いまやワイドショーが特集を組むほど、社会現象となっている大人気韓国ドラマ『愛の不時着』の虜となった4人の読者が、今流行のオンライン上でお茶会を開催。熱く語り合った座談会の模様をお届けします。司会と解説は、韓流ナビゲーターで『愛の不時着』に、久しぶりのドはまりをした田代親世さんです。
今回の参加者
A子:流通・30代 『美男ですね』が初韓流。この1、2年は、ちょっと離れていたけど『愛の不時着』でカムバック。
B子:舞台PR・30代 ここ十数年、コンスタントに韓流ドラマとK・POPをおさえているベテラン韓流ファン
C子:外資系メーカー・20代 韓流ドラマ2本目の今回、ヒョンビンと「中2のような恋」状態になった韓流ビギナー
D子:化粧品PR・30代 母に『冬のソナタ』を勧められて以来、韓国エンタメを追いかけている韓流大好き女子
ずっとひとりの女性を想い続けるヒョンビンに♥
田代 まず、皆さんに『愛の不時着』の主人公リ・ジョンヒョクを演じたヒョンビンのどこが良かったか、ひと言ずつ話していただきましょう。
A子 最初に勧めたときは『この人、アンジャッシュの児島さんみたいじゃない!?』とバカにしていた友だちが、今ではヒョンビンにメロメロになってまして。二人でオンライン飲み会して、ヒョンビントークで盛り上がってます。ともかく、あの胸回りと肩幅は反則!
B子 今回の、黙ってこちらを見てくるヒョンビンがとってもよくて、高校時代のグループLINEで広めたら、えらい騒ぎになってます。『私の名前はキム・サムスン』(2005年)のときから観てますが、なんで老けないのか疑問ですよね。私の周りでは、大阪府の吉村洋文知事に似てるって言われてます。ニュースに吉村知事が出てくるたびに、ヒョンビンを思い出します。
C子 あー、吉村知事、わかりますね! 私は、韓流ドラマは『トッケビ』しか観たことなかったんです。ヒョンビンが表情も言葉も少ない分、やられたんだと思います。女子が喜ぶようなセリフをいう時、フツーの主人公は、キザな動きをしながら流し目とかですよね。でもヒョンビンは表情をあんまり変えなくて、そこがまたいいんです。
D子 そうですよね! この人なんなの? っていうかっこよさでした。韓流ドラマって、途中の3話ぐらい、ヒロインとは別の女子に心変わりしそうになったりするけど、リ・ジョンヒョクは、ずーっとユン・セリ(ソン・イェジン)を想い続けていて。こういう人を待ってました♡ って思いました。
◆『愛の不時着』で停滞ムードを払拭!
田代 では、私から、そんなヒョンビンの解説をさせていただきますね。
1982年生まれ37歳、身長185cm。
私は、2003年、日本の韓流ファンを集めた済州島でのイベントの司会をしたときに初めて会いました。彼は『まわし蹴り』という高校のテコンドー部を舞台にした映画の出演者のひとりとして来ていたんです。
チェ・ジウとかイ・ビョンホンとか大スターがたくさん参加しているイベントでした。ヒョンビンは、ピンクのシャツに白いパンツをはいて黒いサングラスと、変にがんばってるのにまだあか抜けない感じで。スタッフからもまだ軽く扱われていて「ここでまわし蹴り、やってみて」なんて言われてました。
2010年から放映された『シークレット・ガーデン』の大ヒットで二度目の大ブレイクを果たした矢先に、2011年3月、一番ハードと言われる海兵隊に自ら志願して兵役に行きました。どんだけ株を上げて行くんだって感じだったんです。
ところが、兵役を終えて復帰作として選んだのが、ドラマでなくて映画だったために、すぐにファンの前に出てこられなかったし、それほどヒットしなかったので「ヒョンビン残念」というムードになってしまったんですね。
さらに、多重人格を演ずるドラマ『キルミーヒールミー』を断って『ジキルとハイドに恋した私』のほうを受けたら、『ジキルハイド』はコケてしまって、『キルミー』を受けたチソンのほうが、注目を集めました。アンラッキーが重なっていた感じがあります。
映画では、いろんな役をやっていますね。詐欺師、自閉的な青年、煮え切らない夫、ゆすり、ジゴロ… こんな役も演じるんだと驚くとともに、人気が欲しいというより芝居がしたい人なのねと思って見てました。
ところが今回、王道の『愛の不時着』でまた大人気となりました。『トッケビ』でコン・ユが久しぶりにドラマで高評価を独り占めしたのと同じ現象ですね。虚しさを静かに抱えている役をとてもうまく演じていたと思います。
◆あの微笑はヒョンビンにしかできない!
田代 韓流歴の長いおふたりは、今回のヒョンビンの演技についてどう思いましたか。
B子 演技派とは思っていないけど、彼にしかできない芝居をするときがいいんですよね。切ないシーンとか、ひそかにうれしそうに笑うあの微かな笑顔とか。
田代 韓国ではソン・ガンホとかイ・ビョンホンとか、熱い系、熱演する人がうまい俳優と言われがちです。ヒョンビンは薄い顔だし、そんなに表情も動かさないし、サラリと演じているように見えますが、実はすごく研究していて巧みなんですよ。
B子 ヒロインのユン・セリの言動やソウル社会に戸惑うところは、『シークレット・ガーデン』で入れ替わって女性になって戸惑ったのと同じ引き出しの演技ですよね。リ・ジョンヒョク役が、ヒョンビンの演技メソッドに、ぴったりハマったんだと思います。
D子 ヒョンビン、本当はかっこいい2枚目じゃないのがやりたいんだと思うんです。映画ではいろんな役柄を演じているし。でも、みんなが彼に求めているのは、やっぱり恋愛ドラマなわけで。今回は、開き直って「国民的恋愛ドラマ俳優ヒョンビン」をやってくれてありがとう! と思いながら観ました。
◆好きなシーンはギャップ萌え♡
田代 皆さんがドラマの中で気に入っているシーンを教えてください。
C子 ユン・セリの話を無視している感じだったのに、実はちゃんと聞いていて、あとからシャンプーとか全部買ってきてくれるところ(2話)。市場で迷子になっていた彼女を見つけたときも、探してたなんて言わないで「今回は香りがするロウソクだ」というところ(4話)とか。現実の周りの男子みたいに、いちいち自分のことを言わないところが好きでした。
A子 わかりますー。それから私は、実家に行って、お父さんの北朝鮮総政治局長に食ってかかったあと、ユン・セリに「謝りなさい」と言われて口をとんがらせていじけるところとか(9話)。
田代 あ、皆さんも画面で、うなずいてますね。私も、ムキになるヒョンビンのシーン、大好きなんです。そんなシーンが6話の冒頭にどんどんでてくるんですよね。二人でエレベーターに乗るユン・セリとク・ソンジュンを見つけて、自分も乗り込んで、「彼はボディーガードなの。ミスター・リー離してあげて」といわれてあきれるシーンとか。
自分がユン・セリを好きになっていっていることを納得していなくて、落ち着かない感じがいいですよね。Oggi編集部の男性編集者も「その顔で、ヨーロッパ留学もしてるのに、なんでこんなに不器用なんだよー」と思いながら観たそうですが。やっぱりギャップ萌えっていうのもありますよね。
D子 私が一番良かったのは、主演二人の掛け合いなんだと思います。「たかが恋愛ドラマ」なんて思ってる人に是非見てもらいたいと思うほど、視線のやりとりとかすごい呼吸の芸でした。若い頃から培かってきた数々の恋愛ドラマのノウハウを、今、熟練したふたりが出しきってくれたことに涙です。
C子 今もドラマをずっと観返したり、ヒョンビンの関連動画を追っかけていると、あっという間に1時間以上たつんです。入隊挨拶の映像では泣いちゃいました。日頃はこんな気持ちを忘れていたけど、久しぶりに中2のような恋をしました。10年ぶりに、ショパンの楽譜を出してピアノも弾いてみました。在宅勤務が終わって前の生活に戻れるか不安です。
田代 私も、もしかしたら自分がちょっと感動が鈍ってきたのかと思っていたのに、『愛の不時着』に夢中になれて幸せでした。
ヒョンビンに心奪われちゃって、観終わってもNetflixのカーソルを動かして、好きな場面をリピートしている人がたくさんいました。彼がStayHome期間のストレスを吹き飛ばしてくれたことは、思い出に残りそうです。オンラインお茶会はまだまだ続きます。次回は、『愛の不時着』のストーリーについてのトークをお届けします。
(2019年から2020年放映 全16話)
Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中
構成/新田由紀子