【目次】
・【食中毒の症状】「お肉を食べたら具合が…」。症状が出るのは何時間後?
・【食中毒の症状】発熱、下痢、発熱…。どういう症状なら食中毒?
【食中毒の症状】「お肉を食べたら具合が…」。症状が出るのは何時間後?
日本でも季節を問わず多くの食中毒が発生しており、年々減りつつあるものの、2018年も1000件近くの食中毒が発生しています。
食中毒は、軽度な下痢や嘔吐などの症状のみで自然に治るケースもあれば、重篤な合併症を引き起こして死に至るようなケースもあります。
これらの差は、患者の年齢や元からの健康状態、感染した病原体の種類や量などの違いによって生じます。
とくに、体内に病原体を取り入れてから症状が出るまでの時間(潜伏期間)は病原体によって大きく異なります。
食中毒の原因となる食事として、「生焼けの肉」や「肉の刺身」などが挙げられますが、肉に潜んでいる食中毒を引き起こす病原体は、カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(O157など)が代表的です。
カンピロバクターは、十分に加熱されていない鶏肉や牛肉が原因になることが多く、平均的には2~5日、長い場合では10日もの潜伏期間があります。
一方、サルモネラは鶏肉や卵が原因になることが多く、6~48時間と潜伏期間に幅があります。また、腸管出血性大腸菌は牛肉が原因になることがあり、潜伏期間は3~5日です。
このように、食中毒は原因の食品を口にしてから症状が現れるまで、早くて6時間、長い場合は10日もの時間がかかるのです。
しばしば、食事を摂るとほぼ同時に腹痛や下痢、嘔吐などの症状が見られると「食中毒だ!」を早とちりする方もいます。
しかし、食中毒にはある程度の潜伏期間がありますので、食後に何らかの症状があっても慌てずに対処するようにしましょう。
【食中毒の症状】発熱、下痢、発熱…。どういう症状なら食中毒?
食中毒の症状や重症度は病原体の種類によって大きく異なります。
一般的に、カンピロバクターやサルモネラ、腸管出血性大腸菌などの細菌が原因の食中毒は、発熱、腹痛、下痢症状が主体であり、軽度な吐き気や嘔吐などを伴うこともあります。
また、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌などでは便に血液が混じることがあり、非常に強い腹痛が引き起こされます。
一方、ノロウイルスなどによるウイスル性食中毒は、下痢よりも吐き気や嘔吐症状が強く、発熱は37℃台の微熱に止まることがほとんどです。
このように、食中毒の症状は病原体によって異なりますが、基本的には発熱や下痢・嘔吐などの消化器症状が見られます。
食中毒の原因となる食品には、肉や魚、生野菜、不衛生な水、卵など様々なものが挙げられますが、多くは適切に加熱すれば細菌やウイルスを死滅させて食中毒を予防することができます。
生ものや生焼けのものを食べた6時間以上あとに、消化器症状や発熱が現れたときには食中毒の可能性を考えてよいでしょう。
食中毒の中には、便と共に排出された病原体が他者へ二次感染を拡げるものもあります。また、治療が遅れると思わぬ重篤な合併症を引き起こすこと少なくありません。
思い当たる食事や症状がある場合は、まず医療機関を受診して治療を行い、感染を拡げないように十分な対策を行うようにしましょう。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。