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LIFESTYLE

2020.08.02

問題です! このかき氷はどんな味? 奈良県民ならすぐ分かるかも…【連載・史上初かき氷小説作家の今日の一杯】

「食」に関する小説に特化した文庫レーベル「おいしい小説文庫」から発売された、史上初のかき氷小説『氷と蜜』の著者である佐久そるんさんが、ひんやりおいしいかき氷の世界に誘う食べ歩き連載。第六回目は、奈良県奈良市餅飯殿町「ほうせき箱」です。

古都・奈良を代表するかき氷〈新人作家のかき氷探訪記〉

小説『氷と蜜』の著者、佐久そるんです。

かき氷が題材の『氷と蜜』には、数多くのかき氷のお店と、それを食べ歩く愛好家の人たちが登場します。梅雨が明けると、かき氷のハイシーズンですね。みなさんは、もう食べられましたか?

ご紹介するのは、奈良を代表するお店『ほうせき箱』さんです。

◆奈良県奈良市餅飯殿町|ほうせき箱

注文を済ませ席に案内されると、数分もしないうちにかき氷が運ばれてきます。

いただいたのは柿の葉茶のかき氷です。

ミルクとあわせた柿の葉茶は、すっきりとした味わいでした。中には濃厚なピスタチオのペーストが入っており、吉野のはちみつが芳醇な甘味を加えています。

見た目は、奈良の町でみかける神様の使い(鹿)に寄せているのかな? お菓子で作った斑点が可愛らしいですね。

夏は整理券が朝早くになくなってしまう大人気のお店ですが、不思議なことに待たされることはありません。かき氷の提供が、驚くほどに速いからです。もちろん味も形も損なわれてはいません。秘密はチームワークにあると思っています。分業で作られるかき氷。削り手からレジ打ちまで、各々が自分の仕事をまっとうし、ときにフォローする。楽しそうに仕事をされているのも印象的でした。そのチームワークは、お店にとどまりません。

近隣のホテルや旅館とタッグを組んだお泊りプラン。わたしが利用したのは奈良きたまちにある小さなホテル『奈良倶楽部』さんです。

宿泊するとかき氷の予約を取ってくれるので、整理券をとるために朝早くから並ぶ必要もありませんし、予約サイト(エアリザーブ)の予約開始時間前から待機してスマホの画面とにらめっこをする必要もありません。

地場産品を使ったおいしい朝食をいただいて、悠々とお店に向かうことができました。

また、8月1日からは餅飯殿のお店を飛び出して、東大寺の観音院でも営業されています。ゆったりとした時間の中でいただくかき氷は格別ですね。

輝くルビーを思わせるラズベリーのソース。亜酸化窒素をもちいたミルクエスプーマの軽い口当たりを、ぜひとも楽しんでください。さっぱりとした柑橘のシロップの奥には、爽やかなレモンゼリーが入っていますよ。

ハーブティーを使った、青や紫のかき氷はどうですか?

メニューに記されたかき氷は、次々と入れ替わっていきます。美しいかき氷を、たくさん味わってください。

町ぐるみのオペレーションは、脈々と受け継がれた古都の歴史を感じさせるような豊かな時間を提供してくれました。悠久の流れに煌めく一杯を、どうぞめしあがれ。

【ほうせき箱】
住所:奈良県奈良市餅飯殿町47番地
電話:0742-93-4260
8月の営業時間:9時30分~11時50分、13時~17時

Instagram:housekibaco

Twitter:@housekibaco

佐久そるん

大阪生まれ、大阪育ち。5年ほど前から小説の執筆をはじめる。2019年『氷と蜜』が第1回日本おいしい小説大賞の最終候補に選ばれ、刊行に向け改稿をスタート。2020年6月、同作で作家デビュー。かき氷の魅力が詰まっていると『氷と蜜』は話題に!

甘いものに目がなく、まめに食べ歩く。パンケーキ、パフェと続いてここ3年はかき氷にハマっている。コロナ禍の自粛期間中は和洋菓子をお取り寄せしてお店を応援。現在は再開したかき氷店へ著書を持って行脚の日々。

氷と蜜

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