『愛の不時着』ヒョンビンロスのあなたへ! 次にハマる沼俳優と作品ベスト3
『愛の不時着』『梨泰院クラス』の大ヒットによって、かつての『冬のソナタ』をはじめとする第一次韓流ブームを超える勢いで、老若男女問わずファンを増やし続けている“韓ドラ”。
冒頭の2作品がおもしろすぎた故に、次に何を見たらいいかと迷っている人も少なくありません。そんな方のために、韓流エンタメナビゲーターの田代親世さんが、“ヒョンビンロス”“パク・ソジュンロス”を解消してくれる3人のイケメン俳優と、その代表作を紹介してくれました。
◆絶対的センターのイ・ミンホが命懸けで守ってくれる『シンイ−信義−』U−NEXT
イ・ミンホは真ん中に立っただけで、これがヒーローだと伝えられる人、といえます。自然でストレートで刺さる芝居をするんですね。私が大好きなのは『シンイ−信義−』(2012)。
現代からユ・ウンス演じるヒロインの女性医師を連れてきてしまった高麗時代の武将を演じています。相手をとことん守るというヒーロー像は、『愛の不時着』のヒョンビンと重なります。ヒロインが求めるものをさらっと叶えてあげる、寡黙なんだけど絶対に守ってあげる。『不時着』にハマった人にいちばんのおすすめは、この『シンイ』です。
若手俳優は、とかくサイコに走ったり、性格がゆがんだ役などをやりたがるものです。しかし、彼は、2009年に『花より男子』の道明寺司役で主演した後、『個人の趣向』(2010)、『シティーハンターin Souel』(2011)、『シンイ-信義-』(2012)、『相続者たち』(2013)と、ずっと王道でヒットを飛ばし続けています。最新作『ザ・キング:永遠の君主』(2020)でも唯一無二の存在感で皇帝役を演じました。
自分が、その時の年齢で一番良く見えるのがどういう役かをわかっていて、王道の男性像を演じ続けてきたと言えるでしょう。花男で同じ道明寺を演じた嵐の松本潤同様、脇にまわるのはあり得ない、この人が出てくると絶対センター。日本で言うと、木村拓哉、松潤のようなポジションにいる俳優と言えますね。
私の番組に出演してもらったときには、素顔はおおらかでのびやかな人なんだなあと思いました。大スターは余裕があってこせこせしない。素を見ると人柄も包容力がある感じで、神経質でもわがままでもなかったというようなニュアンスかと思います
何を着ても似合う、うむを言わせぬスタイルの良さ。圧倒的なビジュアルの魅力に加えて、時に孤独をにじませ、繊細で深みのある誠実さが宿るまなざしを愛する女性に向けるイ・ミンホ。ぜひおすすめです。
シンイ−信義−(全24話)
◆変幻自在カン・ハヌルの『椿の花の咲く頃』Netflix
次にご紹介するカン・ハヌルは、いつもヒーローでいるイ・ミンホとは逆に、変幻自在にいろんな役を演じている俳優です。日本で言うなら、綾野剛という感じでしょうか。
薄い顔で、いい人なの? 悪い人なの? とどっちにも転べます。役者だなあと思わされます。韓国では「ハヌル(空)の下にいろんな顔がある」と言われたりします。
私は中でも『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』(2016)が、すごく素敵だと思いました。前半は、知的で穏やかなジェントルマンなのだけれど、二面性があり、保身に走って卑怯な感じになっていくのを演じるのが、カン・ハヌルらしいといえますね。日本でもリメイクされた『ミセン』(2014)でも、余裕のあるエリートのようでいて、実は… という役でした。
最新作『椿の花の咲く頃』(2019)では、さらに高い評価を受けました。ひとりのシングルマザー(コン・ヒョジン)が、親にも男性にも捨てられて田舎の町で暮らし始め、そこに殺人事件が絡み合うヒューマンミステリーです。
自分には価値がないと思い込んで過酷な人生を生きているヒロインが、一途に自分を想ってくれる男性に出会って変わっていく。その愚直でまじめな警察官のファン・ヨンシクを演じているのがキム・ハヌルです。
このドラマは、『愛の不時着』や『梨泰院クラス』などの話題作を抑えて日本のゴールデングローブ賞にあたる百想芸術大賞を受賞しました。誰かひとりでも認めてくれる人がいたら、人は強くなり幸せになれる。サスペンスの怖さもありながら、感動を与える作品です。カン・ハヌルならではの人間としてのやさしさの表現で、韓国の女性たちの心をつかみました。
椿の花咲く頃(全20話)
Netflixオリジナルシリーズ『椿の花咲く頃』独占配信中
◆あまりにかわいくて反則! ソ・イングクの『ショッピング王ルイ』U−NEXT
最後におすすめしたいのは、ソ・イングクの『ショッピング王ルイ』(2016)です。買い物マニアで記憶をなくした御曹司と山育ちの娘が繰り広げるハートフルラブコメディです。財閥の後継者争いが出てくるのは『愛の不時着』と共通。『不時着』が大人のラブコメなのに対して、こちらはもう少し若いラブコメです。
ソ・イングク演じる孤独な御曹司が、人間のあたたかさに目覚めていくというのは『不時着』と同じですが、まったく違った良さがあります。世間知らずの御曹司が、ホームレスになって、ヒロインになついて離れない愛らしさがたまりません。怒られるとシュンとしちゃうし、捨てられるのを恐れる子犬のようで「あまりにかわいいー! 反則!」と叫んでしまいました。
ソ・イングクは、ちょっと投げやりで「かったるいぜ」というけだるい感じの少年性を持っているのがいいんです。2009年にオーディション番組『スーパースターK』で優勝し、チャン・グンソク主演の『ラブ・レイン』(2012)でドラマデビュー。
歌った主題歌も大ヒットした主演作『応答せよ1997』(2012)では、階段でのキスシーンも話題になりました。あごから首にかけてのラインが本当に美しい。ジェントルマンのキスではなく、ぶっきらぼうでちょっと野性的で、みんなが何度もリピートした名キスシーンです。
ショッピング王ルイ(全16話)
ひと癖あるキャラクターが得意。『元カレは天才詐欺師~38師機動隊~』(2016)の軽妙洒脱で度胸があるクールな詐欺師も、『空から降る一億の星』(2018)の退廃的で思わせぶりに女性を手玉にとっていくのも良かったです。
ヒョンビンやイ・ミンホがちょっと大人な少女マンガの主人公だとしたら、ソ・イングクは少年マンガ、カン・ハヌルは文学、というところでしょうか。たくさん待ち構えている韓ドラ俳優の沼にどっぷりハマって楽しんでいただければと思います。
TOP画像/Netflixオリジナルシリーズ『椿の花咲く頃』独占配信中
構成/新田由紀子
田代親世/たしろ ちかよ
韓流ナビゲーター。テレビ・雑誌などで、韓流ドラマを紹介している。会員制韓流コミュニティ「韓流ライフナビ」を主宰。