔を持ち、個人事務所の代表も務める小泉今日子さん。11月22日公開の映画『海の沈黙』では、本木雅弘さん演じる津山竜次の元恋人で、ローソク作家の田村安奈を演じています。インタビュー後編では、仕事の選び方や時間の使い方など、小泉さんならではの働き方のコツ、そして、最近の活動の中で特に印象に残った出来事について、率直に語っていただきました。

現在58歳。60歳までは歌手活動を続けていきたい

──小泉さんは俳優として活躍される一方で、プロデューサーとしても精力的に活動されています。さらに今月26日からは、アーティストとして全国ツアー『KYOKO KOIZUMI TOUR 2024 BALLAD CLASSICS』も控えています。これだけ多彩な活動をされている中で、それぞれの仕事のバランスはどのように取られているのでしょうか?

小泉さん(以下敬称略): 私は今58歳なのですが、60歳までは歌手活動を続けていきたいと決めているんです。だから、まず音楽活動のスケジュールを最優先で決めます。次に、株式会社明後日でプロデュースする公演の日程を組み込んでいきます。その上で、オファーをいただいたお仕事については、テーマや監督に興味を感じた作品で、なおかつスケジュールが合えば、お引き受けするようにしています。

──小泉さんは常に第一線で活躍を続けていらっしゃいますが、多くの女性が将来について悩み始める30代を振り返ってみて、「あの時、これをしておけばよかった」と思うことはありますか?

小泉: どの年代に限らず「もっと早く勉強を始めておけば…」と思うことはたくさんありますね。人生には「気づくのが遅かったな」と感じる瞬間がいくつもあるものです。でも振り返ってみると、30代も40代も、そして今の50代も、私なりに満足のいく人生を送ってきたと思います。楽しみながら作品作りに打ち込んできましたし、友達ともよく遊びましたから(笑)。ただ、確かに悩んだ時期もありました。「仕事を続けながら、結婚や出産ができるんだろうか」みたいなことを考える時期はありましたね。20代の終わりには結婚も経験しましたが、上手くいかなくて相手には申し訳なかったですね。でも、そういった経験も含めて、当時の自分は精一杯生きていたはず。今も変わらず仕事を続けられているのも、その証だと思います。結果として、自分の人生に満足しています。

──30代というのは、仕事面でも大きな転換期だったのではないでしょうか。責任が増していく一方で、後輩を育てる立場になるなど、求められる役割も変わってきた時期だと思います

小泉: 私、末っ子気質なんです。だから年下の人にアドバイスをするのが、すごく苦手で。でも、そうも言っていられないので、自分なりの方法を見つけました。会社のスタッフ一人一人をよく観察して、その人に合った仕事を任せてみたり、得意分野で頼りにしてみたり。こういった関わり方をしていくと、意外とうまくいくものだなと感じています。

── 一人一人の得意分野を見極めて、それを伸ばしていく方法なんですね。そういった関係性を築くには、日頃からのコミュニケーションが大切だと思うのですが、具体的にどのような工夫をされているのでしょうか?

小泉:昔は〝ノミニケーション〟という言葉がありましたけれど(笑)、強制参加の飲み会はもう時代に合わないのかなと思います。仕事終わりに自然な流れで食事に行くのもいいけれど、それよりも普段から周りの人たちの仕事ぶりを見て、得手不得手を見極める方が大切なんじゃないかなと。あと、たまには褒めてみるのもいいと思いますし、「ごめんなさい」と「ありがとう」をちゃんと伝えるのもすごく大事。大人になるとなかなか伝えられなかったりしますが、素直に謝ったり感謝を言葉に出すことが必要かなと思います。

──小泉さんは多くの世代の女性から憧れの存在とされていますが、逆に小泉さん自身は、日頃どんなところから刺激や影響を受けていらっしゃるのでしょうか?

小泉:例えば、本を読んでいて興味深い小説や作家の名前が出てきたら、すぐにその本も手に取ってみるんです。そうすると、まるでわらしべ長者のように、次から次へと新しい発見が繋がっていって、自分の世界がどんどん広がっていくんです。映画も音楽も同じような楽しみ方をしています。「この素敵な歌詞を書いたアーティストは、誰の影響を受けているんだろう?」とか「普段どんな音楽を聴いているんだろう?」って、すぐに調べ始めちゃうんです。

「BTSのラップライン(RM、J-HOPE、SUGA)がEPIK HIGHの影響を受けている」、「RMさんはEPIK HIGHのリーダーTABLOの『BLONOTE』を読んでいるんだ…ふむふむ」って知る瞬間がすごく楽しいんですよ。そこからさらにEPIK HIGHの音楽のルーツを探っていったり。そんな感じで、好きなものを起点に興味の輪を広げていくのが大好きなんです。実は根っからのオタク気質で、家で静かにこういったことを楽しんでいるタイプなんですよ(笑)。こうやって様々なものを吸収していくと、後になって「そういえば…あの時のあれをヒントに…」みたいな形で、自分の表現のインスピレーションに繋がることがあるんです。その瞬間がとてもおもしろくて。

──Oggiの読者も小泉さんからたくさんの刺激を受けていると思います。

小泉:そうだとうれしいです。その刺激をみんなで循環していきたいですね。

写真撮影中、スタジオからたまたま流れてきたBTSの曲に、ノリノリでポーズを決めてくださった小泉さん。そんな無邪気な魅力を見せる一方で、映画『海の沈黙』では、昔の恋人への秘めた思いを抱え続ける女性を繊細に演じます。映画『海の沈黙』は11月22日公開です。ぜひチェックしてください。

撮影/天日恵美子 スタイリスト/藤谷のりこ 取材・文/奥村百恵

映画『海の沈黙』
ある日、世界的な画家、田村修三(石坂浩二)の展覧会で大事件が起きる。会場を訪れた田村が、展示作品のひとつが贋作だと訴えたのだ。事件が報道されると、贋作を保有していた美術館の館長・村岡(萩原聖人)が田村の妻・安奈(小泉今日子)に無実を訴えた後、自ら命を絶った。

安奈は村岡の葬儀の席で、かつての知人で中央美術館の館長の清家(仲村トオル)と再会する。清家は田村の依頼を受けて、贋作の謎を追っていた。同じ頃、北海道・小樽で全身に刺青の入った女・牡丹(清水美砂)の死体が発見される。田村の過去を知る“美術愛好家”を名乗る謎の男スイケン(中井貴一)もまた小樽にいた。若いバーテンダーの女性・あざみ(菅野恵)をつれて彼が向かった先にいたのは、大きなキャンバスを前に創作を続ける津山竜次(本木雅弘)だった。彼はかつて新進気鋭の天才画家と呼ばれるも、ある事件を機に人々の前から姿を消していた。かつての竜次の恋人だった安奈は、清家から竜次の消息を知り、小樽へ向かうが…。

Profile
小泉今日子
1966年2月4日生まれ、神奈川県出身。1981年にオーディション番組「スター誕生!」に出場し合格。翌82年に歌手デビューし、数々のヒット曲を発表。俳優として映画やドラマ、舞台などにも多数出演。エッセイをはじめ文筆家としても活動しており、エッセイ集『黄色いマンション 黒い猫』では第33回講談社エッセイ賞を受賞。2015 年には自らが代表を務める制作プロダクション株式会社明後日を設立。舞台、映画などのプロデュースに従事。ミュージシャン上田ケンジとの音楽ユニット「黒猫同盟」としても活動中。近年の主な出演作に【舞台】『ピエタ』(23)、【映画】『i ai』(24)、『碁盤斬り』(24)、『室井慎次 生き続ける者』(24)。


2024年11月22日(金) TOHOシネマズ日比谷 ほか全国公開

原作・脚本:倉本 聰
監督:若松節朗
出演:本木雅弘
小泉今日子、清水美砂、仲村トオル、菅野恵/石坂浩二
萩原聖人、村田雄浩、佐野史郎、田中 健
三船美佳、津嘉山正種
中井貴一

配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2024 映画『海の沈黙』INUP CO.,LTD

<衣装クレジット>
ニット ¥88,000、パンツ ¥36,300(MOULD〈CINOH〉)
ピアス ¥35,200(PLUIE Tokyo〈PLUIE〉)
リング 右・人差し指 ¥19,800、薬指 ¥29,700、左 ¥40,700(Rieuk)
その他/スタイリスト私物

<問い合わせ先>
MOULD 03-6805-1449
PLUIE Tokyo 03-6450-5777
Rieuk info@rieuk.com

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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