ランチ、会食、家吞み…。あなたの貴族マインドは常に試されています。ここでは、飲み物からコンビニスイーツまでふだん、なにげなく食べているあの料理のスマートな食べ方のコツを伝授!
貴族っぽい食べ方! 8TIPS
教えてくれたのは・・・
小倉朋子さん[フードプロデューサー]
テーブルマナーや食文化を学ぶ「食輝塾」主宰。「食オタク」が高じて美しく凜とした食べ方を追求。著書『世界一美しい食べ方のマナー』(高橋書店)をバイブルにする人多数。
新井直之さん[日本バトラー&コンシェルジュ代表]
国内外の大富豪を顧客に持つ執事。映画などの執事監修も多数。その人脈術や気使いはビジネスマンにも好評。著書に『大富豪がお金を生み出す時間術』(青春出版社)など。
【1】BREAD
クロワッサンのちらかりはこっそり回収
クロワッサンとカフェオレ、なんて優雅な響きとは裏腹に、パリパリの皮は散り散りに。「白い部分につけてパンくずを回収しながら食べると、食べ終わりも美しいです」(小倉さん)
【2】SOUP
スープをすすると100年の恋も冷めます
ずずっと音をたててすするのはお下品。スプーンの7割程度の量をすくい、口に水平に運び、スプーンを傾けて流し入れて。「飲んだら一度顔を上げると、よりエレガントです」(小倉さん)
【3】DRINK
ビールは魔法の1秒でエレガントに
ゆったりとした所作に品格は表れるもの。ビールグラスを置くときに「小指使い」を意識してみて。「こうすると、テーブルに置く時間が1~2秒ゆっくりに。余裕を感じさせます」(新井さん)
ワインはブレない頭と心で注ぎ込む
「あごを上げず、グラスを傾けて飲む」こと。これ、ドリンク全般の共通項。目線は下、あごは引き、グラスのほうを動かして美酒を流し込むのがエレガント。「あごを上げて飲むのは風呂上がりの牛乳だけ!」(新井さん)
【4】SALAD
皿の上のアートは諸行無常を感じながら
盛り付けが芸術的な前菜は、景色を愛で、少しずつ削りながら食べるイメージで。やがて消えゆく切なさを感じながら食べると、おのずと所作も風流に…。
サラダの盛りに高さがある場合
盛りに高さがあるものは、食材を皿の余白に移動させ、食べやすい大きさに切って食べて。
ランチのサラダを制するのはフォークの魔術師
大きめのレタスには意外と悪戦苦闘しがち。野菜をフォークにはさんで折りたたむと、厚みが出るので刺さりやすくなり、大口を開けて食べなくてもすみます。
【5】GRILL STEAK
ステーキも美女も「斜め向き」が素敵
ナイフをまっすぐ入れると肉の繊維質は切りにくいもの。ナイフとフォークを「ハ」の字に持った状態で、肉を左から斜めに切って。肉汁が出てしまわないよう、切るのは食べるごとに。「大きさは3cm、硬めの肉なら2cmを目安に!」(小倉さん)
骨つき肉は華麗なナイフ使いで攻める
スペアリブやラムチョップなどは、骨に沿ってナイフを入れて肉を切り離し、切った肉はステーキ同様に、お皿の手前で斜めに切っていただきます。
正しい構えで、姿勢も綺麗に
カトラリーをハの字に構えると、姿勢も素敵。「ナイフは押しつけず、腕を引くように切るとすっと切れ、『キーキー音』もしません」(小倉さん)
【6】NOODLE
担々麺はれんげで一時退避
無垢な白シャツを憎い汁はねから守るには、れんげを小皿代わりにして、麺を一時退避。汁気を落ち着かせてすすれば被害は最小限に。「チャーシューなどの上も退避場所に!」(新井さん)
指先、毛先。美は「先」に宿る。カレーうどんも麺先ケアで
「グルテンが多くコシが強い麺ははねやすいんです」(小倉さん)。つまり、うどん! 麺を2本程度口に運んだら麺先を箸でキャッチし、そのまま一気にすすります。箸を2~3回上下させて麺先を逃さないようにすると、はねも防げます。
パスタはフォーク1本で軽やかに
スプーンを使うのは海外でもお子様向け。パスタの適量3~4本を取り、皿の空いたところでフォークを立てて巻けばひと口サイズに。ショートパスタは刺さずにフォークにのせて食べて。
【7】ODEN
おでんの大根は縦→横に
和食では箸を斜めに入れるのはNG。大根を切り分けるときは、自分から見て縦→横の順に箸を入れて。からしは取り皿の14時が定位置。
しらたきは三口で
結びしらたきは、結び目をしっかり箸で持ち、最初に輪っかのあるほうを食べ、その後、箸を持ち替え、結び目を食べます。「このとき、ばらけないようしっかり箸でキープし、三口目で食べきって」(小倉さん)
【8】SUNNY-SIDE UP
目玉焼きは黄身省エネ戦法でお皿を美しく
黄身は最初に割ると流れ、皿に広がることも。「最初に黄身に軽く切り込みを入れ、ひと口大に切った白身を黄身につけながら食べるとお皿は美しいまま!」(小倉さん)
【9】RICE
巻き寿司は前歯と箸ですきを与えない
ひと口目は中央をしっかり箸で持ち、かみ切ります。「このとき、箸を持つ手をゆるめず、押さえるように持つと、巻き寿司の具の散乱を防止。そのままふた口目で完食!」(小倉さん)
握り寿司は、手皿がダメ!
丁寧なようで、実は和食ではマナー違反なのが手皿。握り寿司を口に運ぶとき、しょうゆのたれが心配なら、しょうゆ皿を持って。ちなみに、中華料理では取り皿を持ち上げるのはタブー。
納豆ごはんのねばねばは納豆上げで一刀両断
気を抜くと、ふわっと宙を舞う憎いねばねば。箸先を2~3回まわした後、上にぴっとあげると、ねばりが消えやすくなります。「ごはんは箸先3cmではさめる程度、左手前から右奥の順に食べ進めると、お茶碗の中もきれいです」(小倉さん)
カレーライスは一方通行で立つ鳥跡を濁さず
食べ終わりも美しく、が貴族の流儀。「カレーは、最初にライスとルーの境目を食べ、その後、ライス→ルーの一方向にすくって食べると、ルー面積が狭くなり、食べ終わりもきれいです」(小倉さん)
【10】SWEEETS
ミルフィーユはフォーク一本足打法で
底まで一気に切り分けようと頑張りすぎず、上半分→下半分の順に食べてOK。「フォークの歯1本を外に出した状態で刺して切り分けると、パイ生地崩落を割と防げます」(小倉さん)。もしくは、倒して切ってもOK!
ルマンド&リッツは、強い意志で口を割らない!
形あるものはいつか壊れる。とはいえ、かじった瞬間から砕け散るのはせつない。こぼさず、すべてを受け止めるなら、かじった瞬間に、しっかり口を閉じてみて。食べこぼしを防げます。
シュークリームはクリームをディップに見立てて
ナイフ&フォークがない場合、まずは上の部分のシュー皮を取り(コンビニ商品の場合はちぎり)、クリームをつけて食べます。ひと口ずつちぎって食べ、クリームが少なくなったら、本体をそのままかじっても。
Oggi1月号「アレを貴族はどう食べる?」より
撮影/福田喜一 イラスト/naohiga 料理・スタイリスト/美才治真澄 デザイン/稲垣章子 構成/松田亜子
再構成/Oggi.jp編集部