ゾンビは、死体のまま蘇った人間の総称で、ホラー作品などに登場します。本当は死んでいるのに生きていると思い込み、人間の世界に強引に介入してくる、恐ろしい存在として描かれることが多いです。
だから、「自分で思い描く自己像」と「現実」がかけ離れている人のことをゾンビと言ってもいいのではないでしょうか。恋愛ゾンビ、キャリアゾンビ、美女ゾンビ……世の中にはいろんなゾンビがいます。
ここ最近、ある属性のアラフォー独身女性たちのゾンビ率が高いことに気が付きました。特に、恋愛や結婚についての考え方がゾンビ的になっている。結婚市場では需要がほぼないのに、自己評価だけは高いのはなぜなのか、探ってみました。
急増する「ゾンビ娘」の共通点1
豊かな実家から離れないせいで、結婚できない可能性が高まっている
広告代理店に勤務するA子さん(37歳)は、女優の真木よう子さんに似ている美人。かつてはモテていました。しかし加齢とともに体が横に成長し、5年で5kg増え、ふっくら体型に。
「正直、今、結婚するなら、バツイチでも子持ちでもいいけど、実家以上にいい生活ができる人じゃないとムリ。今、ママがごはんも洗濯もしてくれるし、家に帰るとお風呂も沸いている。一人暮らしすると、ゴルフの時にクルマに乗れなくなるじゃないですか。実家なら、駐車場もクルマもガソリンもETCもタダだし。子どもは欲しいですけど、今みたいなペースで海外にも行きたいし、好きなことをしたいし。いい相手がいたらバツイチでもおじいさんでもいいので(笑)、紹介してください」
ちなみに彼女は、世田谷区内にある裕福な実家暮らし。お兄さん(43歳)も独身。ふたりとも親元から独立して生活したことは一度もありません。
急増する「ゾンビ娘」の共通点2
親以上に自分を愛してくれる人を探しているから結婚も恋愛もできない
IT関連会社に勤務するB子さん(38歳)も美人。お笑い芸人の友近さんに似ており、後輩男女からも“姉御”と慕われるタイプです。
「私、外面がいいから“便利屋”になっちゃう。会社でも絶対に“あいつに頼めばなんとかしてくれる”って軽く使われているのがわかる。でもそうしないと、女って生きていけない。だから反面、身内の人にすっごいキツくしちゃうんですよね。今まで彼が5人いたけど、1か月以上続いた人いないもん。その点、親は私の話を聞いてくれるし、どんなにケンカしても離れないし、私のこと大好き。それに慣れると……ねえ。まあ親以上に私のことを愛して大切にしてくれて、心が広くて優しくて、話が合う人だったら結婚してもいいと思うんですけど」
彼女も、大田区内の裕福な実家に住み、3姉妹全員(姉・40歳、妹・35歳)が独身だといいます。
他にも、恋愛ゾンビ化している人のお話を伺うと、ほぼ全員の共通点が実家に住んでいること。経済的な事情や健康問題、家業の手伝いや介護などさまざまな家庭の事情があると思いますが、脱ゾンビしたいなら、実家を出て一人暮らししてみてはいかがでしょうか。そうすることで、自分の人生を客観視し、親と子どもの依存状態から脱することができるはず。
初出:しごとなでしこ
沢木 文 Writer&Editor
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』『不倫女子のリアル』(小学館新書)がある。