相手の意見と異なる意見を伝える時どうやって言う?
ビジネスシーンでは自分の意見を伝えなければならないことが多々あります。社会人として、会議や面談の場において、お客様それぞれの意見を聞きつつ、自分の意見を伝える必要があります。その話し合いを建設的なものに出来るか否かは、自分の意見の伝え方にもポイントあり! だと私は思っています。
今回は代表的な伝え方をお届けします。これをマスターして、場面によって伝え方を工夫してみてくださいね。
イエスバッド法とイエスアンド法
相手の意見を踏まえて、自分の意見を述べる時の伝え方としてイエスバッド法とイエスアンド法があります。
◆イエスバッド法
イエスバッド法は、相手の意見を聞いたとき、まずは「おっしゃる通りですね」(YES)などと受け止めた後に、「しかし…」(BUT)という否定の接続詞に続けて自分の意見を伝える方法をいいます。相手の意見を一度受け止めた上で、自分の意見を伝えるため、相手の意見を聞いてすぐさま反論するよりも、相手もこちらの意見に耳を傾けやすくなります。
イエスバッド法が効果的な場面は?
議論の焦点がどうしても譲れない条件などのときは、あえてイエスバッド法を使うことで、同意できない点がはっきりとし、説得力が増す場合もあります。
<例>
先方「この人数、費用、期間でプロジェクトを進めたいと考えております」
A「しかし、人数、費用、期間ともに、効果に比してかかり過ぎていると思いますので、再検討をお願いします」
B「企画の趣旨は理解しました。そうしますと、効果に見合ったものにするため、人数、費用、期間の問題をクリアできるよう再検討をお願いします」
C「企画の趣旨は理解しました。しかし、人数、費用、期間ともに、効果に比してかかり過ぎていると思いますので、再検討をお願いします」
Aは、最初から対立する意見を話しているので相手によっては、完全に否定されていると勘違いさせてしまうかもしれません。Bは後で解説をしているイエスアンド法。この方法では全体として肯定的な印象として残り、再検討の要望のシビアさが伝わらない可能性があります。
そのため、あえてCのイエスバッド法を使うことで、同意できる点とできない点が明確となり、ニュアンスを引き締める効果が期待できます。
◆イエスアンド法
イエスアンド法は、相手の意見を聞いたとき、まずは「おっしゃる通りですね」(YES)などと受け止めた後に、「実は」「あとは」などの否定ではない接続詞を使って自分の意見を伝える方法をいいます。
相手の意見を一度受け止めた上で、その延長線上に自分の意見を伝えるため、相手もこちらの意見を受け入れやすくなります。具体例で確認してみましょう。
イエスアンド法が有効な場合は?
<例>
先方「◯◯という企画を進めたいと考えています」
A「しかし、ターゲットを女性全般とすると対象が広すぎてしまい、当社が協賛する目的がぼやけてしまいます。働く女性に絞る方が明確になると考えます。いかがでしょうか」
B「企画の趣旨に賛同します。しかし、ターゲットを女性全般とすると対象が広すぎてしまい、当社が協賛する目的がぼやけてしまいます。働く女性に絞る方が明確になると考えます。いかがでしょうか」
C「企画の趣旨に賛同します。そしてターゲットを女性全般から働く女性に絞ることで、当社が協賛する目的がより明確になると考えます。いかがでしょうか」
このように同じ趣旨の意見であっても、AよりもB、そしてBよりもCと、イエスアンド法がもっとも柔らかいニュアンスになりますね。また、イエスアンド法を使うことで、全体としては賛成の印象で、実現に向けた提案をしているというポジティブな印象を受けるのではないでしょうか。
いかがでしたか? 同じことを伝えるにも言葉の選び方次第で相手の受け止め方が変わります。ビジネスシーンですから、相手も反対の意見を述べられたからといって憤慨してしまうということは少ないと思います。
とはいえ、まずは肯定的なワンクッションを置くことで、相手が身構えずに耳を傾ける効果が期待できます。もちろん、全面的に反対しなければならない時は否定から入らねばならないこともあると思います。場面に合わせて意識的に使い分けられれば、否定の表現もより効果的に相手に響きますよ。
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鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!