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LIFESTYLE

2023.05.12

【作家・岸田奈美さんインタビュー】大ヒットエッセイがNHKでドラマ化! 本にはなかった「もうひとつの人生」が映像に

岸田奈美さんの大ヒットエッセイ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』がドラマ化! 放送を目前にして、自身の仕事と家族を振り返りつつ、ドラマ制作の過程を語ります。

ドラマで描かれていたのは、エッセイでは癒せなかった傷や悲しみ、孤独

激変続きの2年半。戦略的「一家離散」は心地よかった

「note」でエッセイを書き始めたのが2019年。たちまち読者を集め、翌年には『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』として書籍化。さらに2021年にはエッセイ第二弾も発表しました。

と、ここまでは以前Oggi.jpでご紹介してきたので、そちらを読んでいただくとして――。
noteで話題の作家・岸田奈美さん「書くことは愛のおすそ分け」初著書発売記念インタビュー/2020.09.24
【人気作家・岸田奈美さん】30代からの自立。弱音を吐き、人に頼ることから始めよう/2021.11.12

岸田さんの人生そのものがすでにドラマのようですが、エッセイ発売からの2年半は特に、予想もしなかった変化の連続だったといいます。

作家・岸田奈美さん

「2021年、神戸に住む母は大病で入院、祖母は認知症が始まって介護施設へ。それにともなって、ダウン症をもつ弟はグループホームへ入居。私はといえば、東京と大阪で仕事があるので、仕事と実家とを行き来しやすい京都に住まいを移しました。ふだんはばらばらに暮らしていても、週末は神戸の実家に集まって食事をするのが我が家の習慣です。始まってみれば、これがとっても心地いいんです」

そんな生活が落ち着いた2022年、エッセイのドラマ化の話が!

「プロデューサーや監督から最初にこう言われました。『ドラマで描きたいのは、エッセイを書いてもまだ癒せていない、岸田さんの傷や悲しみ、孤独です』と。最初は、どういうことなんだろうと思いました。そして、『いちばん見せたいのは、岸田さんたち』だとも。ドラマ制作はまず、私たち家族の話を聞くことから始まりました。何時間も何時間も、ひたすら。さらに母が育った街を訪ねたり、私の高校時代の友人にまで話を聞いたり。私たち自身も知らなかったこと、忘れていたようなことを、引き出し続けてくれたのです」

ドラマは「歩みたかったもうひとつの人生」でした

作家・岸田奈美さん

こうして時間をかけてできあがった台本は、岸田さんいわく“歩んでみたかったもうひとつの人生”。エッセイでは書ききれなかった、というか岸田さんの奥に潜在していて言葉にしたことのなかった、「となりの人生」だったといいます。

「あの頃の私は、友達と上手に打ち解けられなかったし、周囲への感謝も伝えきれずに生きていたけれど、ドラマの中の私は違います。友達に本音を言うし、言えなかったありがとうもちゃんと言う。ちゃんと人に優しくする。あの時は父の死や母の病気で自分に余裕がなくて、気づけなかったことばかりでした。そして、私が『こうだったらいいな』という人生を、七実ちゃん(ドラマでの岸田奈美さんの役)が送っている。それは、私にとっての救いでした」

ドラマでは、岸田家ならぬ「岸本家」が、エッセイと同じくトラブルや事件、病気に次々と見舞われます。

そこにあるのは、笑いと涙でぐちゃぐちゃな出来事の連続と、どこにもない家族の形。けれど、誰もが共感できる。これまでのどの家族ドラマとも異なる、新しいアプローチがそこにはあります。

新しい文章をきっかけに、ニューヨーク公演の夢も実現

今から約2年半前、岸田さんがOggi.jp初登場の際、こんなことを話していました。「よい文章はよい人と巡り会わせてくれて、よい場所へ連れていってくれる」。

その言葉どおり、書いた文章をきっかけに新しい展開が広がっている今。この春は、ドラマ化だけでなくニューヨーク講演というかねてからの夢も実現させました。

「入院中に母が、『ニューヨークに行きたい』と言い出して。『でも私はもう行かれへん』と弱気になっていたので、私は『行ける行ける!』と元気づけるつもりでチケットを購入。せっかく行くならと、現地で講演をさせてもらうことになりました。そこでお世話になった方も、エッセイがきっかけで繋がった人でした。ニューヨークでは厳しいロックダウン中、ブログや日記など“書くこと”が流行ったのだそうです。そんな背景もあって、私のような日常のエッセイが受け入れられたのかもしれません。現地の日本人60人が聞きに集まってくれたのは、本当にうれしかったですね」

作家・岸田奈美さん

「それにしても、家族4人(母、弟、岸田さんのパートナー、岸田さん)の渡航・滞在費で計250万円! 物価も高いし、とんでもない出費ですけど(笑)、これまで家族のことを文章に書いてきたので、その恩返しです。この出来事もまた、エッセイに書けますし。こうやって、ずっと、ずっと、循環していくんでしょうね」

最後に、プレミアムドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』が放送される日曜の夜は、どんなふうに過ごしているのかを聞くと…。

「週末を神戸の実家で過ごし、いつもなら弟をグループホームに送って行く時間。でも、ドラマの放送があるから、しばらくは送る時間をずらしてもらわなくちゃ(笑)」

WEB Domaniでは、岸田さんが家族への思いを語っています。そちらもご覧ください。

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった +かきたし』(小学館文庫)発売中

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった +かきたし

岸田奈美さん初のエッセイが2年半ぶりに文庫化! その間の岸田家の変化やドラマへの思いは「文庫あとがき(おかわり)」でたっぷり語られています。また、かきたし原稿「表紙の絵の味」では、岸田さんが手がけた表紙のイラストについて、装丁家・祖父江慎さんとのやりとりの裏話が。作家・一穂ミチさんの温かみある「解説」も必読です。

プレミアムドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』
5月 14 日(日)スタート予定 〈全10話〉
毎週日曜 夜10:00~10:50(BS プレミアム・BS4K)
原作:岸田奈美
脚本・演出:大九明子 脚本:市之瀬浩子、鈴木史子
出演:河合優実、坂井真紀、吉田 葵、福地桃子、奥野瑛太/林 遣都、古舘寛治、山田真歩/錦戸 亮、美保 純ほか

同名エッセイをもとにしたドラマ。高校生の岸本七実(河合優実)は、きらきらした一軍女子たちの輪に入れず、今日も同じ三軍同士、天ヶ瀬環(福地桃子)と授業でペアを組まされていた。いささか自意識をこじらせながら暮らしていたある日、母のひとみ(坂井真紀)から連絡が入る。ダウン症の弟・草太(吉田葵)が万引きをしたかもしれないというのだ。七実の、ありえないことが次々と起こるてんやわんやな日々が続いていく…。大好きだった父・耕助(錦戸亮)の死、あまりにマイペースな祖母・芳子(美保純)との生活など、さまざまな出来事と向き合い、必死で笑い飛ばし、時々涙しながら、七実は「作家」としてブレイクする…のか?

撮影/五十嵐美弥 取材・文/南 ゆかり

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作家・岸田奈美さん

岸田奈美(きしだ・なみ)

1991年生まれ、兵庫県神戸市出身。大学在学中に株式会社ミライロの創業メンバーとして加入、10年にわたり広報部長を務めたのち、作家として独立。Forbes「30 UNDER 30 Asia 2021」選出。著書に『傘のさし方がわからない』(小学館)、『もうあかんわ日記』(ライツ社)、『飽きっぽいから、愛っぽい』(講談社)など。

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