ここ数年、本との新しい出会いを提供する書店が増えています。その場にいるだけでワクワクする本屋さんで読者の魅力を再発見!
教養本を見つけにNeo書店へ
読書は人との会話みたい。「いろんな人がいていい」って許される気がします
14歳からモデルを始め、現在20歳にしてキャリアはすでに6年という玉城さん。小さなころから本が大好きで、仕事の空き時間に読むことも多いのだとか。
「本屋さんにはお休みの日に行くことが多いですね。極力、メイクもしないで地味な服でひっそり(笑)。楽しくても活字の中にいると情報を浴びすぎて疲れてしまうので、長くても1時間くらい回って一度にたくさん買って帰ってきます。今日お邪魔した本屋さんはほどよい広さで、各ジャンルで売れている本が勢ぞろいというよりは、同じジャンルでも違う視点で書かれたものがあったり。棚を見ながらじっくり考えられました。ふだんは人にすすめられた本を買うこともあるし、気になった画家の作品集を通販で取り寄せることも。記憶しているのは作家さんの名前や薀蓄(うんちく)というより、色彩や線や空気感。自分が受け取れる範囲内のものを受け取って生きていけたら」(玉城ティナさん)
自分の内面を消化するためにひとりで考える時間は必要
玉城さんにとって「ひとり時間」はなくてはならないもの。
「寂しがりなんですが、自分が今何を考えているかという意識をもっていないと流されやすいんです。空間を整えて、ひとりで読んだり、書いたり、隙間をつくらないと自分の頭で考えられない。消化しきれていない内面は、写真や演技に出てしまう気がします。本って、寂しいときに読んだほうが入ってくるし、そこが魅力だなと。世の中には本当にたくさんの本があって、それぞれ全然違うことを言っている。だれかと会話をしている感覚で、自分と似た考えを見つけたり、自分になかったものをピックアップするのが好きなんですね。行き詰まったときには本屋さんに行くと、『いろんな人がいていいんだな』と思える。許されている感じがあるというか、楽になれます。ただ、何かをもらおうと意気込んで読むと疲れてしまうし、もちろん読めない時期だってある。読書は頑張ってすることではないけれど、支えになってくれています」
訪れたのは【Readin’Writin’BOOK STORE】
元新聞記者の店主・落合博さんが浅草・田原町にオープン。「長く読み継がれてきた本、読み継がれてほしい本」を手渡してくれる。知的好奇心をくすぐる著者のトークショーや、書くことを大事にしてきた落合さんならではの文章教室も開催。
住所:東京都台東区寿2-4-7
玉城さんが出会った一冊!
『スピン』
ティリー・ウォルデン/訳:有澤真庭
河出書房新社 ¥1,600
スケートと同性への恋に目覚め、喜び、泣いた、ひとりの少女の青春メモワールをマンガに。「まずは装丁に惹かれました。シンプルな色合いで情報が多くないほうが世界に入れますね。同性が好きだと自覚しつつ、あえて女の子だけの環境に身を置く理由を知りたくなりました」
Oggi10月号「人間力が上がる! 教養本」より
撮影/石田祥平 スタイリスト/入江未悠 ヘア&メイク/中山友恵(Three PEACE) デザイン/ 261 mambo西岡・須賀祐二郎(ma-hgra) 撮影協力/羽田 エクセルホテル東急 構成/佐藤久美子
再構成/Oggi.jp編集部
玉城ティナ
1997年沖縄県生まれ。雑誌『ViVi』の専属モデルとなって6年、女優としても活躍中。2018年には映画『わたしに××しなさい』で主演、『ういらぶ。』の公開も控える。写真集『渇望』(講談社)では短編小説を発表。