クールでハンサムな中にも女性らしい唯一無二のインパクトをもつスタイリングにたどり着いた理由は、自身の「甘コンサバ顔」でした。着こなしを洗練させる「ぶっこみMIX」の極意。
ぶっこみMIXの解説は
▶スタイリスト金子綾がおしゃれのコンプレックスを告白!編でおさらいを。
今回は、金子流 今旬シンプルを叶えるコーディネート実例を、ふたつのアプローチでご紹介します!
アプローチ1
コンプレックスである「甘コンサバ顔」と正反対の辛口ベーシックアイテムから発想する
「私がよくテーラードジャケットやブルゾンを着るのは、辛めが好きなのはもちろん、顔立ちの甘さをたちまち払拭できるから。辛口ベーシックアイテムが地味にまとまりすぎないよう、女らしさをぶっこみで加えます」
辛口なテーラードジャケットから発想
テーラードジャケット、クルーネックのブラウス、スティックパンツ…使っているアイテムはどれもベーシックな形&色。それなのに洗練感が漂うのが、コンプレックスを糧にしたぶっこみセオリーの真髄。「以前なら足元はパンプスにしていたと思うのですが、あえてフラット靴を選ぶことで、大人の抜け感が漂うと思いませんか?」と金子さん。ジャケット¥48,000・パンツ¥26,000・バッグ¥49,000(Theory) ラウス¥29,000(ミュラー オブ ヨシオクボ〈ミュラー オブ ヨシオクボ〉) 靴¥33,000(PIPPICHIC) チョーカー¥54,000・リング¥28,500(ストローラーPR〈プリュイ〉)
〝辛口ベーシック×ぶっこみ〟のコーディネートプロセス
1 辛口ベーシックなテーラードジャケットをチョイス
ジャケットは、フェミニンなノーカラーではなく、テーラードがマスト。モードになりすぎないグレーが使いやすい。
2 [女らしさぶっこみ]インナーのとろみブラウスで女っぽさを投入
これみよがしではない女らしさを添えるのが金子流。胸元が開いていると古くさくなるのでクルー2ネックに。
3 [キレぶっこみ]パテント×ポインテッドトウでキレよく仕上げて
ここにプレーンなパンプスを合わせると今っぽさに欠ける。フラットで抜け感を、ツヤ素材でシャープさを加速。
4 [旬感ぶっこみ]無骨なシルバーのチョーカーでクールさをプラス
さりげないけれど、アクセサリー使いも重要。意外性のあるアイテムを合わせることで、抜群のおしゃれ感が漂って。
アプローチ1 バリエーション編
金子的ハンサム攻略アプローチ
「ここからは、甘コンサバ顔コンプレックスを簡単に解消してくれる、辛口ベーシックアイテムから発想するアプローチの着こなしバリエーションを3体紹介します!」
メンズライクな地厚のワイドパンツにはVネックニット、が金子的黄金ルール
ワイドパンツが“おじさん風”にならないよう、必ず女っぽいトップスを合わせて。女性らしさをさらに高めるためにニュアンスカラーでまとめたい。けれど、老けたくはないというとき、カジュアルなベルトの変化球が生きてくる。「休日なら私の場合、足元を“コンバース”のスニーカーに替えるかも。“緊張感ある”感じのファッションが好きでしたが、ぶっこみを覚えてからは、がんばらないリラックス感も楽しめるように」と金子さん。パンツ¥36,000(ブルーム&ブランチ青山〈ソソ フランネル〉) ニット¥16,000(ウィム ガゼット 丸の内店〈ウィム ガゼット〉) バッグ¥39,000(T-square Press Room〈モダルー〉) 靴¥23,000(モード・エ・ジャコモ〈カリーノ〉) メガネ¥30,000(オリバーピープルズ 東京ギャラリー〈オリバーピープルズ〉) ベルト¥9,500(アルアバイル〈アンボアーズ〉) ブレスレット¥67,000(ミックステープ〈chigo〉)
<コーディネートプロセスはこう!>
1 辛口なワイドパンツから発想
2 Vネックニットで[女らしさ]をぶっこみ
3 ベルトで[カジュアル感]をぶっこみ
ライダースのスパイシィさは心強い味方。甘さ全開のフレアスカートにもトライできる
「フェミニンなスカートをはくときは、必ず辛口なライダースやカジュアルなTシャツとセット」と金子さんは決めているそう。レザーライダースのハードさと、フェルトスカートのまろやかさの対比を楽しんで。ライダース¥54,000(ブラックバイマウジー ルミネ新宿1店〈ブラックバイマウジー〉) ニット¥16,000(ANAYI) スカート¥25,000(ミュラー オブ ヨシオクボ〈ミュラーオブ ヨシオクボ〉) バッグ¥39,900(オールセインツ) 靴¥25,000(モード・エ・ジャコモ〈ルシェル ドール〉) ピアス¥32,000・リング¥45,000(アガット〈agete GINZA〉)
<コーディネートプロセスはこう!>
1 辛口なライダースから発想
2 正反対のフレアスカートで[女性らしさをぶっこみ]
3 スカートのフェルト素材で[まろやかさをぶっこみ]
茶系のワントーンスタイルは、異素材合わせやシルエットで変化をつけて
コットンのパリッとしたシャツに、スーツ地のようなコンサバなタイトスカートを合わせると老けた印象に…。鮮度の高いニット素材のタイトスカートを選ぶことで、今っぽく仕上がる。シャツ¥18,000(ANAYI) スカート¥16,000(ジャーナル スタンダード レサージュ 銀座店〈ジャーナル スタンダード レサージュ〉) コート¥46,000(ジャーナル スタンダード 新宿店〈ジャーナル スタンダード〉) バッグ¥25,900(オールセインツ) 靴¥69,000(アルアバイル〈ペリーコ〉) ピアス¥29,000・時計¥43,000(アガット〈agete〉)
<コーディネートプロセスはこう!>
1 辛口なシャツから発想
2 ビッグシルエットコートで[抜け感]をぶっこみ
3 ニット素材のスカートで[ラフ感]をぶっこみ
アプローチ2
「甘コンサバ顔」でも女っぽいベーシックアイテムが着たいとき。コーディネートで締める
「甘コンサバ顔をカバーしたいからといって、辛口のアイテムだけを着るのではファッションを自由に楽しめません。たとえば写真の淡色パンツなど、女っぽいアイテムを着たければ、その分装いで辛さと勢いをぶっこめばいいんです」
女っぽいピンクのパンツから発想
ともすればコンプレックスを助長する女っぽベーシックアイテムを着るときのほうが、より振り幅の広いぶっこみを意識。裏を返せば、女らしさ、という安心感があるからこそ、攻めてもやりすぎにならない面白さも。パンツ¥15,200(FRAY I.D ルミネ新宿2店〈FRAY I.D〉) コート¥79,000(フィルム〈ソブ〉) ニット¥30,000(ENFÖLD) バッグ¥24,000(ウィム ガゼット 丸の内店〈LANGELLOTTI〉) 靴¥14,000(モ ード・エ・ジャコモ〈ルシェル ドール〉) ピアス[片耳価格]各¥18,000・リング¥88,000(ショールーム セッション〈Hirotaka〉)
〝女っぽベーシック×ぶっこみ〟のコーディネートプロセス
1 女っぽベーシックなピンクのパンツをはきたい
大きい面積を占めるパンツで甘い色を楽しむなら、シルエットはオーソドックスなセンタープレスに留めて。
2 [締め色ぶっこみ]黒のVネックニットで、女らしく引き締め
ピンクをわかりやすく締めるには、黒一択。体が泳ぐ程ゆるフォルムで、シャープさの中にも女っぽさはキープ。
3 [中和カラーぶっこみ]ピンク×黒のコントラストをベージュで中和
コントラストが強すぎる配色だと、コンサバに見えてしまうことがあるので、まろやかなベージュをトッピング。
4 [エッジぶっこみ]モードなパールで甘コンサバ感を完全に払拭!
ピンクのパンツをはいたとき、ふつうのひと粒パールピアスでは全体が甘すぎる印象に。これくらいの遊びが必要。
アプローチ2 バリエーション編
金子的女っぽ攻略アプローチ
「ここからは、女っぽいベーシックアイテムを軸に、より高度なぶっこみをとことん楽しむスタイルバリエーションを3体紹介します!」
〝カーデいち〟はセクシーになりすぎないような計算がマスト
カーディガンの前を閉じて、一枚で着る〝カーデいち〟。すそリブパンツ&チェスターコートで女っぷりの高さを軽減。全体がストイックになりすぎないように、仕上げにブラウン小物をトッピング。カーディガン¥17,000(ANAYI) コート¥120,000(アルアバイル) パンツ¥26,000(R-ISM〈リズム〉) バッグ¥48,000(ショールーム セッション〈marie-laurence stevigny BY AGNELLE〉) 靴¥35,000(FUN Inc.〈CHEMBUR〉) ピアス¥35,000(ジャーナル スタンダード 新宿店〈ザ メドレーインスト〉) 時計[フェース]¥22,000・時計[ストラップ]¥5,500(NOJESS)
<コーディネートプロセスはこう!>
1 女っぽVカーディガンから発想
2 ブラウンのバッグ&靴で[抜け感]をぶっこみ
3 すそリブパンツで[リラックス感]をぶっこみ
コンサバの定番、黒タイトがここまでシャレて見えるのはぶっこみのなせるワザ
金子さんのこだわりは、「コンサバになりすぎないように、タイトスカートにはVネックニットやピンヒール靴は合わせない」ということ。ブルゾンは知的なネイビーで、異テイストのスカートとなじませて。スカート[ブラウスとセット価格]¥42,000(フィルム〈ソブ〉) ブルゾン¥43,000(R-ISM〈リズム〉) ニット¥18,000(ブラックバイマウジー ルミネ新宿1店〈ブラックバイマウジー〉) バッグ¥20,800(ショールーム セッション〈YAHKI〉) 靴¥18,500(モード・エ・ジャコモ〈カリーノ〉) ピアス¥340,000(ベルシオラ) バングル¥15,000(SILVER SPOON)
<コーディネートプロセスはこう!>
1 女っぽタイトスカートから発想
2 [スポーティ]なブルゾンをぶっこみ
3 [コンサバすぎない]チャンキーヒールをぶっこみ
レースは軽やかに着こなせば甘コンサバ顔でも怖くない!
エレガントなレースを若々しく着るには、やはり真逆アイテムのぶっこみが正攻法。ここでは、ツイードのジャケットやラフなチノパンを活用。「フラットシューズの楽ちんさを覚えてからは、ヒールの出番が激減しましたが、ボーイッシュなチノパンやゆるめのデニムのときは、絶対女らしいパンプス!」と金子さん。〝エイベリー ロウ〟のブラウス¥47,000・〝ジャーナル スタンダード レサージュ〟のジャケット¥32,000・〝A.V.マックス〟のブレスレット¥6,000(ジャーナル スタンダード レサージュ 銀座店) パンツ¥29,000(ブルーム&ブランチ青山〈ソソフランネル〉) バッグ¥43,000(FUN Inc.〈BELLMER〉) 靴¥21,000(モード・エ・ジャコモ〈メダ〉) ピアス¥13,000(NOJESS)
<コーディネートプロセスはこう!>
1 女っぽブラウスから発想
2 マニッシュなジャケットで[知的さ]をぶっこみ
3 ワイドチノパンで[鮮度]をぶっこみ
スタイリスト金子 綾さんてこんな人…
Profile
ベーシックなアイテムを使いながらも、格別におしゃれな装いに導くスタイリングテクニックにファン多数。そのセンスは、ファッション業界でも注目されており、多数のブランドとコラボ商品の開発にも携わる。
Oggi2017年2月号「コンプレックスがあるから、おしゃれになれる!」より。
【本誌掲載時スタッフ】撮影/生田昌士(人物) 渡辺修身(静物)スタイリスト/金子 綾(f-me)ヘア&メーク/笹本恭平(ilumini.)モデル/林田岬優(本誌専属)構成/高橋香奈子
初出:しごとなでしこ