四神相応とは? 4つの方位を司る神
『四神相応(しじんそうおう)』は、古来中国から伝わった風水の一種です。四神は古代中国で誕生し、日本へ伝えられたもので、東は青龍、南は朱雀、西は白虎、北は玄武という神獣がそれぞれ天の四方の方角を守っているといわれています。四神を配した土地は風水では最良の地とされ、邪気を遮断し幸せを呼び込み、健康運もよいといわれます。
また陰陽五行説を基に中央に「麒麟」や「黄龍」を取り入れることもあり、その場合は五神(ごしん、ごじん)あるいは五獣(ごじゅう)と呼んでいます。
◆4つの方位を司る神
中国から日本に伝わった四神獣は、もともとは邪気を払い、よりよい環境を整えるために祀られたもの。東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武の四神獣をそれぞれが司る方角に置くことによって、悪霊を追い払いさまざまな福徳を授けてくれると伝えられています。
東の青龍
東の青龍は、東の河川に住み太陽の昇る東方を守ることから、金運を呼び込み商売繁盛をもたらすとされています。また「龍」は龍神とあがめられているように、とてもパワフルなので災いを振り払って成功、勝利をもたらしてくれます。
南の朱雀
南の朱雀は、5色の羽を持ち、火を操る美しい鳥といわれる不死鳥です。南の低地に溜まる大きな池に降り立ち、その大きな翼で、降りかかる災いや悪霊を追い払い、幸福と家運繁栄をもたらします。また人気運にも関係があるので恋愛が成就するともいわれます。
西の白虎
西の白虎は太陽の沈む西方を守る後門の守護神。西の道を走り、睨みを利かせて邪気を遠ざけ、幸せを呼び込むとされています。中国では虎は百獣の王と伝えられ、虎が500年生き抜くと霊力を得て白虎になるとされているので、白虎は特別な神と考えられています。
北の玄武
北の玄武は北の大地にある大きな山で逆風の盾となり、繁栄と長寿をもたらすとされています。玄武は硬い甲羅を持つ亀と、それにまとわりついた蛇が一体となった姿をしていることから、力強く運を切り拓いて繁栄するといわれています。
このように、四神の相応する土地に都市や家を建てれば気の流れが整い、幸に恵まれるとし、土地選びの目安にされてきたのです。
四神と麒麟の関係
四神の起源は古代中国の天文思想で、二十八宿から始まり、さらに七宿ずつに分けた星座が龍・虎・鳳凰・亀の4つの動物の姿に見えたといいます。そこに五行説の五行と方位、色が結びつけられ、中央を守護するものとして黄龍または麒麟を加わり五神(五霊)になりました。
麒麟:土=中央=黄
青龍:木=東=青
白虎:金=西=白
朱雀:火=南=赤
玄武:水=北=黒
麒麟は中国では「仁獣」とも呼ばれ、優れた君主が統治している時代にのみ姿を見せるという平和のシンボルとされています。
日本の四神相応の地は?
四神が揃う土地は理想的な地形配置とされ、「四神相応の地」と呼ばれます。青龍・白虎・朱雀・玄武の四つの神様に対応した地形は、風水では最も良い地形とされています。昔から、環境を整えると良い気が集まり結果として心身が健やかになり、開運に繋がると考えられてきました。
京都は「四神相応の地」として有名で、鴨川や船岡山など四方に該当する地形があり風水に守られています。
桓武天皇は794年に、長岡京から平安京へ遷都しました。遷都にあたって、中国の古典に詳しい学者や高僧、陰陽師らを集めて四神相応の最適な地を探させましたが、平安京こそ東西南北を「四神」が守護する「四神相応の地」だったといいます。
一般的に四神相応の地とされているのは、東に清き流れがある(蒼龍)、南が広く開けた湿地帯(朱雀)、西に大きな道が続く(白虎)、北に高くそびえる山がある(玄武)といわれています。平安京では「蒼龍」が賀茂川、「朱雀」巨掠池(おぐらいけ)、「白虎」が山陰道(または山陽)、「玄武」は舟岡山とされています。
こうして四神相応の考えに基づいて平安京が作られ、四神を守護するために東に八坂神社、南には城南宮、西に松尾大社、北に上賀茂神社が造られ、その四神の中心を司るのが平安神宮です。
四神相応の地とは?
「四神相応の地」は、「東に青龍の宿る川」、「南に朱雀が宿る海」、「西に白虎が宿る大道」、「北に玄武が宿る山」がある土地ですが、京都の他にも四神が揃う土地があります。
江戸(東京)
徳川家康が開いた江戸幕府は「四神相応」に基づいて作られたといわれます。家康は、京の都(平安京)と同じように、江戸の邪気を払い、繁栄をもたらすため、四方の山や川などの地形を四神に見立て、四神相応の地になるよう詳しく地形を調査しました。
そうして配置されたのが、東(青龍が宿る川)=隅田川、南(朱雀が宿る平野・海)=江戸湊(東京湾)、西(白虎が宿る大道)=東海道、北(玄武が宿る山)=神田山(麹町・駿河台)です。さらに鬼門(北東)の上野に寛永寺、裏鬼門の芝には増上寺が配置され、徳川家の菩提寺として祀られました。
京都・五社巡り
京都では、四神相応の京(みやこ)の東西南北を守護する社と中央を守護する平安神宮をめぐるという「京都五社めぐり」が人気です。五社とは、東の蒼龍(八坂神社)、南の朱雀(城南宮)、西の白虎(松尾大社)、北の玄武(上賀茂神社)、そして中央の平安神宮で、五社巡りをすると、良い運気を導き入れ、開運に繫がるといわれています。
東の八坂神社は商売繁盛、縁結び、厄除け、南の城南宮は方除け、厄除け、西の松尾大社は交通安全、厄除け、北の上賀茂神社は交通安全、家内安全、災難除け、中央の平安神宮は開運招福、厄除けにご利益があるといわれ、ご加護をいただけます。
四神相応の効果は?
「四神相応の地」は四方に守護神が鎮護し、陰陽のバランスのとれた土地ですが、そのような土地を探すことは、なかなか難しいです。でも気の流れや陰陽のバランスや方角などから家の間取りやインテリア、四神を工夫することで四神相応の土地と同じような効果を得ることもできます。
四神のそれぞれ効果を紹介します。
青龍(仕事運)
東は太陽が昇ってくる方向なので、「仕事運」「出世運」「発展」を司る方位です。風水で龍を東に置くと発展 のネルギーを高めてくれると考えられています。また、外からの活気や情報を取り込む方向ですから、なるべく物を置かない方がいいでしょう。収納家具は、東側には不向きです。
朱雀(恋愛運)
南は、太陽の光が一番たくさんはいってくる場所で、大きな翼で災厄をはらい、凶を吉に変えてくれます。平和と幸福をもたらすことから、「家庭運」「恋愛運」アップにつながります。
白虎(金運)
白虎が司る西の方向は、金運にとっても影響があります。虎は一日に千里を走ることから、勢いと優れた行動力や強いリーダシップをもたらします。金運、ギャンブル運、商売繁盛、家庭円満、子孫繁栄などに効果があります。
玄武(健康運)
玄武が司る北は、変わらない地位や真理といったものを象徴しています。おもに健康運、厄除けなどに効果があります。長寿の象徴・亀と厄災をはねのける蛇の霊力で降りかかる病魔をはらい、健康、長寿をもたらしてくれます。
四神相応の効果をアップさせる方法
平安京の他にも、平城京や鎌倉、江戸も四神相応の地として都を作ったことで長く繁栄したと伝えられますが、一説によると、豊臣秀吉は大阪に四神相応を配慮しなかったために長続きしなかったともいわれています。
四神相応の効果は、そのぐらい影響力があるということなのかもしれません。
自宅でもできる効果アップの方法をいくつかチェックしてみましょう。
家具やインテリアの配置とアイテム
東(青龍)
東は太陽が昇ってくる方向ですから、できるだけこのパワーを取り込めるようにしましょう。ゴチャゴチャと物を置かずに、整理整頓を心がけて。収納するための大きな家具などは、東側には置かない方がいいでしょう。東側は外部からの情報が入ってくる場所ですから、テレビやパソコンなどを置くと、さらにパワーアップします。軽めの木製の家具もよいでしょう。
南(朱雀)
南は太陽の光がたくさん入ってくる方向ですから、もっともエネルギッシュな場所。この方向にある部屋は仕事場などにするとよく、インテリアは明るく派手にするといいでしょう。水槽などを置くのに適しています。もし、太陽の光があまり入ってこないようでしたら、南国をイメージできる絵や写真を飾り、照明を明るめに。
西(百虎)
西の方向は、金運に影響があります。大型家具や貴金属を置く場所にするといいでしょう。金庫や貴金属、トロフィー、本棚などを置くのに最適です。もし、西日が強く入ってくる場合は、なるべく遮光カーテンなどで弱めるといいでしょう。
北(玄武)
北は太陽の光があまり入ってこない場所ですが、健康と長寿に効果的です。自宅の北側にある部屋は、落ち着いたインテリアで寝室として利用するのがベスト。対人運も良好になります。また仏壇や神棚、お札、時計などは北に配置するといいでしょう。
最後に
四神相応の地は自然の恩恵を最も受けられる理想的な地といえます。現代では、自然環境も変化しているので、最適な地を探すのは難しいかもしれませんが、四神相応の地を訪れることで開運パワーを引き寄せてみてはいかがでしょう。
TOP画像/(c)Shutterstock.com