今の会社を転職… の前に「考えておきたいこと」が書いてある本
30歳前後って、もしかして有利な転職するには最後のチャンス!? そんな焦りを抱えて悶々と過ごすより、知っておきたい心構えがあれば、この先の正しい道が見えてくるはず!
1『ブラック企業から身を守る! 会社員のための「使える」労働法』
いろんな女性の転職体験を知ることができる本
転職するにせよ、今の職場に留まるにせよ、覚えておくと心強い知識と技術を伝授してくれるのが、今野晴貴の『ブラック企業から身を守る! 会社員のための「使える」労働法』だ。労働相談の専門家である著者は、不当解雇や残業代未払いなどの違法行為をしたのは会社であるのにもかかわらず、自分を責めて諦める人が多いということに驚いたという。どうしたら泣き寝入りをせずにすむのか…。具体例を挙げながら労働法を使うためのテクニックを紹介する。
簡単に今すぐ始められるのが『しごとダイアリー』をつけること。パワハラされたり、サービス残業をさせられたり、有給休暇が取れなかったりするとき、出退勤時間や業務内容、上司の発言などを記録しておくだけで法的に有力な証拠になるのだ。だれもが安心して働けるように労働法はある。それを利用するのは悪いことでもなんでもない。現行の制度を味方につけよう。
会社よりもまず自分が大事。個人が幸せになることが、世の中全体をよくすることにもつながる。
『ブラック企業から身を守る! 会社員のための「使える」労働法』
著/今野晴貴 イースト・プレス
労働相談の専門家が法律を使って仕事の悩みを解決する方法を伝授する。ハラスメントの訴え方、サービス残業代の取り返し方、休職の申請の仕方、自分を有利にする辞め方など、今すぐは必要なくても知っておいて損はないノウハウが満載。
2『女と仕事「仕事文脈」セレクション』
覚えておくと心強い法律知識とテクニック
天職って果たしてあるのだろうか? 社会に出て20年以上経ってもわからないが、仕事文脈編集部の『女と仕事「仕事文脈」セレクション』を読むと、動きながらその時々で進みたい方向を考えればいいのだと思う。遅刻魔のデザイナーから病院以外の現場をわたり歩くノマド看護師まで、個性豊かでさまざまな職業の女性が自らの仕事を語っている本だ。みんな現実をシビアに見つめつつ、ひとつの職場や働き方にとらわれないで、主体的に行動しているところがいい。
なかでも胸が熱くなったのが、中島とう子さんの「転職しました、のその先で」だ。ある日、中島さんの勤めていた会社で、すべての非正規雇用社員の契約が打ち切られることになった。残された時間は2年弱。正社員と契約社員の関係は悪化し、どんどん人手が減っていく。それでも退職をためらっていた中島さんの背中を押したのは、先に辞めた後輩の「中島さんみたいになりたくて、今日まで頑張ってきました」という言葉だった。真面目に働いてきたつもりだけれど、自分は何も成し遂げられていない、他の場所でやっていける自信がないという人は、ぜひ読んでみてほしい。きっとあなたとだれかの間にも、中島さんが発見したような「意図せぬ知識や技術のリレー」があるはず。
『女と仕事「仕事文脈」セレクション』
著/仕事文脈編集部 タバブックス
仕事のあれこれを取り上げるリトルマガジン『仕事文脈』から、女性の書き手の文章をピックアップ。20代から30代のリアルな転職体験談はもちろん、働く女子の視点でみたドラマや映画の話も収められ、楽しみながら仕事について考えることができる。
2018年Oggi12月号「『女』を読む」より
撮影/よねくらりょう 構成/宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部
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石井千湖
いしい・ちこ/書評家。大学卒業後、約8年間の書店勤務を経て、現在は新聞や雑誌で主に小説を紹介している。著書に『文豪たちの友情』(4月13日発売予定)、共著に『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』がある(すべて立東舎)。