これは盲点!? 話題の新型コロナウイルスやインフルエンザの予防
今話題となっている新型コロナウイルス(COVID-19)や、まだまだ流行中のインフルエンザ… 全国でマスクが入手困難な状況になるなど予防に関心が集まっていますね。これらの予防には、マスク、うがい、手洗いだけが有効手段だと思っていませんか? 実はそれだけではないんです。今回は現役歯科医師である私、野尻真里が考える予防を紹介します。
◆口腔環境が悪いとインフルエンザ発症率をあげてしまう
口の中には多くの菌がいます。菌は歯磨きを怠けている、または歯磨きが適当なお口の中で増えていきます。
口内で、インフルエンザウイルスをどんどん増やしていくと、自身のインフルエンザを発症するリスクをあげるだけでなく、お口の働きとして菌を体外へ出そうとするため、インフルエンザウイルスの感染拡大にも繋がってしまいます(日本大学歯学部細菌学講座 神尾宜昌教授、今井健一教授らの研究より)。
また別の研究では、口の中の菌を減らすためにオーラルケアを徹底した施設では、オーラルケアの徹底をしていない施設の1/10にインフルエンザ発症を抑えることができたという結果もあります(東京歯科大学名誉教授 奥田克爾研究より)。
歯や舌の汚れには口腔細菌が沢山いて、ウイルスにとっては居心地が良いのです。
◆口腔細菌があるとタミフルなどの薬が効きにくい
研究でわかったことなのですが、口腔環境が整っていないと、タミフルなどのお薬が効きづらいこともわかっています。現在、新型コロナウイルスについてはわかっていないことが多く、治療薬がないことからタミフルなどの抗ウイルス薬が治療に使われている例もあるとか(日本大学歯学部細菌学講座 神尾宜昌教授、今井健一教授らの研究より)。
つまり、いつ自分が薬を飲んでも万全に効く口腔内を維持しておくことが大事なのです。
◆口腔細菌を喉や肺に届けないことも大切な予防
さらに口は喉や肺に繋がっています。むせた時、咳をした時によだれとともに口腔細菌が喉や肺に運ばれてしまうと、感染、悪化の可能性も。これはインフルエンザや風邪だけではなく、新型コロナウイルス(COVID-19)についても同様と考えていいでしょう。
どれだけ綺麗なマスクをつけてもうがいをしても完全な予防ではありません。マスクやうがいはマストで大切です。しかし、口が細菌やウイルスの住処になっていては意味がありません。手洗い、うがい、マスクにオーラルケアを入れることによって、皆さんの感染予防が推進されたらと思います。
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Oggi.jp's 野尻真里
日本審美歯科学会所属の歯科医師。朝日大学を現役卒業後「うずら歯科」に勤務。写真集『美人女医図鑑』を発売中。華道脇教授の資格を持つなど充実した趣味と、美容やファッションにもこだわっているインスタグラム@nojirimari も要チェック!