胃もたれとは、胃の消化運動が低下し、飲食物が消化しきれずに停滞することによって引き起こされる症状です。
ムカムカとした胸焼けや吐き気、胃の灼熱感などを生じるだけでなく、胃酸の分泌が増えることで胃の粘膜が荒れて胃痛を伴うことも少なくありません。
原因を改善することで、胃もたれの発症・悪化を予防しましょう。
【目次】
・【胃もたれ 原因】油っぽいものを食べていないのに、なぜ?
・【胃もたれ 原因】女性に起こりやすい理由は?
【胃もたれ 原因】油っぽいものを食べていないのに、なぜ?
胃もたれは、飲食物の消化に時間がかかり、胃の中に内容物が長時間停滞することによって引き起こされます。
飲食物は口の中で細かく咀嚼された後に食道を通って胃の中に流れ込みます。すると、胃の壁からは消化酵素を含む胃酸が分泌され、流れ込んだ飲食物を更に細かくするための消化が行われます。そして、十分に消化が行われると、筋肉で形成された胃が蠕動運動をして十二指腸に内容物を送り込むのです。
胃もたれは、この過程のどこかに異常が生じることによって引き起こされますが、圧倒的に多い原因は、油っぽいものや硬いものなど消化に時間がかかる食事を大量に摂ることです。
しかし一方で、消化に時間がかかる食事を摂っていないにも関わらず胃もたれが生じることもあります。これは、胃の蠕動運動が低下することで消化したものが十二指腸に流れこみにくくなることが原因となります。
胃もたれは暴飲暴食が原因と思われがちですが、食生活に注意している人でも胃もたれに悩まされることは多々あり、特に女性は食事内容とは関係しない胃もたれを生じやすいのも特徴の一つです。
【胃もたれ 原因】女性に起こりやすい理由は?
女性の起こりやすい胃もたれの原因は、胃の蠕動運動が低下することです。では、なぜ女性は胃の運動が悪くなりやすいのでしょうか?
胃の蠕動運動は自律神経によって調整されています。自律神経には交感神経と副交感神経の二種類の神経があり、それぞれ相反する作用をしながら全身の様々な機能を調節しているのです。
胃の蠕動運動に於いては、交感神経が緊張すると働きが悪くなり、逆に副交感神経が興奮すると活発になります。胃の中に内容物が少ない場合は交感神経が優位に働いて胃の動き弱くなり、胃の中に飲食物が流れ込むと副交感神経が優位に作用して消化が促されるのです。
このように、胃の消化に大きく関わる自律神経ですが、女性は男性に比べて自律神経が乱れやすい傾向があります。特にストレスや疲れ、緊張などは交感神経を過度に刺激し、胃もたれを引き起こす主な原因となります。
また、女性ホルモンのバランスも交感神経の作用に深く関わっていると考えられており、更年期に差し掛かって女性ホルモンが減少すると交感神経の過緊張を引き起こすことがあります。
以上のことから、胃もたれに悩まされやすい女性は食生活に注意するだけでなく、十分な睡眠・休息時間を確保するなど、なるべくストレスを溜めない生活を心がけることが大切です。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。