今どきニュアンスの決め手は、「何を着るか」じゃなくて「どう着るか」でした――
「どこかに“はずし”をつくることがおしゃれの楽しさだし、それが“抜け感”にもつながります」スタイリスト 金子 綾さん
「私自身のおしゃれは、背が低いというコンプレックスをカバーすることが発想の基本なんです。髪をまとめたり足首を見せたり、全体をキレ味よく仕上げるバランスに加えて、つねに意識しているのがテイストやプライスのミックスで“はずし”をつくること。ごくふつうの服にも、今の空気感みたいなものがふっと漂う気がして。大人になり服がシンプルになるほど、この作業が大切だなと思っています」
金子 綾さんProfile
かっこいいシンプルを得意とする、Oggiのおしゃれリーダー。金子さんの手にかかるとふつうの服がたちまちこなれる…その秘密は徹底した「抜け感づくり」にあると今回の取材でも証明。
▲「ほかのシャツより胸開きが深く、直線的できれいなVになるのが私好み。潔く一枚で着ます」
大胆な胸開きシャツはそでをまくらないのが気分
「去年買った白の襟抜きシャツ。今まではそでをまくってウエストの前だけインして着ていましたが、その両方をやめてみたら、なんだかしっくり、今年らしい気分で気に入っています。胸元は大胆に開けて、そのぶんそで口とすそはすとんと下ろすことで、全身にメリハリが出ます。服がラフなので、バッグと靴はかっちりトラッドなテイストではずしてみました」。〝Theory〟のシャツ・〝ACNE〟のパンツ・〝COACH〟のバッグ・〝TOD’S〟の靴・その他/本人私物
ほかにもこんな「抜け感ワザ」
バッグの斜めがけでジャケットの堅さをくずす
「カジュアルバッグではなくて、クラシカルなクロコのバッグを斜めがけ、というのが大人のこだわりです。バッグは〝サンローラン〟のヴィンテージ」。〝ジャーナル スタンダード リュクス〟のジャケット・〝ヘインズ〟のTシャツ・〝リーバイス〟のジーンズ・その他/本人私物
女っぷりタイトはフラットサンダルで抜け感を
「ストレッチの効いた細身スカートにパンプスを合わせてしまうと、私的にはコンサバすぎるんです。フラットサンダルで足元を重めにするバランスが落ち着きます」。〝GALERIE VIE〟のカットソー・〝L’AVENTURE martinique〟のスカート・〝LOEFFLER RANDALL〟の靴/本人私物
意外性のある組み合わせで個性を楽しむ
「ハイウエスト流行が戻ってきた今年。10年以上前の〝エルメス〟のベルトを久しぶりに使ってみました。古着のトレーナーにプラスして遊び心の効いたテイストミックスに。色のトーンはシックにまとめて」。〝champion〟のトレーナー・〝ユニクロ〟のジーンズ・その他/本人私物
レースの甘さをキャップではずす金子流〝ぶっこみ〟スタイリング
「レースブラウスは、こんなふうに真逆の持ち味のアイテムをぶつけて着るのがマイルール。全身のバランスを考え、あえてギャップをつくることで、自分らしい抜け感が生まれるものだと思います」。〝ドゥロワー〟のブラウス・〝バレンシアガ〟のキャップ・その他/本人私物
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2017年Oggi6月号「印象美人になるための、ちょっとした“ひと手間”強化レッスン」より。
撮影/蓮見 徹 ヘア&メーク/桑野泰成(ilumini.) 構成/三尋木奈保
再構成/Oggi.jp編集部
初出:しごとなでしこ