映画「MISS ミス・フランスになりたい!」
性別にとらわれず、真の美しさを見つける旅へ
この映画は、「ミス・フランスになりたい」という夢を持った少年が、最愛の両親を亡くし、自分の夢を忘れかけた青年になった頃… 夢を叶えた幼馴染と再会することで「自分の夢」に向き合うストーリー。
主演は俳優もこなす仏モデル、アレクサンドル・ヴェテール。そのジェンダーレスな美貌は世界の注目を集めています。今日は、映画『MISS ミス・フランスになりたい!』の魅力に迫ります!
主演のジェンダーレスモデル・アレクサンドル・ヴェテールとは?
アレックス役のアレクサンドル・ヴェテールは、フランス出身のジェンダーレスモデル。パリで性別を超えたモデルとして活躍し、Netflixドラマ『エミリー、パリへ行く』等にも出演。本作で映画初主演を果たしました。
アレクサンドル・ヴェテールのinstagramをチェックしましたが、ジェンダーをしなやかに乗り越え表現する姿を見ることができ、まさに本作品の主人公「アレックス」そのものだと思いました。アレックスは与えられた男性としての体と自身が持つ「ミス・フランス」という夢のギャップで悩むのですが、ミスコンへ出場することで、悩みだった点が自身の最大の魅力であり、個性であることに気づいていきます。
アレクサンドルが本作品やモデル業で魅せる、時にマスキュリンに、時にフェミニンに映る凛とした表情は、「この人にしか出せない」強烈な個性を感じさせるものでした。ぜひこの作品を通して多くの方に、その力強い美しさに触れて欲しいです!
脇を固める、個性的なキャラクターたち
本作品の魅力的なところの一つは、主人公を取り囲むなかなか濃いキャラクターの登場人物たち。個人的に特に印象的だった2人は、パスカル・アルビロ演じるミスコンプロデューサーのアマンダ。そしてティボール・ド・モンタレンベール演じるドラァグ・クイーンのローラ。
アマンダはスパルタ先生ごとく、ミスコン出場者達を外見的にも内面的にも美しく引き上げていく使命に燃え、締め上げていきます(笑)。でも彼女の一見冷たいように見えるその厳しさは、ミスコン出場者へ捧げる期待と愛情の裏返しゆえなのです。華やかな舞台裏は、きっとこのように厳しい世界なのだろうな… とミスコンの世界を覗いた気分に。
ドラァグ・クイーンであるアマンダは、「男性の体であることを隠しながらミス・フランスを目指す」という大きな夢を持つアレックスを、愛情たっぷりに応援してくれるお姉さんのような存在。人生の酸いも甘いも噛み分けた人しか持てない優しさに、心がジーンと温かくなりました。
他にもチャーミングなライバルや、愛すべき家主のおばさま… など魅力的なキャラクターが沢山いるので、ぜひチェックして欲しいです!
臨場感あるミスコンの現場。ドラマティックな瞬間を体感して
「ミス・フランス実⾏委員会」と提携しているため、美しく華やかな⾐装や厳しい選考の雰囲気を知ることができるのも、この作品の魅力。出場者の一人一人が、「どうしてミス・フランスになりたいのか」「自分が持つ美しさとは」と自問しながら、内面の美しさを磨き上げる日々と直面していきます。
臨場感のある会場の雰囲気、ライバルと力を合わせる瞬間、華やかな衣装にも優る内面の美しさ… などドラマティックな展開に目が奪われます。このワクワクする高揚感の中、アレックスが変化していく様子、ストーリーの展開にどんどん引き込まれていきました。
フランスでは公開された1週間後に2回目のロックダウンで、劇場閉鎖となってしまいました。でもアレキサンドルが持つ力強い美しさは、短い公開期間でも鮮烈に人々に印象付けたはず。ポスターは閉館中の映画館に掲げられており、映画館が再開したあかつきにはこの作品を劇場内でまた観られるように! と願うばかりです。
▲パリの6区にある映画館の様子を撮ってきました! 華やかで凛としたポスター、やはり目を引きますね。
日本ではいよいよ2021年2月下旬、全国公開になります。全ての人の夢を鼓舞してくれる、美しく力強い美の競演をぜひチェックしてください!
監督・原案・共同脚本:ルーベン・アウヴェス
出演:アレクサンドル・ヴェテール、イザベル・ナンティ、パスカル・アルビロ、ステフィ・セルマ
【2020/フランス/フランス語/107分】
2021年2月下旬、シネスイッチ銀座 他全国公開
TOP画像/(c)2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS
大倉綾実(Ayami OKURA)
NYと東京でスタイリングとライティングを学び、2020年より渡仏。フランス語に奮闘しながら、ライター・スタイリスト・コーディネーターとして活動中。Instagram:@ayamiokura