昔ながらの喫茶店には、決まってカレーがあった。昭和を感じさせるレトロな喫茶店のカレー
オリンピックに向けての再開発もあり、東京も昔ながらの雰囲気を残す場所が少なくなってきてしまいました。街にはおしゃれなカフェが溢れ、昭和の時代を感じさせる昔ながらの喫茶店の数は減っています。ファミレスがまだなかった時代、朝早くから夜遅くまで営業していた喫茶店は、老若男女を受け入れる街の憩いの場でした。そしてそんな昔ながらの喫茶店の名物には、決まってカレーがあったものです。
今回は昭和を感じさせるレトロな喫茶店の、美味しいカレーをまとめてみました。おしゃれなカフェも良いですが、レトロな喫茶店もまた、それと違った良さがあるものですよ。
色々な本を読みたくなってしまう
「上板橋 喫茶さかもと」
僕の大好きな喫茶店です。お店は綺麗なのでレトロ感はありませんが、店名にその雰囲気がありますね。
蔵書もこだわりを感じさせまくるラインナップであり、純文学から格闘家自伝、ゲンズブールの写真集から妖怪図鑑まで多種多様。ゆっくり珈琲を飲みながら本を読めるそのスタイルは昭和を感じさせます。
こちらの看板メニューはマフェ。マフェとはアフリカ料理なのですが、これのカレーアレンジ。ピーナッツ風味のチキンカレーであり、どことなくバターチキンっぽさもある優しい美味しさなので辛い物が苦手な方にもおすすめです。癒しの空間ですよ。
<カレーおじさん\(^o^)/的評価>
味:★★★
コスパ:★★★★
雰囲気:★★★★★
蔵書のセンス:★★★★★
年代物のレジは一見の価値有り
「東大前 万定フルーツパーラー」
創業は何と1914年!
100年以上の歴史を誇る超老舗です。フルーツパーラーということで、フルーツジュースが売りのお店なのですが、看板にはカレーライスの文字もしっかりあり、文字通りの看板メニューだと言えるでしょう。
カレーは黒みがかった色のサラっとしたカレーで、ほのかな苦味が美味しさに変わっている個性的なスタイルです。時代を問わない唯一無二の味といえるでしょう。こちらのお店で是非見て欲しいのがレジです。単位が円のみならず銭まで表記される年代物。1100円なら、1円10銭と出るんです。お店の方も優しく、素敵なお店です。
<カレーおじさん\(^o^)/的評価>
味:★★★
コスパ:★★★
雰囲気:★★★★
レトロ感:★★★★★
名物ザイカレーのパンチ力
「国立 ロージナ茶房」
国立駅前の喫茶店。名物はザイカレー。
ザイカレーのザイとは何かというと、ペーストを意味する言葉だとか、罪のザイだとか、諸説あるのですが結局はわからないんだそうです。そんなストーリーもなんだか面白いです。そしてこのザイカレー、なかなかの辛口であり、程良い酸味が味の根幹となっていて個性的な美味しさ! ゆで卵とピクルスがついているのですが、ゆで卵は辛さをやわらげ、ピクルスは酸味の輪郭をはっきりさせ、どちらもこのカレーとの相性が抜群です。
お店のテーブルや椅子も時代を感じさせるものでありながら、店員さんが実に気さくでサバサバしており、とても居心地の良いお店です。
<カレーおじさん\(^o^)/的評価>
味:★★★★
コスパ:★★★
雰囲気:★★★★
居心地の良さ:★★★★★
昭和スタイルのカレーピザ
「浅草 ロッジ赤石」
浅草は昔ながらの喫茶店密集地帯なのですが、その中でも僕のおすすめはこちらロッジ赤石です。
カレーライスやカツカレーも美味しいのですが、イチオシメニューはカレーピザ。昔ながらのピザに昔ながらのカレー、そして昔ながらのお店。このバランスが素敵です。
人気カレー店のマスターも通うお店であり、家庭的カレーでありながらもプロに愛されるカレーはどこにでも有りそうでなかなか無い逸品。9時から深夜というか早朝4時(深夜は基本的に常連さんタイムなので入れないこともありますが)という営業時間の長さも特筆すべき点でしょう。老若男女に愛されるお店です。
<カレーおじさん\(^o^)/的評価>
味:★★★★
コスパ:★★★
雰囲気:★★★
営業時間の長さ:★★★★★
喫茶店カレーの隠れた名店
「竹橋 プペ」
神田カレーグランプリスタンプラリーの常連店であり、神田のカレーを食べつくした神田カレーマイスター達にも愛されている隠れた名店です。
逆に言うと地元民や神田カレーマイスター以外にはあまり知られていないお店とも言えるくらいですから。カレーは昔ながらの王道ルーカレーであり、一見ごくごく普通のカレーライスなのですが食べてみれば普通ではない美味しさに驚きます。目玉焼きの焼き具合も良く、マヨネーズがかかっているのがまたポイント。このカレーとマヨネーズが合うんですよ。
夜は営業していませんが、朝早くから夕方までの通し営業なので、微妙な時間にカレーを食べたくなった時にも便利ですよ!
<カレーおじさん\(^o^)/的評価>
味:★★★★
コスパ:★★★
雰囲気:★★★
隠れた名店度:★★★★★
メニューが豊富な老舗喫茶店
「日比谷 紅鹿舎」
東京宝塚劇場のすぐ近くにあり、宝塚ファンも通っているという老舗喫茶店。
ピザトーストの元祖としても知られるお店ですが、カレーも忘れてはいけません。チキンカレーは普通の喫茶店とは一線を画す美味しさ。老舗にしては意外とスパイシーなのがまず個性的。手羽先の滋味がルーに行きわたっており、トマトと玉葱とスパイスで作ったカレーなんです。
昔ながらの喫茶店のカレーというよりは今どきのおしゃれなカレー推しのカフェカレーに近いかもしれません。そして山盛り生クリームであることから通称「女二郎」とも呼ばれるチョコ&バナナパイも人気だったり、通って色々と食べたいお店ですね。
<カレーおじさん\(^o^)/的評価>
味:★★★
コスパ:★★★
雰囲気:★★★★
メニューの幅広さ:★★★★★
個性爆発! 説明不可能!
「青梅 ニウギニ」
最後に紹介するのは喫茶店とは言えないかもしれない個性的すぎるお店です。お寺の中にあるお店。創業100年の蕎麦屋。
パプアニューギニアの村民が作るニューギニア料理。カレー。精霊スイーツ。ブルーマウンテン。居心地の良い喫茶店。情報量が多すぎる上に幅が広すぎて意味不明かもしれませんが、これ、全てこのお店のことを説明した言葉なんですよ。
気になったら行くしかありません。百聞は一見に如かずです。個性的すぎるマスターの世界にやられちゃってください! おすすめは蕎麦と珈琲です。カレーも美味しいんですが、それ以上に蕎麦と珈琲です。あとマスターのキャラ\(^o^)/
<カレーおじさん\(^o^)/的評価>
味:★★★★
コスパ:★★★
雰囲気:?????
個性:★★★★★
昔ながらの喫茶店には喫煙OKなお店も少なからずあるので嫌煙家の方は予め調べてから行く事をおすすめします。僕自身は非喫煙者なのであんまり煙たいのは苦手ですが、良いお店には良いお客さんがついているものなので、それほどは心配いらないかとは思います。
ついつい長居してしまいたくなる素敵なお店だらけですが、ちゃんと他の席を見て満席になっていたらすぐに会計して店を出るのが良い店の良い客であるための暗黙の了解です。味以外の魅力もあるお店ばかりですが、節度をもってその魅力を堪能してもらいたいと思います。あんまりにも長くいる時は追加オーダーするなどして、お互いに気持ちよくいたいものですね。
初出:しごとなでしこ
AKINO LEE カレーおじさん\(^o^)/
ヴォーカリスト、パフォーマーとして自身の活動の他、様々なアイドルの作詞作曲振付プロデュースを担当。ヴォイストレーナーとして後進の育成にも力を注いでいる。音楽ライターとしても各種雑誌、ムック本などで執筆を担当。また、カレーおじさん\(^o^)/としても知られ、年間平均900食以上のカレーを食べてきた経験と知識を活かしてTVや雑誌など各種メディアにおいてカレーについて語っている。
http://www.akinolee.tokyo/