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LIFESTYLE

2020.02.15

満場一致で「日本おいしい小説大賞」受賞! アラサー女子に寄り添う「七度笑えば、恋の味」著・古矢永塔子さんインタビュー

「10年間、毎日家族のために料理をつくってきた」という古矢永塔子さんの小説「七度笑えば、恋の味」が第1回「日本おいしい小説大賞」を受賞。彼女にインタビューしてきました。

アラサー女子の人生の壁に寄り添う「おいしい」小説が誕生!
<日本おいしい小説大賞>受賞 古矢永塔子さんインタビュー

◆夕食の支度をしながらスマホで原稿書き

林檎のホットケーキ、菜の花そぼろ、漬けトマトの冷やし中華、半端刺身のユッケ丼、きのこづくしのハンバーグ、七味唐辛子入りココア…。ひと工夫加わったこんな料理を、食欲をそそる言葉とシーン描写でつづった長編小説『七度笑えば、恋の味』が、2月14日発売された。作者は、「10年間、毎日家族のために料理をつくってきた」という、古矢永塔子さん

「社会人になりたてのころは、毎日忙しくてコンビニ食ばかりでした。結婚してからは、夫の体調を気遣って素材を選んだり、子どもの好きなものをよくつくったり。

小説で出てくる『漬けトマトの冷やし中華』は、子どもの大好物。トマトの皮をむいて、丸ごとポン酢に浸してそのまま冷やし中華のタレにするんです。トマトの汁ごと味わえるし、栄養も取れるかなと考えて。菜の花のそぼろは、祖母のつくり方を受け継いだ料理。ほかにも、小説に出てくる家庭料理の多くは、私自身の日常でつくっているものです。

こんな毎日の中で、小説を書くのは隙間の時間でした。アルバイトから帰ってきて、食事の支度をしながら、キッチンでささっとスマホに原稿を打ったり、子どもが寝た後に深夜まで続きを書いたり。子育てで忙しい中でも、書いている時間は楽しくて、夢中になれることがうれしくて。小説『七度笑えば、恋の味』は、いつまでも書き続けていたいと思ったほどです」

この小説で、第1回「日本おいしい小説大賞」を受賞した古矢永塔子さん。審査員全員一致での受賞となった。

◆「お母ちゃんの夢って何?」と娘に聞かれて、小説家の道へ

小説家デビューを果たした古矢永さんだが、20〜30代の間に二度の大きな転機があった。

「ひとつ目の転機は、会社を辞めて高知に引っ越したとき。東京での会社員生活は忙しくて体をこわしてしまうし、高知住まいの彼(現在の夫)とは遠く離れたまま。結婚に踏み込むきっかけもつかめず、仕事も恋愛もどっちつかずでした。

そんなとき、当時の上司があるフレーズを教えてくれました。『もし今日が人生最後の日だったら、私は今日やることをやりたいだろうか?』というスティーブ・ジョブズ(アップル創業者)の名言です。そしてジョブズは『NOという答えが何日も続くようであれば、何かを変える必要がある』と。それを聞いて、ハッと気づいたのです。

もし、人生最後の日だったら…。会社には行きたくないし、変化が起こるのを待ってるだけじゃダメだ。そう思って、会社を辞めて彼がいる高知に引っ越しました」

その後、結婚してふたりの子どもを授かった古矢永さん。小説家を目指すきっかけとなるふたつ目の転機をくれたのは、その子どもだった。

「娘とのなに気ない会話の中で『お母ちゃんの夢って何?』と聞かれたとき、私は『もう大人だし、夢とかないよ』と答えました。すると娘は『大人は夢みちゃいけないの?』って。確かにそうだな。小説を仕事にするのは大それた夢だけど、チャンレンジしてみてもいいのかな、と。

その日から、毎日少しずつ物語を書き続け、夢を追ってきました。夢中で書いたあとの達成感は大きく、『日本おいしい小説大賞』に応募後は『大賞が欲しい!』と半年待って…。大賞に決まったと連絡をいただいたときは、ほんとうにうれしかった」

◆殻を破る勇気があれば、自分も周囲も変わり始める

古矢永さんが味わってきた、小さなきっかけで普通の日常が変わる体験は、小説『七度笑えば、恋の味』の中でも、さまざまな形で登場する。

「大人になるほど、周りにある面倒な問題に立ち向かうことや、夢を追うことから目を背けてしまいがちです。また、日常の忙しさに追われて、本当にやるべきことを後回しにしてしまったり。東京で働いていたときの私が、まさにそうでした。

でも、ちょっと勇気を出して殻を破ることで、自分自身も周囲も変わり始めます。主人公の桐子も、後回しにしていた家庭の問題と向き合ったり、恐れていたことに向かうことで、前向きに変わっていきます。そんな桐子の姿が、読者のみなさんの勇気につながったらうれしいなと思います」

***

マスクで顔を隠し、殻に閉じこもった主人公・桐子は、どうやって自分を取り戻し、どう周囲とかかわっていくか…。第1章からハッとさせられるどんでん返し、徐々に明かされる桐子と周りの人々の素顔、それらに優しく寄り添う手料理の数々。そして桐子が好きになった44歳年上老人との恋のゆくえ…。小説の題名『七度笑えば、恋の味』の意味を考えながら、ゆっくり味わいたい小説です。

古矢永塔子

こやなが・とうこ/1982年青森県生まれ。弘前大学人文学部卒業。東京で会社員生活をしたのち、高知県に移り住み結婚、一男一女をもつ。2017年より小説を書き始める。

『七度笑えば、恋の味』¥1,500(小学館)/古矢永塔子
自分の容貌に強烈なコンプレックスを抱く28歳の日向桐子は、人目に触れぬよう外では常にマスクと眼鏡を身につけて暮らしている。勤務先で出会った72歳の不良老人・匙田(さじた)に連れてこられた居酒屋での温かい料理と新しい仲間によって、桐子の心は少しずつほぐされて…。

日本おいしい小説大賞
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取材・文/南 ゆかり


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