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LIFESTYLE

2021.04.17

【RADWIMPSの素顔】ここまで言っていいの? 大反響本『あんときのRADWIMPS』著者に直撃!【音楽のプロが分析】

言わずと知れた国民的ロックバンドRADWIMPSは、今年メジャーデビュー15周年! そんな彼らの黎明期を克明に綴った、公式ノンフィクション本『あんときのRADWIMPS「人生 出会い」編』が大反響を呼んでいます。音楽のプロである著者から見た、彼らのスゴさって一体…?

音楽のプロが語るRADWIMPSのスゴさ、聞いてきました!

Oggi読者にもファンの多い、国民的ロックバンドRADWIMPS。そんな彼らのデビュー前から共に歩んできたレコード会社担当者が描いた『あんときのRADWIMPS 「人生 出会い」編』(小学館刊)に大きい注目が集まっています。

▲『あんときのRADWIMPS 「人生 出会い」編』(小学館)¥1,870(税込)

というのも、デビュー前から12社ものレコード会社が目を付けていたことや、常に意識していた解散危機、スタジオが凍りついたメンバー間の軋轢、ボーカル・野田洋次郎さんの恋人との別れ… など、身内でしか知りえない“怪物バンドの裏側”が赤裸々に綴られているから。

今回、デビューから15年、彼らと共に歩んできた著者の渡辺雅敏さんに、どうしてそこまで描いたのか、そして一番近くにいて感じた、彼らのスゴさについて、あれこれ聞いてみました!

RADWIMPSとの出会い・解散の危機

——東芝EMI(現在はUNIVERSAL MUSIC JAPAN内のEMI Records)の社員として、「化け物みたいに圧倒的なアーティスト」に出会うためにたくさんの音源を聴きまくっていたという渡辺さんが、横浜の高校生バンドRADWIMPSのCDを聞いた瞬間、これだ! と思った理由は?

「一言で言うと、音楽に不純物がなかった、ということですね。10代の彼らの葛藤する気持ち… たとえば親との関係性とか、社会というシステムと自分とのあり方とか、人を好きになるけれどこれがどういうことかわからないとか、ピュアな思いが打算なくそのまま音楽に変換されているというのが、かつてない衝撃でした。

やっぱり何か物事を発表する時って、どこかかっこつけちゃったり、ここまで言わない方がいいなと整えてしまう部分が誰にでもあると思うんです。それが不純かというと不純ではないんですけども、ただ、ぐっちゃぐちゃになっている感情をそのまま、純粋に音楽にトレースするのって、大人でもなかなかできないことで。それは、(野田)洋次郎が、RADWIMPSというバンドが、『本当のことじゃないと、届かない』っていう考えに基づいているからなんですよね」

——著書には、そんな彼らの音楽以外にも、大人の渡辺さんが感心させられるといったシーンが何度か描かれています。どんなところが尊敬できたのでしょうか?

「洋次郎は“細胞の全てを燃え尽くして生き抜くんだ”ってよく言うんですけど、文字通り、音楽に身を捧げるように真摯に取り組む姿は、やっぱりすごいと思いますね。ここまでしないとダメなの?と、何度も思いました。

ただ、他のアーティストの方々を全て知っているわけではないので、他と比べてという話ではないですよ。それぞれ真摯に音楽を作っていると思うので…。

あとは、製作中は凄まじいまでに集中するんですが、普段はとても風通しがいいところですね。洋次郎が幼少期を海外で過ごしたことも関係しているのかもしれませんが、仕事かプライベートか、なんて分けず、チームになったら家族ぐるみの付き合いになるんです。洋次郎の自宅で毎年行われるホームパーティーに最初に招かれた時は、こんな世界があるのかとカルチャーショックを受けました」

——印象的だったのは、楽しい話だけでなく、野田さんが音楽に取り憑かれて殺されるんじゃ… というような壮絶な描写や、それについていけないメンバーとの軋轢、解散の危機など、普通なら… とくに身内なら、触れたくないようなことまで赤裸々に書かれている点です。なぜここまで書かれたのでしょう?

「やっぱりRADWIMPSが全てをさらけ出して、本当のことを表現してきたバンドなので、彼らの物語を書くとなったら、嘘を書くわけにはいかないというのがありました。

洋次郎は『自分の知らない舞台裏でスタッフはそんな話をしてたんだ』っていうのはあったみたいですけど、ぼくが『このままRADWIMPSが解散しちゃうんじゃないか』と危惧していたことは、スタッフも、そしてメンバーも全員理解していたと思います。そのくらい、そういうシリアスな状況だったんです。みんなが運命共同体というか家族みたいなチームで動いていたんで、これで終わっちゃうんじゃないか、毎回これが最後なんだろうなと思いながらやっていました(苦笑)」

——野田さんが恋人と別れたくだりも、ここまで書いていいの? と、読みながらドキッとしました。

「踏み込みましたね(笑)。さすがにここまで踏み込んでいいのかと、ちょっと思いましたけど、でも、洋次郎から『そのくらい書かないと伝わんないよね』って言われたんです」

——この本は「人生 出会い」編です。ここから続く物語にも、まだ何かドキドキする展開があるのでしょうか?

「そうですね。お声がかかって続編が出るとすれば、7作目のアルバム『絶対絶命』からになると思うんですが、これが2011年3月9日に発売されていて、直後に3.11がありましたから…。東日本大震災はバンドにとっていまだ大きく横たわっているテーマですし、さらにドラマーが活動休止になってしまったりするので、ヘビーなところから始まる感じになると思います。今作はバンドの変革の時期で物語が終わっていますが、次作は変革が終わって変身を遂げた後の姿が描ければと思います。

ちなみに、もうこの時期になると、解散危機は乗り越えたので、そこは心配しなくて大丈夫です(笑)。今もスタジオで泣き叫んでやっているわけではないです(笑)。灰皿も投げてませんし、彼らも大人になっています」

RADWIMPSが手がける歌詞と曲づくり

——怖くもあり楽しみにしています。ところで、RADWIMPSといえばその秀逸な歌詞に注目が集まりますが、音楽のプロとして、野田さんが紡ぐ歌詞はどんな点が優れていると分析されますか?

「生きることや愛することの根源の部分を捉えて、それを簡潔に、鮮やかな切り口で表現できているところ。しかもいろいろな視点を持っているから、その言葉が何倍も魅力的になっている点でしょう。的確でありながら、客観性と主観性、ミクロとマクロを行き来しているというんでしょうか…。

例えば、好きだっていうときに、円グラフでいうと100%好きじゃなくても相対的に好きが多ければ、普通は好きっていいますよね。彼の場合は、大体は好きなんだけど、こことここは嫌というところも全部すくい上げる。それだけ自分の感情を正確に歌詞に移すので、作詞しながら自分を知るそうです。洋次郎も『俺ってこんなことを考えていたんだって、歌詞を書いているとわかる。だから普通の人の何倍も自分のことを理解していると思う』ということを言っていました」

——では他の部分、音楽のバリエーションだったり、メロディー、リズム、アレンジなどではどのような特長があるのでしょうか?

「すばらしい音楽センスがあるのは間違いありません。ですが、それに加えて努力家であり、音楽に対してものすごく真面目に向き合う点がすごいと思います。映画『君の名は。』の時は、オーケストレーションまで作ってしまって…。あれ全部、洋次郎ひとりでやってますからね。レコーディングのエンジニアが使うソフトPro Toolsをいじれるようになったり、弾けなかったピアノが弾けるようになったり、必要な技術を習得するための勉強や練習を惜しまないんです。センスや才能に加えて努力をするから、進化し続けている。ここまでのアーティストは、正直他にはあまりいないと思います」

——難しい質問かもしれませんが、渡辺さんにとっていちばん思い出深い曲を1曲教えてください。

「今の話の流れでいうと、Pro Toolsを初めて導入した『オーダーメイド』ですね。この1曲に、1つのアルバムくらいの労力がかけられています。Pro Toolsを入れたばかりで、使いこなすまでいってないんですよね。ただ、バンドにとってものすごい変革となった曲です。あれ以前とあれ以降で曲の作り方も変わりましたから」

——では渡辺さんが選ぶ、RADWIMPSを代表する名曲は?

「これ、宣伝というつもりは一切ないんですけど、3月11日に発表された、最新アルバム『2+0+2+1+3+1+1=10 years 10 songs』です。いままでもそうだったんですが、もうこれを超える作品ができないというくらい、バンドが素晴らしい作品を発表し続けているので、常に最新作が一番の名作なんです。いつもこれで終わりかもって思いながらアルバムを出す準備をしてたので、新曲を出せることがとにかく嬉しい、というのもありますが(苦笑)。

それと、僕自身、音楽は発表された年に聴くのがいちばんだと思っているんです。たとえば、クラシックのマーラーは今聴いてもすごいと思うけど、あの当時に交響曲を聴いた人たちはどんなにびっくりしただろうかと思うんですよ。

RADWIMPSは新型コロナの影響も含め、時代の空気や思いをそのままトレースするバンドなので、5年後に2021年の音源を聴くより、できれば今聴いてもらいたいなと思いますね」

——アルバムにも収録されている新曲『あいたい』も大変な話題ですね。再生数も165万回を超え、コメント数も4000以上殺到しています。

「東日本大震災から10年、休んだ年もありましたが、毎年3月11日にYouTubeに楽曲をアップしていて、定点観測のように歌っているんです。聴いていただくとわかると思うのですが、ものすごく怒っている時もあれば、どうしようもない無力感に苛まれてる時もあって、すごく人に優しく語りかけてる時もある。今年発表した『あいたい』は、あいたい、触れたい、嗅ぎたいという気持ちを歌にしています。身内ながら素敵な曲だなと思いますね。

今年はRADWIMPSデビュー15周年というのもありますし、この曲を含めて、彼らの歌声が少しでも多くの人に届いたらいいなと思います」

* * *

音楽を純粋に楽しんでいた10代の少年たちが、たくさんぶつかり、涙し、絆を確かめ合いながら国民的ロックバンドへと成長していく『あんときのRADWIMPS——「人生 出会い」編』は、RADファンはもちろんのこと、ファンでなくても十分読み応えのある作品です。もっと彼らの“あんとき”を知りたくなった人は、同作をぜひチェックしてみてくださいね!

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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