議会議員や市長などの“市政”を描いたドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』を観て、現職時代のことをあれこれ書いてきましたが、今回はちょっと番外編。市議会議員時代に感じていた「あるある」ネタを紹介します。
■あるある1.もう廃止されているのに「議員年金があるからいいよね」と言われる
▲市内を視察する筆者
現職時代には「議員さんなの? じゃあ、議員年金があるから安泰ね!」なんて言われることもしばしばでしたが、議員年金は、すでに制度としては存在しません。過去に「議員特権」と批判されることも多かったことから、2011年に廃止されました。廃止前に収めたお金は、満額ではなく一部が戻ってくるのみ。つまりのところ、今、現職の市議会議員たちに、公的な年金制度はないのです。
現在、市議会議員には社会保障的な公的制度はなく、ほかに仕事をしていない市議は、国民年金と国民健康保険で社会保障をまかなっている人がほとんど。ちなみに、退職金の制度もないので、せめて年金制度くらいは……という議論も一部では出ています。
■あるある2.「先生」って呼ばれるけど名前を覚えてもらえていない
▲国際交流の会に出席する筆者
どこかの会合に出向くと「先生」と呼ばれることも多い市議会議員ですが、「先生」と呼ばれがちな職業ならではの「あるある」のひとつが、ちゃんと名前を覚えてもらえていないのに「先生」で通ってしまうこと。ここだけのお話として「先生」と呼んでいたのに同僚議員の名前がわからない市民から「あの先生のお名前、なんでしたっけ?」なんて聞かれる機会も決して少なくなかったので、同様に私のこともわからない方もいらっしゃったはず。
ところで、とりあえず「先生」って呼んでおけば、失礼に当たらない! というのは、確かにそうかも……これは、議員ではなく「先生」と呼ばれる仕事全般にも通じる「あるある」と言えそう。
■あるある3.市政ではなく国政にまつわる意見が寄せられる
「政治家」とひと口に言っても、国会議員から首長、県議会議員や市議会議員と、それぞれの役割があります。そして「市議会議員=政治家」であるのは間違いないものの、市政へのご意見を募ると、往往にして国政へのご意見が寄せられるパターンも「あるある」です。
もちろん、市政の動きが国政を動かす渦を呼ぶこともありますが、基本的に、市議会議員は市政にまつわるプロフェッショナル。ところが市政の話題ってあまり報道されないこともあってか、市議会議員に対し国政への文句や不満を寄せる方が結構いらっしゃるのです。内容によっては、地元選出の国会議員に伝えることもあるものの「ご意見として承る」しか返答できない話題も……。
みなさんは「市議会議員」って聞くと、どんなことを思い浮かべますか? どんな業界でも、その業界特有の「あるある」って、意外とありますよね。
初出:しごとなでしこ
並木まき
ライター・時短美容家。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。