斎藤 工さん独占インタビュー#02
本日公開の超話題作映画「クレイジー・リッチ!」。第2回は、シンガポール観光大使の斎藤 工さんが、この映画を見てシンガポール観光したくなったあなたへおすすめしたい、HOTスポットを特別に教えてくれました!
―もしも、斎藤さんがシンガポールを舞台に映画を撮るとしたら?
ハリウッドを含め、アメリカでの「クレイジー・リッチ!」の大ヒットはすごいこと。こうしてアジアのひとつの切り取り方が成果を上げていることは大変喜ばしいです。アジア発のものがどうやって戦えるか、ひとつのフォーマットになり得る。僕も映画に携わる者として戦い方を学んだし、注目していました。映画「家族のレシピ」の撮影を通じて、映画クルーや、役者さんたちとたくさんの時間をシンガポールで共にしました。観光ではなく滞在した僕の目線から見えたものは、知らないことがとても多くて、そこが根の部分になると思います。いわゆるゴージャスなシンガポールのPVというものは僕じゃなくても多くの人がつくっているので、僕は一本路地に入った歴史を。もし映画を撮るとしたら、シンガポールのイメージのひとつである「リッチでゴージャス」という華やかな部分もひとつのリアルです。実際、映画「家族のレシピ」で一緒だったエリック・クー監督もスーパーセレブリティで。悲観的な気持ちはないですが、スーパーセレブリティじゃなきゃ映画を撮れないシンガポールの事情もあるんです。「クレイジー・リッチ!」のように全体を豪勢に描くと、それが主旋律となります。でも、僕が撮りたいのはそれにまつわる職業の方々なんです。
―セレブリティにまつわる職業とは具体的にどんな方々のことですか?
この映画なら、主人公がパーティー会場まで親友の車で送ってもらうシーン。あのときに最初に出会う拳銃を持った警備員の方とか、給仕される方、ああいう場で働く人に焦点を当てたい。そのほうがシンガポールのリアルのどちらにも触れられます。パーティーの場で、接待客ではない裏方の人たち。それを生業にしている彼らは、華やかな宴にいる人々に対して何を感じて、何を見ているのか。仕事の帰り道、帰宅してひとり暗がりの中、電気をつけるとき、食べているもの。何を食べるか、冷蔵庫のものは? など、さっきまでの華やかさとのギャップにこそ、ドラマがあって。僕自身もこうしてドレスアップ、メイクアップしてもらって、撮影していただいて…でも帰り道や、帰宅して電気をつける瞬間もある。それがスーパーリアルだな、と。僕が映画で描きたいのはそういう軸。明るいイメージでおしゃべり上手な人のひとりぽっちの帰り道、「その明るいイメージのままじゃない瞬間」がふと訪れることがあると思うんです。人間のそういった部分のほうが興味がわきます。
―シンガポールに行ったら外せないおすすめのグルメは?
屋台メシです! シンガポールグルメは本当にどれもおいしいですが、この映画でも出てきた屋台が密集した大きな野外食堂が何か所もあります。いろんな店舗があって、注文したものをお店の方がテーブルまで運んできてくれる。言わば、店舗型のビュッフェみたいなものです。「朝だ!生です旅サラダ」という番組のロケに行ったときのこと。ミシュランガイドに掲載されている高級なお店でシンガポールの料理をいただきながらエリック・クー監督と対談したんです。エリックが「この後に連れていきたいところがあるから、ちょっと腹をあけといてくれ」って仰られて。きちんとした食事をいただきながら色々と話した後に「行くぞ」って車で広場の屋台メシへ。日本円でいうと300円くらいの独特な味の焼きそばをご馳走になりました。エリックには今までいろんなところへ連れて行ってもらいましたが、「どうしてもこれを食べさせたかった!」って。正直お腹いっぱいだったのですが、焼きそばがめちゃくちゃうまくて、ものの1~2分で食べてしまいました(笑)。
―その思い出の焼きそばは、例えるならどんな味ですか?
例えられない(笑)。ちょうどいいところをアレンジしてくるんですよ、シンガポール料理って。そこも魅力です。宗教も人種もいろいろミックスされた中で、いいところを選りすぐってカルチャーが生まれる国なので、まさにそういう食べ物が多いんです。どこかの何かに似ているようで、ほかにはない。ありそうでなかったものをつくってくる食文化なんです。そこ以外にもおいしい店にたくさん連れて行ってもらいましたが、高級料理からの屋台メシの流れがシンガポールっぽいなと思いました。多くの日本人観光客はこの屋台に来るまでが込みでシンガポールのイメージなのかなと思います。地元の人も日常の中で食べるもので、大衆的な場所。いわゆる華やかなシンガポールのイメージとは違うかもしれないですが、ここにこそ真髄があるなと感じます。食にまつわることでシンガポールを体感することが多いです。
―日本のシンガポール料理屋さんと現地の味って違いますか?
店によります。日本でも知っているシンガポール料理店がいくつかありますが、とてもオリジナリティがあってレベルが高いです。ただ、現地で食べると日本の半額以下なのも魅力のひとつ。
斎藤さんの仕事への向き合い方や、ちょっぴりニッチな話も飛び出した独占インタビュー後半の様子をお届けする次回の更新は、明日29日ですのでお楽しみに!
ブルゾン¥330,000 シャツ¥63,000 ベルト¥53,000 ブーツ¥153,000(エトロ ジャパン〈エトロ〉)他スタイリスト私物
撮影/黒石あみ スタイリスト/川田力也(es-quisse) ヘア&メイク/赤塚修二 撮影協力/大槻麻衣 構成/佐々木怜菜
【注目の作品はこちら】
映画「クレイジー・リッチ!」
2018年9月28日ロードショー!
監督:ジョン・M・チュウ
原作:ケビン・クワン著「クレイジー・リッチ・アジアンズ」(竹書房)
出演:コンスタンス・ウー、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー、オークワフィナ、ソノヤ・ミズノほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
恋人ニックに誘われて彼の故郷シンガポールを訪れたレイチェル。そこで彼がアジア屈指の不動産王の御曹司だと知る。突然セレブの世界へと足を踏み入れたレイチェルの驚きも束の間。ニックの母や親族に金目当ての交際を疑われ、さらには元カノや社交界のセレブ女子から嫉妬の嫌がらせを受けることに。そんな苦境の中、レイチェルとニックは家族を説得しようと試みるもセレブ一族の壁が大きく立ちはだかる。レイチェルは試練を乗り越え本当の幸せを見つけることができるのか…!?︎
斎藤 工
さいとうたくみ/1981年8月22日生まれ。A型。184cm。実力派俳優として圧倒的な存在感を放つ一方で、映画監督としても活躍。
あわせて読みたい♡