アニメ映画が興行収入12億円を突破する大ヒット! 漫画『BLUE GIANT』の魅力とは…
『BLUE GIANT』の主人公は、ジャズに魅せられた仙台で暮らす高校生・宮本大。雨の日も雪の日も川原でテナーサックスを吹き続け、やがて世界一のサックスプレイヤーを志します。
全10巻の『BLUE GIANT』では、東京へ上京した彼がジャズトリオJASS(ジャス)を結成し、高みを目指していく姿が描かれていきます。
青年誌の「ビッグコミック」(小学館)で連載されていた作品であり、絵のタッチも力強いので、Oggi読者には手を伸ばしづらいでしょうか? 答えは「No」、そしてジャズのことがまったくわからなくても大丈夫!
若き男子たちがぶつかり合いながらお互いを高め合う、熱く儚い青春ドラマに、必ずや心を奪われるはず。
JASSメンバープロフィール
▲右上:沢辺雪祈、中央:宮本大、右下:玉田俊二
宮本大(みやもとだい)
仙台出身。高校ではバスケ部に所属。ジャズに出会うとその自由な魅力に魅せられ、世界一のジャズプレイヤーを目指す。来る日も来る日も独学でテナーサックスの練習を続ける、まっすぐな熱血漢。
沢辺雪祈(さわべゆきのり)
長野出身。4歳からピアノを始め、18歳とは思えぬ優れた実力を持つ。甘いマスクで女性からもモテるが、ジャズのことばかりを考えるがあまり、周りにシビアになってしまう一面も。
玉田俊二(たまだしゅんじ)
大の高校の同級生。元サッカー部。上京して大学に進学するも、自身の部屋に居候として転がり込んだ大を介してジャズの魅力に目覚め、ゼロからドラマーとして猛練習を始める。
ソウルメイトな男子たちの名場面3選
ジャズの経験値や考え方がまったく異なるJASSの3人は、それぞれの意見をぶつけ合いながらプレイヤーとして、バンドとして成長していきます。ここでは、エネルギーに溢れた青年たちの名場面をピックアップして紹介していきます!
第一印象は最悪!? 「ヘタなら即クビ」正反対な大と雪祈の出会い
上京し、慣れないバイト生活に明け暮れる大は、ある日訪れたジャズバーで、左手だけで凄味のある演奏をしてみせたピアニストの雪祈に釘付けになります。
「オレしか出せない音を出すことに必死」と豪語する大を雪祈は生意気に思いながらも光るものを感じ、「オレと組もうぜ」とバンド結成を持ちかけますが、続けて「ヘタなら即クビ」「才能があったら踏み台にする」と言いたい放題。
大は戸惑いながらも、彼の並々ならぬジャズへの情熱を感じ、雪祈の提案に乗ります。正反対に見える2人ですが、音楽に懸ける思いの強さが彼らの共通項なのです。
▲5巻より
大と出会った雪祈は、野心たっぷりに目標を語り、「才能ある者がお互いを踏み台にして名を挙げていくのがジャズ」と豪語します。
ライブ中に大が雪祈を挑発、ソロを延長させニヤリと手招き
自信家の雪祈がポキッと折れる…? ソロはジャズの本質なのに、憧れのライブハウス・ソーブルーの平から「君はソロができないのか?」と厳しい指摘を受け、雪祈は落ち込んでいました。
そんな彼に、大は「ヘタでもクソでも、サックスを吹くときは1分1秒いつでも、世界一だと思って吹いてる」と発破をかけます。
ある日のライブ。大は腕組みをして自分のソロパートを拒否し、雪祈にソロ続行を強制! 雪祈は考えることをやめ、一心不乱に弾き続けます。彼はやがてこれまでにない境地の演奏にたどり着きました。
ここまでぶつかり合える関係であることがうらやましくなってしまうほどです。
▲8巻より
ライブ中に腕を組み、自分のソロをやらないという意思表示をする大。雪祈は驚きながらも、必死で食らいついていきます。
憧れの舞台を目前に控えるも… ラストに衝撃の展開が
ある日雪祈は、自分はじっくりと練り上げていく作曲が好きだと自覚したことを語りつつ、「大は考えちゃダメだ。お前は考えず、何万回でも客の前で死なねえと」と大に真摯に伝えます。
同じバンドに属していても、それぞれに適性や目指すところは異なるもの。お互いを深く理解しているからこそ出る言葉ですよね。
ジャズは一生同じメンバーと組むジャンルではないので、大はJASSとして過ごす日々は有限であり、それぞれに目指すべき場所があると考えています。
だからこそ、『BLUE GIANT』の物語は一瞬一瞬が刹那的な輝きを帯びているのでしょう。クライマックスでは、大舞台を間近に控えたJASSに衝撃の展開が……。
▲10巻より
自分の才能が怖くて寝られない、と冗談めかして語った後、真剣な表情で「大は考えちゃダメだ」と伝える雪祈。
ここもアツい!『BLUE GIANT』の見どころ
先に紹介した名場面以外にも、『BLUE GIANT』が見どころが盛りだくさん。特に注目してほしいところを3つご紹介します。
“音が聞こえる”ライブシーン
「音が聞こえる漫画」と称されることも多い『BLUE GIANT』は、演奏シーンの描写が大迫力! JASSが心を通わせていくほどに3人の演奏の息が合っていくさまからも目が離せません。
▲9巻より
「カツシカJAZZ FESTIVAL」のライブシーンは実に31ページもの長きにわたって描かれています。ドラムソロの描写も細かくコマを重ねられており、迫力が伝わってきますね。
主人公・大を支える温かい家族
大と家族との温かい関係性も本作の魅力。大が10歳のときに母を亡くして以降、宮本家は互いを温かく支え合って生きてきました。
息子が「ジャズプレイヤーになりたい」と突然伝えても、「とことん、おもいきりやれよ」と即座に背中を押す、器の大きな父。そして初任給をはたき、弟にサックスをプレゼントした兄。思わず涙を誘われるシーンが満載です…。
▲2巻より
高校卒業後、工場で働き始めた兄・雅之は、常に弟と妹を気遣っています。初任給をはたいてローンを組み、愛する弟に最高クラスのサックスをプレゼント。
サックスプレイヤー・大の原点、仙台編
1巻から4巻の後半までは、大がJASSとなる前、仙台で高校生としての日々を送る様子が綴られています。大にジャズの基本を教える師匠との師弟関係や淡い恋模様も見どころ。原点といえる仙台編も、じっくりと読み込んでほしい!
▲4巻より
荒削りで自己流で吹いていた大に、技術を指導した由井。かつて自分もバークリー大学へ留学をするほどサックスに打ち込んでいたが夢破れた彼は、ひたむきな大の姿にまたジャズを愛せるようになります。
注目キャラをもっと深掘り! セクシーなピアニスト・雪祈
Oggi読者にぜひ注目してほしいキャラクターは、ピアニストの雪祈。18歳とは思えない大人っぽさを帯びた彼は、ピアノを弾く姿がとってもセクシーです。
初登場時は自信家で、女性の扱いもぞんざいな雪祈。無礼な印象が強いものの、次第に彼の音楽への真摯な姿勢が明らかになっていきます。
バイトを掛け持ちして節約の日々を送るなど、音楽にストイックな真面目な面も魅力的だし、長めの髪をツーブロックにした髪型は、束ねたときに色男感がムンムンと溢れ出ていますよね。
▲5巻より
大との出会いは、雪祈が出演していたジャズバーのライブ。甘いマスクに長身、独特の演奏スタイルを見せる雪祈は、観客の視線を釘付けにします。
▲6巻より
楽曲のアレンジを真剣に悩む雪祈。色男だけど、彼の毎日はバイトをしているか音楽に打ち込むかの2択。ストイックなところが本当にカッコいい。
▲7巻より
お世話になっているバーのママへ。サッと花束を送れるなんてなんていい男! 渡し方にも真面目さが表れています。
『BLUE GIANT』も無料で読める!
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現在、各電子書店では、小学館の電子コミックが期間中合計250作品超・1000冊以上も無料で楽しめる期間限定キャンペーン「漫祭!2023」を開催中。
10月6日からは「10月ドラマ化の話題作も! 映像化漫画フェア」と題し、『BLUE GIANT』などの映像化で話題となったマンガを一部無料公開。
『BLUE GIANT』は10月19日までの間、第1~第4巻を無料で試し読みすることができるので、まだ読んだことのない読者はぜひこの機会に『BLUE GIANT』の世界に触れてみよう。
【原作情報】ビッグコミックス『BLUE GIANT』全10巻/小学館
作者:石塚真一 定価:各770円(税込)
ジャズに心打たれた高校3年生の宮本 大は、川原でサックスを独り吹き続けている。雨の日も猛暑の日も毎日毎晩、何年も。
世界一のジャズプレイヤーを志す青年の、出会い・成長・挑戦の物語。
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[編集協力:コミックナタリー]