築浅でエアコンはマスト!ロンドンで東京的住まいを求めた理由
ロンドンに住むなら、エレガントな煉瓦造りのフラットや、ガーデニングが楽しめる中庭付きのハウス…なんて憧れている人もいるかもしれません。もともと物件好きな私は渡英が決まった直後から、教えてもらった複数の日系不動産会社のサイトを真剣にリサーチしました。ふと目についたのが、住民専用の広大な庭へ直接アクセスできる、特別な雰囲気のガーデンハウス。家具付きのインテリアも統一感があって洒落ていて、画像と動画でチェックした瞬間、ひと目で気に入ってしまいました。
▲ロンドンの老舗デパート「ハロッズ」や「リバティ」と同じグレードⅡの指定建造物。
都合の合うタイミングで入居可能な部屋が出て、渡英前に契約。1階の角部屋で、実はガーデンに面した側ではなかったものの、イギリス指定建造物(建築上および歴史上重要な建築物で法的に指定された建築物)のその建物自体に魅了されてしまい、内見せずに決めたのでした。
▲住民専用のガーデン。お天気の日はお茶したり読書したり、素敵な場所でした。
入居してみると、焦って決めてしまったことを大後悔することに。高い建物に囲まれた広場に面した部屋は、日当たりが悪く、ちょうどゴミ集積所の目の前。そのハウスだけでなく、周辺一帯の全住民が利用するので、1時間に一回、早朝から深夜まで(休日も!)ゴミ収集車が騒音とネオンサインと共にやってきます。リビングルームはその度賑やかに。また1階だったので、窓のすぐ外で見知らぬ人がティーカップ片手にお茶を飲んでる…なんてこともしょっちゅうありました。
▲広場の中央にも小さなガーデンが。(こちらも契約者専用で鍵がかかっています)
歴史的建造物、とはいえインテリアは5年ほど前に改装されており、TVやヒーター、サウンドシステムなどはスマホで管理できるモダンなものでした。…でも、やはり建物は年代もの。上の階の住民の足音が朝起きた瞬間から常にギシギシ響き、「あ、いまちょうど私の上を歩いているな」なんてわかってしまうほどでした。
慣れないロンドン暮らしで、落ち着かない部屋。なんだか気分が落ち込んで…。ダメ元でアパートを管理している常駐のビルディングマネージャーに部屋を変えてもらえないか聞いてみたところ、気が抜けてしまうほど簡単にOK! 「気持ち、わかるわ! 日が当たる部屋の方がいいわよね」とあっさり、翌月に空く予定の3階(日本風にいうと4階)のガーデン側の部屋にチェンジしてくれたのです。
▲グロッシーなキッチンやマホガニーカラーのフロアなど、モダンさと伝統的な美しさの融合が写真映えします。
念願の壮大な眺望の明るい部屋。でも、悲劇はここで終わらなかった…。部屋を移ったのは初夏。真夏に向けて気温がどんどん高くなり、2022年の夏は西アフリカからの熱波とやらで、イギリス観測史上初の40℃超えを記録する猛暑に。しかも私の部屋は西日が直に入る西南の角部屋。地球温暖化など予想だにしなかった時代の建物はもちろんエアコンなどなく、寒い冬に備えて壁が厚く熱がこもり、室内はまるでサウナです。耐えられなくなってバスタブに水を溜めて足を冷やしてみたり。ついには熱中症になってしまったのか、鼻血が出たりしました(笑)。
▲売り切れる前にゲットした扇風機をフル稼働した2022年の夏!
そんなこんなで、また物件探しをすることに。徹夜をする日もあったほど必死でリサーチした甲斐あり、念願のエアコンがついたフラットへ、1年の契約終了とともに引っ越しました。ロンドン中心部では珍しい、築5年ほどの築浅物件です。
日系の不動産会社は持っている物件数が少ないため、現地のエージェント数社にコンタクト。内見希望を出しても返信すらないことも多い、と聞いていたなか、一社から翌日に電話がきて、すぐ内見させてもらうことができました。ガーデン付きのハウスに比べて、超シンプル。ロンドンらしさは全くないけれど、東京のマンションに近い感じがなんだか安心で、段違いの居心地のよさにやっと安住の地?を見つけた感覚です。
▲機能的でモダンな住宅が好きな私ですが、窓の外から馬の蹄の音が聞こえてきたり、暮らしのなかで昔から変わらない風情を感じられるのもロンドンの好きなところです。
とはいえ、入居日からエントランスの収納内部に漏水を発見。パイプを交換するだけの作業が完了するまで、約半年かかりました。作業員が約束の日時に来ないこと複数回、間違った部品を手配したとかで作業が進まなかった日も一度ではなく…。とまあ、東京のシステマティックな快適さとは程遠いんですけど。毎回イライラしながらヨーロッパ暮らしの「あるある」を体験。ほんの少し、人ととして耐性がついたような気がするので「まいっか」と思うようにしています。