今話題の「マインドフルネス瞑想」ってなに?
ストレス発散や集中力アップに瞑想を取り入れる人が増えています。「マインドフルネス」という言葉を聞いたことがある人も多いはず。「マインドフルネスは心や脳を穏やかにし、人生を平和にする効果がある」と話すのは、精神科医で日本マインドフルネス普及協会の奥田弘美先生。今回は新著『1分間どこでもマインドフルネス』から朝5分でできる瞑想法をご紹介します。
マインドフルネス瞑想の科学的効果は?
近年マインドフルネス瞑想が精神科医療や心理分野に活用され、その効果が次々と解明されています。具体的には以下のような効果があるとされています。
✔︎気分を上げる左前頭部を活性化させる。
✔︎脳内の島、海馬、前頭前野皮質といった部分に作用し、注意力や思いやりなどのプラスの心理的機能を改善する。
✔︎ストレスホルモンであるコルチゾールを減少させ、免疫系を強化する。
✔︎怒りの感情を低下させ、不安や抑うつなどの感情を低下させる。
「マインドフルネス瞑想は、続けるほど、ストレスになる物事や思考に囚われられなくなり、リラックスしたり体の緊張をほぐす時間が増えていきます。その結果、心と体に良い効果をもたらしていくのです」(奥田先生、以下「」内同)。
心や脳、体に良い効果をもたらすマインドフルネス瞑想。5分ほど時間に余裕がある朝は、マインドフルネス瞑想の神髄である“ヴィパッサナー瞑想”にトライしてみましょう。
朝の目覚めのマインドフルネス
「ヴィパッサナーの瞑想は呼吸の意識をよりどころとしながら次々に湧いてくる思考に気づき観ていく瞑想です」。
1日5分程度からでも続けていくと、次第に自分の感情や思考のクセが見えてくるようになり、気を楽にさせる効果があるのだそう。長く続けていくことで、心安らかに幸せに生きる知恵が生まれてくるとされています。
ヴィパッサナー瞑想(簡易バージョン)
1.床に座布団や布を強いてあぐら座に座りましょう。
あぐらをかくのは骨盤から背筋をすっと伸ばす姿勢をつくりやすくするためと足の痺れを予防し、安定して長時間座るため。自分にとって無理のない形の胡座に座ってください。
2.手は下腹のあたりにそっと重ねておきましょう。
重ね方には特に決まりはありませんが、マインドフルネスの源泉であるブッダと同じように左手を下にして右手を上に置く人が多いです。
3.目を閉じて鼻から息をゆっくり吸い込みながら、鼻先を意識します。あなたにとって空気が鼻腔を通る『感覚』を最も感じやすい場所をひとつ決めて、そこで空気の流れを感じます。そしてそこでまた息が出ていくときの鼻先の『感覚』を感じます。
4.空気を入ってきたこと、そして出ていくことを鼻先の一点で『感じ』そして『呼吸をしていることに気づく』。ヴィパッサナー瞑想ではこの作業をひたすら繰り返します。
5.瞑想を始めると1分もしないうちに思考や感情が生まれてくるでしょう。「無になれない」と自分を責める必要は全くありません。「あ、仕事のことを考えた」「嫌な事を思い出して怒りを感じている」などと自分の思考や感情に気づくこと。気づいたらその感情や思考にとらわれないで、また静かに鼻先の呼吸に感覚を戻します。これを時間が許す限り繰り返してください。
ヴィパッサナー瞑想は、禅などの瞑想と違い「無になること」を目指す瞑想ではありません。瞑想中に思考や感情が浮かんで一時は意識がとらわれるかもしれませんが、そのたびに気付いて鼻先の呼吸にまた戻ればOKなのです。
何かと慌ただしい朝の時間でもこのような「心を観る」タイプの瞑想を時間が許す限り行っていると、次第に仕事や人間関係に対するモヤモヤに心が囚われにくくなっていきます。
あなたの心が静かに落ち着く日々が次第に増えていくでしょう。
(文・庄司真紀)
初出:しごとなでしこ
参考/『1分間どこでもマインドフルネス』
奥田 弘美(著/文)
発行:日本能率協会マネジメントセンター