会席弁当&日本酒の至福のマリアージュ
外出自粛が続く中、そろそろ自炊ごはんにも飽きてきた……。特に、外食でしか味わえないプロの味が恋しいこの頃。そこで、今日は自粛疲れをしている自分にちょっとご褒美。東京・神楽坂にある和食と日本酒の名店「ふしきの」のテイクアウトを奮発して頼んじゃいました!
神楽坂のメイン通りから小さな路地に入ったところにひっそりと佇む「ふしきの」。普段からなかなか予約の取れない名店で、2011年にオープンするや否や、食通たちの間で瞬く間に評判となり、翌年にはミシュラン一つ星を獲得、以来8年連続で星を獲得している気鋭の実力店です。
「ふしきの」が食通たちを虜にしてやまない理由は、日本料理、日本酒、酒器の三位一体の個性的なマリアージュ。通常は完全予約制のコース料理で、京都の老舗料理店で研鑽を積んだ料理長・荒巻吉男さんが作る季節を生かした繊細な日本料理に、店主の宮下祐輔さんが全国各地の酒蔵から厳選した日本酒をペアリングしています。
客が好みの日本酒を選ぶのではなく、その日の料理を引き立てる選ばれし最高の一杯が料理ごとにそれぞれ登場。さらに酒器もその都度変わり、酒の味や香りを楽しむのにふさわしい器で供されるという通好みな隠れ家なのです。
運よく予約ができた日は、至福の三位一体の共演に、「次は何かな?」と胸を躍らせ、最後のデザートまでワクワクしっぱなし。そんな「ふしきの」が始めたテイクアウトは、1日10食限定の「春の会席弁当と利き酒セット」。そう、テイクアウトですが、店主が厳選する日本酒のペアリングは健在という心意気!
〈メニュー〉
・春の会席弁当(二段)/1人前 5,500円(税別)
・オススメ日本酒 720ml(1〜2種類を用意)/1種類 1,500〜2,500円(税別)
※会席弁当は1日10食限定。前日15時までに要予約。会席弁当のみの注文も可能。
※日本酒は週替わりで違う蔵元のものを提供。
週末は予約でいっぱいになることが多く、リピートする人や、大切なかたへの贈り物として注文する人も多いそう。さらに希望者は、店主自らが行うオンラインを活用した日本酒ペアリングのミニワークショップにも参加できるという嬉しいおまけ付き!(参加希望者は予約時に連絡。お弁当受取日の18〜19時頃に希望者に向けて開催)。
これぞ、食を通じて日本の文化と笑顔を届けたいという「ふしきの」ならではのアイディアですね。
◆オンライン解説から食文化の理解を深める
18時頃、はやる気持ちを抑えながらZoomを使ったミニワークショップに参加。まず店主の宮下さんが今日のお弁当と日本酒を解説してくれます。上品な薄紫の包み紙を開けると、中にはきちっとお品書きが。会席弁当の壱の重、弐の重に加え、本日の日本酒の解説もしっかりありました。こういった細やかな気配りが嬉しい限り。
宮下さんが画面にお弁当の写真を出しながら、ひとつひとつお料理の紹介をしてくれるので、私も一緒に自分のお弁当をチェック。まさにお店で料理が運ばれてきて、説明を聞いている時のワクワク感を思い出します。
さらに、日本酒に関しては、実際に店主が酒蔵を訪れた時の写真を公開しながら、どのように酒造りが行われているのかを丁寧に解説してくれます。まるで束の間、酒蔵巡りをしているよう。
今回ペアリングに選ばれたのは、静岡県にある志太泉酒造の純米吟醸「ラヂオ正宗」。村で最初にラジオを購入したことから名付けられたという戦前の銘柄を復刻したもので、ラベルもレトロな雰囲気で愛らしい。
「お弁当は味をしっかりふくませて冷めてもおいしいように味付けしています。このラヂオ正宗は伝統的な生酛造りで醸された一本で、単体で飲むとそんなにインパクトはないかもしれませんが、料理と合わせるとものすごくおいしい。
個人的にどんなお料理にも合う最高の一本だと思っています。今はなかなか外食の楽しみを継続できない状況なので、少しでも家飲みの時間を楽しんでください」
宮下さんの素敵な解説を聴いてからいただく“おうちごはん”は贅沢の極みです。
ワークショップは約10分で終了。たっぷり知識を詰め込んだところで、いよいよ実食!
◆最高のマリアージュに陶酔
壱の重は、開けた瞬間にふわりと桜の香りが。ほたるいか、鯛、菜の花、竹の子、空豆、わらび… 名残桜のような春の香りは、デザートに添えられた桜餅でした。弐の重は彩り豊かな具だくさんの春菜寿司。「ふしきの」は季節の食材を生かした四季を感じる日本料理が評判のお店。それはお弁当でも健在で、目にも鮮やかな演出に職人の粋を感じずにはいられません。
みずみずしい竹の子のハリハリした小気味よい食感、色よく炊かれた空豆の甘み、ふき煮の元気が出るほろ苦さ、ぷりっとしたほたるいかのふくよかな旨み… 自粛続きで春の味覚を味わう楽しさを今年は忘れていたなぁと、ひと口食べる度に、舌も脳も大喜びしていました。そこに輪をかけるように「ラヂオ正宗」が至福のマリアージュを展開。
これはまさに宮下さんの解説通り、お弁当の邪魔をせず、より一層料理の味を引き立てる真のバイプレーヤー! 華やかすぎるお酒よりもこういうのが合うんだよね〜、さすが分かってるなぁ〜と、お弁当をつまんでは日本酒を口に運ぶ至福の無限ループを繰り返し、少し遅めの春をしみじみ満喫しました。
お店で「ごちそうさまでした!」と幸せいっぱいな気持ちで帰る時と変わらない満足度に、自宅からは届きませんが大きな拍手を贈りました。実は身近に感じる和食こそ、繊細なプロの仕事は家庭では再現不可能。
やっぱり名店の味は、テイクアウトでも素晴らしかった! さらに、どんな状況下でもお客さんを楽しませることに最善を尽くすホスピタリティも、さすがミシュランお墨付き。
自粛続きでお疲れモードの今こそ、自分へのご褒美にぜひ。大切なかたへの贈り物にもおすすめです。体はもちろん、心にも幸せを与えてくれること間違いなしです!
※会席弁当は2020年4月末の内容です。
【店舗紹介・購入方法】
店名:ふしきの
住所:東京都新宿区神楽坂4-3-11 神楽坂つなしょうテラス2階
電話:03-3269-4556
メール:info@fushikino.com
予約サイト
受付:前日の15時までにメールにて要予約。予約方法については上記HPを参照。
受取方法:店頭の場合は、受取日の16時以降に。地域によってはお弁当2個以上で配達も可能。(配達料は別途。配達可能な地域はHPを参照)
※1日10食限定。ご希望のかたは店主による料理と日本酒の解説を行うZoomでのワークショップへの参加が可能(受取日の18〜19時頃を予定。予約状況により時間が変更になる場合があります)。
構成/岸綾香