土屋太鳳×田中圭の強力タッグが描く『哀愁しんでれら』
2月5日(金)から公開される『哀愁しんでれら』に出演の女優・土屋太鳳さんと俳優・田中圭さんに独自インタビューを敢行! 映画の裏話からストーリーにまつわるエピソードまで語っていただきました。
土屋太鳳さん「3度オファーを断った」出演を決めた理由は…
−−土屋さんがこの作品のオファーを3度断ったというお話が各所で取り上げられていますが、出演を決めた理由はなんだったのでしょうか?
土屋太鳳(以下、土屋)「私はこの作品にある、サイコパスな事件を起こすというのが自分の中で納得できなかった、警戒してしまったんです。それでお断りをしました。その後、監督とお話をしたり、圭さんが相手役ということも聞いたりして、改めて台本を読み返しました。すると独特の感じなんですけど、私が演じることになる役、小春という女の子が泣いている感覚があったんです。小春の感情に入り込めたというか、自分の中で納得できたので、お受けしましたね」
田中圭(以下、田中)「僕は、太鳳ちゃん主演の映画でオファーが来てます、と聞いて、『一緒にやりたい』くらいの気持ちでした。そのときは、バラエティでも一緒だったこともあったので。でも収録で太鳳ちゃんに『よろしくね』と言ったら、神妙な顔で『台本読みました?』なんて言ってきたからどんな映画なんだろうって思いましたね。僕はまだそのとき台本を読んでなかったから。家に帰って読んでみたら、こういう話なんだって驚きはしましたが、僕はすごくやりがいのある作品だなと思いました」
土屋「オファーを決めた理由が真逆ですね(笑)」
実は映画での共演が3回目。作品に入り込みやすかった?
田中「そうですね。哀愁しんでれらのスタッフ、監督、キャストでつくる雰囲気も相まって、ギアを入れやすかったよね?」
土屋「うんうん」
田中「現場の雰囲気を掴みやすかったですね。そういう意味では、無理した部分はなかった、気負いはなかったですね」
土屋「圭さんがリードしてくれる存在だったから、私も気持ちが途切れずにいられたんだと思います。バラエティだと真剣かつ元気なイメージがあるけれど、お芝居になると、より真剣になって、やっぱり役者さんだなっていう空気感がある。だから本番を何回もやるっていうわけでもなく、いいスピード感と集中力で演じ切れたのかなと思います」
実際に作品を観てどう感じた?
土屋「現場では、どういう出来栄えになっているかを見る機会がなかったので、スタッフさんたちを信じてました。作中の色使いもストーリー性があってよかったんじゃないかなって思います」
田中「この話はフィクションなんですけど、フィクションになりすぎてない。予想以上に土屋太鳳に合ってた役なんじゃないかなって思いました。それは太鳳ちゃんが合わせていったのかもしれないですね。現場で見てると、小春っていう女性がかわいそうでもあり、強くも美しくもあり、すごく素敵な女性になってたので良かったって思いました」
−−クライマックスになるにつれ、小春がどんどん変わっていく様子が描かれていましたね。
土屋「人って会社や学校などにいると、何かしらの我慢や不安は持っているものだと思います。その感情を抑えながらも、自分を演じようするところは多少あると思っていて、それが積み重なり、沸点に達したときに気持ちの収まりがきかなくなってしまう。小春ちゃんは普通の子なんですが、その沸点に達するふつふつとした雰囲気が伝わったらいいなと思います」
−−作中では、あるものを集めるシーンがありました。おふたりが集めているものはありますか?
田中「アレもあったよね。現場で何度か見せてもらったけどさ、“幸せフォルダ”」
土屋「あー!」
田中「自分が幸せに感じる画像のフォルダが携帯にあるらしくて、見せてもらったらほぼ“ご飯のフォルダ”だった(笑)」
土屋「(笑)。確かに集めてるかも! お肉やお寿司とか美味しかったご飯の写真を撮っちゃうんです。風景の写真もありますよ。圭さんは?」
田中「集めることをしなくなっちゃったね(笑)」
セリフ覚えで欠かせないものは?
土屋「私は、走りながらセリフを聴いて覚えます。私は耳で聴いたほうが覚えるので、体を動かしながら覚えますね」
田中「僕は、セリフ覚えで欠かせないものってそんなにないんですけど、お風呂ぐらいですかね。長いセリフだったり、ここは重要なポイントだというときは、お風呂の温度をめっちゃ熱くして、覚えるまで出られないっていう約束を自分にする。途中でイヤになるんですけどね、覚えるまで出ないって決めてるので」
土屋「すごいストイックですね」
田中「そんな罰ゲームみたいな熱さじゃないよ(笑)」
何をしてもうまくいかない。そんなときはどうする?
−−作品の序盤では、不幸の連鎖が続く場面がありました。おふたりがやっている、うまくいかないときのリセット方法を教えてください。
土屋「私は走ります(笑)。10分くらいでも全然違うのでランニングしますね。あとは、お腹をストレッチする。脳と腸ってつながってるって言うじゃないですか。ストレスで頭がカチカチにならないように、腹筋をせず、なるべくほぐすようにしてます。ボールを使ったり、ストレッチしたり、とか。悩みは尽きないですからね。結構やってるかも。圭さん、なんかあったらお腹をほぐしてみてください」
田中「わかった(笑)。僕は寝るか、またお風呂になっちゃうんですけど、お塩を入れますね。あとは日本酒とか。なんか浄化してくれそうな感じだから(笑)。ついてないときは何やっても無理なので、潔く諦めて、得体の知れない力を借りますね(笑)」
最後に公開を楽しみにしている読者の方へひと言を
土屋「女性は誰しも幸せになりたいという気持ちを持っていると思います。幸せはそれぞれにあると思いますが、身近な場面でいうと高いものを食べれば美味しいというワケじゃなくて、誰とどう食べるかっていうのも幸せのかたちだと思うんですよね。そんな風にこの映画を見ながら、今後、誰とどう過ごしていきたいかなって想像して見てほしいなって思います」
田中「きっとこの映画の結末に驚くと思うんですけど、観終わったら、小春のことを誰も責められないはずだと思うんです。それがこの映画の妙というか、面白いところいうか。自分の心の中で反芻してみて、彼女のここがいけなかったんだと言えるポイントを見つけてあげて欲しいなと思います。そこを見極めるポイントは難しいと思うんですけど、自分なりの答えを見つけて欲しいなと思いますね」
2月5日『哀愁しんでれら』ロードショー!!
児童相談所で働く小春は、自転車屋を営む実家で父と妹と祖父と4人暮らし。幸せでも不幸せでもない平凡な毎日を送っていた。しかしある夜、怒涛の不幸に襲われる。祖父が倒れ、車で病院に向かうも事故に遭い、父が飲酒運転で連行され、火の不始末が原因で自宅は火事になり、家業は廃業に追い込まれ、彼氏の浮気を目撃(しかも相手は自分の同僚)… ひと晩ですべてを失う。そんな時に出会ったのが、8歳の娘・ヒカリを男手ひとつで育てる開業医の大悟。優しく、裕福な大悟は、まさに王子様のよう。彼のプロポーズを小春は受け入れ、不幸のどん底から一気に幸せの頂点へ。しかしその先には、想像もつかない日々が待っていた――
映画『哀愁しんでれら』
公開日:2月5日(金)
監督:渡部亮平
脚本:渡部亮平
出演:土屋太鳳、田中圭、COCO、山田杏奈、ティーチャ、安藤輪子、金澤美穂、中村靖日、正名僕蔵、銀粉蝶、/石橋凌 他
配給:クロックワークス
(c)2021 『哀愁しんでれら』製作委員会
〈土屋太鳳さん着用〉
EZUMi(Ri Design.Ltd):03-6447-1264
e.m.(e.m.表参道店):03-5785-0760
〈田中圭さん着用〉
ENCENS(UNITE NINE):03-5464-9976
撮影/booro ヘア&メイク/尾曲いずみ(土屋さん分)、花村枝美(田中さん分) スタイリスト/藤本大輔(tas/土屋さん分)、岡部美穂様(田中さん分) 文/今野敬介