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2021.09.11

80年代【レトロカルチャー】ブームが到来中! その理由は“エモい”感情?

SNS&YouTubeで盛り上がる「80年代カルチャー」への熱視線。私たちが惹かれる理由は何なのか… 紐解きました!

80年代に熱視線! 私たちが〝レトロ〟 に魅せられる理由

お話を伺ったのは… 茨城大学 人文社会科学部教授 高野光平さん

1972年生まれ。専門はメディア史、戦後日本文化史、文化社会学。著書に『昭和ノスタルジー解体「懐かしさ」はどう作られたのか』(晶文社)、『発掘! 歴史に埋もれたテレビCM 見たことのない昭和30年代』(光文社新書)など。

10代から火がついてメジャーなブームに

Oggi編集部(以下Oggi) 最近、インスタグラムにカラフルなクリームソーダの画像がよく流れてくるんです。テレビCMでも昔のアイドルの歌のカバー曲が使われていたり、なんとなく懐かしくて〝レトロ〟なものを見聞きすることが多いですね。

高野さん(以下敬称略) ほかにもフィルムカメラやカセットテープ、また、スマホで撮影した画像や動画をレトロに加工するアプリ、ファッションなど、幅広いジャンルで〝昭和レトロ〟と呼ばれるものが人気ですね。ひとことで〝昭和〟といっても、今ブームになっているのは1980年代のものが軸になっています。

Oggi 昭和から平成に変わったのが’89年でしたね。

高野 はい、ですので元号で言うと昭和末期~平成初期にかけて、ですね。

Oggi ブームはいつごろ始まったんでしょう?

高野 実は、2010年代半ばからジワジワ来ていました。わかりやすい社会現象になったのは2017年の〝バブリーダンス〟。’80年代の毒々しさや、わけのわからない力強さのようなものを揶揄することなく、純粋に「いい」と感じる10代が現れたんです。同時に、昭和歌謡好きを公言する女性アイドルなども出てきました。その後幅広い年代の人に広がって、メジャーな歌手によるカバー曲なども目立つようになっているのが今、ですね。

Oggi あれ? でもブームを引っ張ってきた10~20代って、’80年代にはまだ生まれていなくて、当時をリアルタイムで知らないですよね。30代半ば~40代以上の人が、自分が子供だったころを懐かしむのは理解できるんですが…。

高野 私は大学の教員をしているので、20歳前後の学生たちに話を聞く機会が多いんですが、彼らにとって’80年代は〝未知の世界〟ではないんですよ。幼少期まであったもの、古ぼけて残っていたものなんです。自分の親が’80年代の音楽を好きでよく聴いていたり、家族や親戚の子供時代がアナログのビデオテープの映像に残っていたり。それらを見聞きした原体験があるからこそ、’80年代のものに触れるとなんともいえない感情が湧き上がってくる=「エモい」のだと思います。

Oggi 先日、ネットの通販サイトを見ていたら、レトロなラジカセがふつうに売られていて驚きました。Bluetoothなど今どきの機能も付いているんですが、見た目はゴツくていろいろなダイヤルやボタンが付いているモデルです。

高野 ムダがそぎ落とされたシンプルなスマホや家電が多い今と違って、デザインが〝過剰〟だということも、レトロブームのキーワードです。再生・停止するのにボタンを「ガッチャン」と押す。そういう身体感覚を伴うところも新鮮で。なんでもスマホで済むようになった時代に、面倒くさくて重くて、アナログっぽいものへの憧れや渇望感が生まれているんですね。

Oggi 〝過剰〟といえば、クリームソーダや添えてあるチェリーの色も、すごいですよね(笑)。

高野 今の日本にはあんまりないセンスですよね。そういった、カラフルでキラキラした〝映え〟るものがSNSで拡散されるのは、韓国グルメが流行っているのと、根は同じ現象だと思います。虹色のチーズが入っている「レインボーハットグ」と、派手な原色のクリームソーダは、どちらもおもちゃのようなかわいさがありますしね。

時代は巡って〝ふた昔前〟がかっこいい!

Oggi 見た目の〝映え〟とは直接関係ない、音楽はどうでしょう? ’80年代の曲が今、人気を集めている理由は?

高野 学生に聞くと「メロディや歌詞がシンプルでいい」って言うんです。でも、私が学生だった’90年代にも昭和30年代の歌謡曲を好きな人たちがいて、同じことを言っていました。テレビ番組についても「ちょっとしたことで炎上する今と違って、昔はもっと過激で面白かった」と言う学生がいるんですが、15年前にも「昔のテレビは自由だった」と言う人はいた。いわばそれは常套句で、今に限ったことじゃない。私は単純に〝流行のサイクル〟が回ってきた、という見方をしています。実は15年前にも、30年前にも〝レトロブーム〟は起きていて、その周期が巡ってきたんだと思うんですよ。

「ミニマルで効率のよいことが重視される今、過剰で少し不便なものが新鮮で楽しいんです」

Oggi そうなんですか!? よく「流行は繰り返す」と言いますが… 15年周期でやって来るんでしょうか?

高野 そうですね。一般的に、〝ひと昔前〟と呼ばれるのは15年くらい前を指すことが多いんです。ポイントは、ひと昔前は、たいてい〝ダサい〟ものとして認識されるということ。

Oggi 確かに!(笑) 自分の’00年代のファッションやメイク、眉の形を振り返ると、ちょっと気恥ずかしくなりますね。

高野 でも〝ふた昔前〟、つまり30年ほど前の文化は一周まわって〝かっこいい〟と受け止められる傾向があるんですよ。

Oggi それがまさに、今にとっての’80年代に当たるということなんですね。

高野 そう。数年前に大ヒットしたDA PUMPの『U.S.A.』は’90年代を意識していますが、〝かっこいい〟と言われるには熟し切っていない、〝ダサさ〟を逆手にとって成功した例ですね。ただ、流行のサイクルが回ってきたとは言っても、今回はこれまでと決定的に違うところがあるんです。それは、インターネットで過去の映像を、自分で検索して簡単に楽しめるようになったこと。

Oggi なるほど! 15年前のブームのときでも、動画の配信は一般的ではなかったですものね。とはいえ、’80年代はYouTubeなんてもちろんなかったですし、どんな動画が残っているんでしょう。MVはあったのかな…?

高野 日本でミュージックビデオ(プロモーションビデオ)が増えてきたのは’85~’86年ごろですが、今、実際に見られている動画はそれよりも、当時のライブ映像や音楽番組の録画映像が多いですね。30~50代くらいの人たちだけではなく、若い世代もどんな音だったのか、どんな雰囲気だったのか検索しているんです。

Oggi 写真や音だけではなく、映像は時代の空気がもっとダイレクトに感じられて、インパクトが大きいですね。検索していると他の動画も気になって、次々と見たくなります。

高野 そして動画をたどっていくうちに世界が広がり、昭和の音楽にハマっていくというわけです。

Oggi TikTokでも、昔懐かしい曲が使われていますが…?

高野 はい。ただTikTokでは、日本人が全然知らないどこかの国のヒット曲で女子高生が踊っているかと思えば、40年以上前のディスコソングがバズっていたり…。あまり脈絡なく、今の日本にない珍しい響きや風変わりな音楽が好まれるようです。〝古い〟とか〝懐かしい〟といったことに特別な価値は見出されていない印象を受けますね。

世界とつながっているレトロブームの楽しみ方

Oggi ちなみに、昨年はK–POPグループ、BTSの’80年代っぽいディスコポップ『Dynamite』が世界的にはやりました。レトロブームは他の国でも起きているんですか?

高野 はい、世界的に同時進行で’80年代サウンドが再評価されていて、BTSのヒットもその流れにあるものだと思います。10年以上前からDJ界の一部で、’80年代サウンドの再解釈が盛んに行われていました。その中で竹内まりやさんや山下達郎さんなど日本の’80年代ポップス、通称〝シティ・ポップ〟が発掘・再評価され、その後、世界中で多くの愛好者を生み出したんです。

Oggi 日本にも逆輸入されて、大人気ですよね!

高野 松原みきさんが歌う『真夜中のドア~Stay With Me』という曲がインドネシアのYouTuberにカバーされて、昨年世界的なチャートにランクインしたのも話題になりましたね(厳密には’79年11月のリリース)。

Oggi レトロブームにそんな広がりがあったなんて…。

高野 レトロブームとは当時を知る世代にとって、自分が幼いころに触れた文化や、そのころの体験、培われた感性を客観的にとらえ直す機会だと思うんです。自分がどんな時代を生きてきたのか、頭を整理することで、「これから何を生み出せるのか」のヒントになるんですよ。

Oggi 単純に懐かしくて楽しいだけかと思っていましたが、そんな活用法もあるんですね。

高野 そうそう、それに今回のレトロブームのいいところは、〝前向きなノスタルジー〟がベースになっているということ。

Oggi どういうことですか?

高野 〝ノスタルジー〟というと、「生きづらい今と違って、昔はよかったなぁ」「あのころに戻りたい」など過去への逃避願望を投影するような、〝後ろ向き〟のものもあります。’00年代のレトロブームは、比較的後ろ向きの傾向が強かった。でも今回は、過去から一定の距離を取って楽しむ、〝前向き〟のノスタルジーだと思います。「過去を楽しめるかどうかは、現在が楽しいかどうかのバロメーターだ」と私は考えています。今の生活が充実しているからこそ、〝レトロ〟なものが生活の潤いになる。読者のみなさんにもぜひ、さまざまな昭和レトロを積極的に楽しんでもらいたいですね。

Oggi まずは、子供のころにヒットしていた曲を聴くことから始めてみます!

’80年レトロブームが起きた要因は?

食べ物や雑貨、建築、さまざまな〝映え〟るモノがインスタグラムで共有され、#レトロ とハッシュタグが付けられた投稿は269万件以上。ビジュアルに訴えるものも音楽も、どこか懐かしい〝ノスタルジー〟を感じることが人気のベース。さらに、15年周期で起きるレトロブームの〝流行のサイクル〟にタイミングがはまり、10代から50代まで、幅い広い年代が楽しめる社会現象に。

さまざまなジャンルで’80年代が話題になってます!

1|色鮮やかな食べ物や場所

クリームソーダやプリンアラモードといった〝純喫茶〟のメニューや、銭湯、昭和時代に建てられたビルの内装などが人気。

「大胆な色使いや派手なデザインに、今とは違うセンスやかわいさを感じる人が増えています」(高野光平さん)

2|手触り感のあるガジェット

「ラジカセ、レコードプレーヤー、フィルムカメラなどは、ダイヤルを回したりスイッチを押したりする、操作感に中毒性があるようです」(高野光平さん)

ちなみに現在の使い捨てフィルムカメラはデジタルデータでの納品も選べて、利便性も兼ね備えている。

3|シンプルな歌詞やメロディの音楽

6月発売の上白石萌音さんのアルバム『あの歌2』(ユニバーサルミュージック)は、ʼ80~ʼ90年代の曲のカバーアルバム。

「吉田 羊さんと鈴木梨央さんが出演しているポカリスエットのCMでは、ʼ85年に発売された小泉今日子さんの『常夏娘』がカバーされています」(高野光平さん)

●掲載している情報は2021年7月9日現在のものです。

2021年Oggi9月号「Oggi大学」より
イラスト/八重樫王明 構成/酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部


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