温冷交代浴(サウナ・水風呂など)は本当に体にいいですか?
最近テレビで「ととのいました!」というフレーズで、サウナがよく取り上げられており、気になっていてもサウナに行ったことがない… という人も多いのでは? 血圧が高めの筆者もサウナに入ってよいのか気になっています。
そこで、今回は、「最強の医師団が教える 長生きできる方法」(アスコム)の著者の一員でもあり、高い患者支持率を誇る乳腺外科医の鳥海 弥寿雄先生に聞いてみました。
■鳥海先生に質問! 温冷交代浴(サウナ・水風呂など)は本当に体にいいですか?
鳥海先生:高齢者や血圧の高い方は温冷交代浴はやめましょう。世の中はサウナブームが訪れているのだそうで、水風呂と交互に入ることによって体に刺激を与え、恍惚感が得られる「ととのう」状態を求める人がたくさんいらっしゃると聞きました。
サウナに入って体が温まると手足の先まで末梢の血管が開き、その状態のまま水風呂に入ると一気に血管が閉まる。この収縮を繰り返すと血の巡りがよくなり、体の隅々まで血液が送り込まれるようになりますので、温冷交代浴が体に与える健康効果は確かにあります。
しかし、それに耐えられる体の持ち主であることが条件。若い方や体が健康そのものという方は問題ありませんが、高齢者や病弱な方、とりわけ血圧の高い方がこれをやると、かえって健康を損ねることにつながってしまいます。循環器系の働きを改善させるにはいいが、万人向けではない。これが私の結論です。
* * *
サウナの「ととのいました」体験してみたかったのですが、血圧が高い場合はダメですね。でも諦めきれない… 人もいますよね(筆者もその一人です)。他の方法がないか聞いてみます。
■心不全の症状があったり、血圧の高い人は、どうすればよいですか?
鳥海先生:不安のある方は、半身浴を試してみてください。半身浴は体にいい。とくに心臓の悪い人におすすめです。
半身浴はいいこと尽くめ。そう言っても過言ではないでしょう。体を温める時間はかかりますし、それによってもたらされる作用もスローですが、なにより体に大きな負担をかけないのが魅力的です。体力のない方、持病を抱えている方、高齢者なども安心して入浴できますから。
とくに心不全の症状のある人たちには打ってつけです。心臓をはじめとする循環器系の悪い人のなかにはお風呂嫌いが多く、その理由を尋ねると「お風呂の水圧がとても負担に感じるから」だと言います。お風呂に入りたがらないのは、体が本能的に危険を察知しているからなのです。
でも、半身浴なら大丈夫。お風呂の水位は心臓より下に位置することになりますので、圧力を感じることはありません。40度くらいのぬるめのお湯にゆったり浸かってください。脱水症状にならないように、浴室に飲みものを持ち込んでもいいですし、音楽をかけてさらにリラックスするのもいいでしょう。
* * *
半身浴、ちょっと贅沢な響きですね。飲み物やスマホを持ち込んで、ゆーっくり映画でも観ながらも良さそう。いつもよりおうち時間が長い今、半身浴で自分の体を「ととのえ」てみては?
TOP画像/(c)Shutterstock.com
お話を伺ったのは…東京慈恵会医科大学乳腺・甲状腺・内分 泌外科特任教授・鳥海 弥寿雄先生
東京慈恵会医科大学乳腺・甲状腺・内分泌外科特任教授。外科医でありながら、保険指導医としてすべての診療に通じ、総合診療能力が高い。テレビ番組の総合医療監修の実績も豊富。